表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

番外編 亮太の失恋


今日は俺、西川亮太の誕生日だ。

そして、真里が行方不明になってからちょうど3ヶ月になる日だ。


真里が一週間も学校に来なくなった時は大騒ぎになった。主に俺がした。

真里のおばさんとおじさんも連絡がとれなくなって、俺はとうとう警察に捜索届けを出した。

地元の新聞にそのことが載ったとき、おじさんとおばさんからの連絡があった。


”真里はしばらく海外で暮らすことになりました”


保護者からの捜索願取り消しがあったので、真里の捜索は打ち切りになった。

俺は真里に会わせろ、と直談判に行ったが、一向に取り合ってくれなかった。

そして、いつの間にかおじさんとおばさんも引越しをしていた。家は取り壊されるそうだ。


周りはだんだん真里のことを忘れていく。

だけど、俺は、あいつのことを忘れたりしない。絶対に。


「あいつがどこに居ようとも、必ず見つけて、そんで、」


言うんだ。俺があいつに「入るわよー」


「か、かあさん!!ノックしろっていつも言ってんだろ?」


「あーら、せっかく真里ちゃんからお届けものだから持ってきてあげたのに、そーいう態度とるんだー」


「え、ええ!?真里から!?」


くれくれくれくれ!と身を乗り出しすぎてベットから落ちてしまった。

母親は呆れた様子で「あんたってほんと真里ちゃんにぞっこんねー」と小包を息子に渡した。


「確かに、真里の字だ…!」


「言ったでしょ?真里ちゃんには真里ちゃんの生活があるんだから、もう拉致とか誘拐とか言い出すのはやめなさいよ?篠宮さんにも迷惑を…って、ちょっと亮太聞いてるの」


封を開けるのももどかしかった。

小包を破くように、開いて、さかさまにするとストラップが落ちてきた。手紙はなかった。


「あら?かわいい〜!クマのストラップじゃない!…あれ?でもこれスマホ用だわ」


「………」


「ん?おーい亮太ー?何固まってんのー?」


「……かあさん…おれ失恋した」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


森の中


真里はもう日課となったブラッシングをあかねにしていた。

あかねの毛は細いのに一本一本がすごく硬いので、簡単な作業ではなかった。

ふぅ、とおでこに浮いた汗を拭き、一休みしようと、あかねの上にのった。


”真里…よかったのか”


「ん?何が?」


”あのストラップ…気に入ってたんだろ?”


「うーん。まあいいんだよ。3倍返しなんて、できなさそうだし」


”…真里、本当は”


真里はあかねの毛をむんずと掴んだ。

あかねは反射的に首を振った。それでも真里はあかねにしがみついた。


「あかねと一緒にいたいんだってば」


真里は拗ねたように顔をあかねにうずめた。


”しかし、お前はもう人間ではいだだだ”


「まだ言うか!まだ言わせるか!好きだからいいって言ってんでしょうが!!」


あかねは真里の顔が真っ赤なのに気づいた。

そのとき、あかねは心の底からじんわりと暖かいものがこみ上げてくるのを感じた。

真里を抱きしめたい衝動にかられるが、獣の体ではそれは不可能だった。


”人を殺すのと違って…生かすのは大変だな。もう人化の力もない”


「ふふ、いいじゃん。もう退治される心配がなくなったんだよ?」


”それは…そうだが”


「今のあかねも十分かっこいいよ」


”…そうか”


「ちょ、そこは!真里も可愛いよとか言うんだよ!」


”…人間の習性はよくわからん”


「大丈夫、これからゆっくり覚えてけばいいんだよ」


時間はたくさんあるしね。

真里はそう言ってあかねの側に寝そべった。どうやら昼寝をするらしい。

あかねは真里の体を自分の尻尾で覆い、自分もまた寝そべった。


二人には、今日も暖かい日差しが降り注いでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ