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黒の執行者-Black Executer-(旧版)  作者: 黒陽 光
第四章:Operation;Snow Blade
32/110

Encounter

「――ッ!!」

 幾度も襲い掛かる鋭い反動に見送られ、戒斗の構えるベクター短機関銃サブマシンガンから放たれた.45口径弾は空を切り、迫り来る機械化兵士マンマシン・ソルジャーへと殺到する。残弾を考慮に入れない全力射撃。普通なら身体がズタズタに引き裂かれ一瞬の内に絶命するだろう。”普通”の人間ならば。

「……」

 しかし、迫り来る機械化兵士マンマシン・ソルジャーは向かってくる弾を避けようともせず、なおも突進してくる。命中した.45口径弾は彼が身体に纏う装甲版に弾かれ、甲高い金属音を響かせる。

「走れッ! 遥ァッ!!」

 叫びながら、戒斗は弾の切れたベクター短機関銃サブマシンガン機械化兵士マンマシン・ソルジャーに向かって放り投げ、自らも後方へと全力疾走を始めた。

「――!」

 対する機械化兵士マンマシン・ソルジャーは、自らの得物を投げるという行動が予想外だったのか、一瞬立ち止まる。しかしすぐに、彼は手に持った高周波ブレードでベクター短機関銃サブマシンガンを、文字通り一刀両断で切り捨てた。

「この野郎ッ! それ高かったんだぞッ!!」

 言いながら戒斗は、チェストリグのポーチから破片手榴弾を取り出し、ピンを抜き捨てる。安全レバーを取り外し、走りながら後方へと放り投げた。

「うおおっ!!」

 後方で小規模な爆発。奴を殺せたかどうかは定かではない……いや、逆に無駄ではあろうが、足止めぐらいにはなるはずだ。戒斗自身はすんでのところで曲がり角に飛び込むことが出来、なんとか事なきを得た。転がる身体を起き上がらせ、戒斗の少し前方で妹を背負いながら走る遥に追いつこうと走り出す。

≪戒斗!? 聞こえるッ!?≫

 無線機に繋いだイヤホンから瑠梨の声が聞こえてきた。

「ああ! なんとか生きてる!」

≪その先にエレベーターがあるわ! とりあえず今はそこに逃げ込んで!!≫

 この通信は遥にも聞こえているはずだ。戒斗は全力で走る。

「――!!」

 背後に尋常ならざる気配を感じ振り向くと、足止めしたはずの機械化兵士マンマシン・ソルジャーが常人では考えられない速度で疾走し、追ってきていた。その装甲は先程と違い薄く汚れ、細かい傷が付いているものの、行動自体になんら影響はなさそうだった。戒斗は軽く舌打ちをしながら、ポーチからありったけの破片手榴弾を取り出す。

「文字通りの出血大サービスだ! 持ってけクソッタレェェッ!!」

 手榴弾を三つ、数秒のタイムラグで背後へと放り投げる戒斗。エレベーターの扉は開け放たれ、その奥に遥が立っている。距離は短い。対して奴との距離はまだ結構ある。――いける。

 扉の向こうへと飛び込む。戒斗が飛び込むと同時に遥がボタンを押し、扉を閉めた。派手に床を転がる戒斗。扉が閉まり、下降を始めるエレベーター。数秒後、どこからか盛大な爆発音が聞こえてきた。

「……はぁ、なんとか助かったか」

 壁にもたれ掛かり、床に腰を落として戒斗は呟く。

「ええ、なんとか……」

 そう言う遥も息が絶え絶えだった。虚ろな目をした妹を一度床に降ろし、自らも座り込んでいる。

「ところで……このエレベーター、何階に向かってるんだ……」

「ハァ、ハァ……適当に押しましたが、確か地下四階かと」

 見ると、壁面に備え付けられた操作盤の『B4』の文字が光っていた。

「そこには……何が?」

「あまりよく覚えてはいませんが……確か、研究施設だった、かと」

「これはこれは……定番の展開じゃないの」

 戒斗は自嘲気味に笑いながら、ベルトの右腰に直接ぶら下げたホルスターから中折れ単発拳銃、トンプソン・コンテンダーを取り出す。

(頼んだぜ、天才幼女)

 ホルダーから一発、.338ラプア・マグナム弾を取り出し、願掛けをするように数秒目を閉じた後、戒斗はコンテンダーを解放。拳銃で扱うには余りに異質で、大きな弾を薬室に装填する。

 立ち上がる戒斗。それと同時に、上の方から微かに、何かが壊される音が聞こえてきた。

「――来ます」

 遥は妹を抱えて立ち上がり、一言そう告げる。

「冗談だろ?」

 呟く戒斗がエレベーターの階数表示を見ると、未だ地下二階。目的の地下四階に辿り着くまでは、ほんの少しだがまだ時間がある。

 畜生、と悪態を吐いた戒斗はコンテンダーをホルスターに戻し、随分軽くなったチェストリグから閃光音響手榴弾フラッシュ・バンを一つ取り出し、その安全ピンにピアノ線を手早く巻き付ける。出入り口付近の壁に閃光音響手榴弾フラッシュ・バンをダクトテープで強引に固定し、その対面の壁にはピアノ線を、こちらも黒いダクトテープで固定した。

「出る時に引っかかるなよ」

 稚拙ではあるが、これも生き残りを賭けた策だ。昴から事前に聞かされていた話によれば、敵は全力稼働時は目くらましに極端に弱い……運が良ければ、これで奴を仕留められる。

 突然、ガァンと大きな衝撃音が、戒斗達の乗るエレベーターのカゴを襲った。咄嗟に上を向くと、エレベーターの天井が、文字通り”凹んでいた”。

「ご来店かよ、クソがッ!」

 階数表示はまだ三階。ここでカゴの中に入られれば……

 戒斗はホルスターからコンテンダーを抜き、壁に背中を密着させる。銃口を向ける先は、敵が降りてくると予想される場所。

 キンッ、という鋭い金属音と共に、恐らくは天井を高周波ブレードで斬り裂いたであろう機械化兵士マンマシン・ソルジャーが眼前に降ってきた。この無防備な一瞬が、反撃する唯一のチャンス。

「吹っ飛べェッ!!」

 両手で構えたコンテンダーの、引き金トリガーに掛ける人差し指に力を込める。薬莢底部の雷管が撃発され、発射薬に点火。凄まじい反動を殺しきれなかった戒斗の両腕は大きく上方へと跳ね上がり、その身体をエレベーターの壁へと叩きつける。放たれた鋼鉄製弾芯の.338ラプア・マグナム徹甲弾は機械化兵士マンマシン・ソルジャー目がけて飛翔。狙いは、奴の頭部。

「――!?」

 咄嗟の判断か、はたまた『ハイブリッド高速演算システム』を稼働させたか。自らに向かってくるライフル弾を脅威と認識した彼は、右手に逆手に持っていた高周波ブレードを弾の予測軌道へと突き出す。奴の頭部を貫くはずだった徹甲弾は高周波ブレードに阻まれるが、引き換えにその刀身を根元からへし折った。吹っ飛んだ刃は空中で数回転し、運悪くあるじであったはずの機械化兵士マンマシン・ソルジャーの右腕へと突き刺さる。

 同時に、チーンッ、と、この状況下ではある意味間抜けに聞こえる音と共にエレベーターの扉が開いた。いち早く外へと飛び出す遥に続いて、戒斗もエレベーターの外へと飛び出す。それを追って、傷付いた機械化兵士マンマシン・ソルジャーも地を蹴り、駆け出す。

「――引っかかったな、マヌケが」

 走りながら、素早くコンテンダーに弾を再装填しつつ、捨て台詞を吐き捨てる戒斗。その背後の機械化兵士マンマシン・ソルジャーの足には、張力を失ったピアノ線が。

「――」

 迂闊だった、と、既に思考など殆ど無くしたはずの彼は激しく後悔した。しかし、既に遅い。ピンの抜かれた閃光音響手榴弾フラッシュ・バンは破裂し、耳をつんざく轟音を響かせる。マグネシウム・リボンが爆ぜ、凄まじい閃光を周囲に放った。まだ自由の効く左腕で咄嗟に眼を庇うが、右眼はモロに閃光を喰らってしまった。

「コイツはオマケだッ」

 戒斗は振り向き、立ち止まり両脚を大きく広げて、両手でガッチリと保持したコンテンダーの銃口を機械化兵士マンマシン・ソルジャーへと向ける。薬室には、再装填された.338ラプア・マグナム徹甲弾が。

 その発砲音は、まさに轟音という例えが相応しいモノだった。銃口からは巨大な発砲炎マズル・フラッシュが瞬き、強烈な反動を受け流す両腕はコンテンダーと共に上方へと投げ出される。バランスを失い、数歩後ろにたたらを踏むが、なんとか踏みとどまれた。

 放たれたラプア・マグナム弾は空を切り、機械化兵士マンマシン・ソルジャーの元へと到達。右腕付け根の装甲版を貫き、特殊合金製の人工骨に置き換えられた鎖骨を砕きながら前進。破壊の限りを尽くし、背中の装甲版を軽く貫通し止まった。大きな風穴を開けられた彼は後方へと吹っ飛び、エレベーターの壁へと叩きつけられ崩れ落ちる。――仕留めたかッ!?

「なーんて言うと、大抵ロクなことにならん」

 喉元まで出かかっていた言葉を押えつつ、コンテンダーを再装填。再び戒斗は走り出し、先行する遥の後を追った。途中騒ぎを聞きつけたらしい白衣の研究員と何度か鉢合わせしたが、所詮は非戦闘員。コンテンダーの銃口を突きつけて脅したらすぐに黙り込んでくれた。

 すぐに適当な研究室に転がり込み、戒斗と遥の二人は軽く休息を取っていた。

「ハァッ……なんとか、なったな」

「はい……ですが、追っ手がいつ来るか。さっきの奴も、仕留めたとは限りませんし」

「とにかく、目的は達成した。脱出プランはあるのか、遥?」

「はい、あるにはあります。この階のどこかにあるはずの、資材搬入用エレベーターを使って格納庫に。そこで適当な乗り物を拝借しましょう」

「上等だ」

 戒斗は笑いながらそう言い、胸の無線機が壊れていないことを確認してから通信を開く。

「こちら、ミッドナイト・リーダー……とりあえずは、なんとか生きてる」

≪良かった。状況を報告して頂戴≫

 耳のイヤホンから、瑠梨の安堵した声が聞こえてくる。

ターゲットは確保。俺は短機関銃サブマシンガンを喪失、グレネードは使い切った。虎の子のラプアは残り三発に、後はナイフだけだ」

≪脱出の手筈はどうなってる?≫

「遥の話によれば、格納庫に通じてる資材搬入エレベーターがあるらしい。丁度いいから調べてみてくれ。メインフレーム、押えてるんだろ?」

≪了解……って、調べるまでも無いわね。アンタ達の居る部屋から出てすぐ、見える範囲にあるわよ。通信妨害ジャミングとか色々小細工しておいたから、敵は暫く来ないはず。監視カメラ使ってばっちり見てるから、少し休憩しても大丈夫よ?≫

「ああ……そうさせて貰う。アウト」

 通信を終え、立ち上がった戒斗は、何か使えるものがないかと部屋を物色し始めた。しかし、あるのはビーカーやら、フラスコやらと、ある意味典型的な実験器具ばかり。

「ったく、しみったれてんな……お、これはこれは」

 ふと開いた机の引き出しに収められていたモノを見て、戒斗は感嘆の声を上げる。引き出しに収められていたのはイタリア製自動拳銃、ベレッタM92FS。先程脅して追い出した研究員が護身用に買った私物だろう。フル装填の弾倉が三つもある。普段なら見向きもしないだろうが、殆ど丸腰に近い今の状況では非常にありがたい。研究員には悪いが、拝借させて貰うことにしよう。戒斗は92FSを手に取り、弾倉をグリップ底部から叩き込みスライドを操作、初弾を薬室チャンバーに送り込む。セフティを兼ねたデコッキング・レバーを操作し撃鉄ハンマーを安全に落とした後、ベルトとズボンの間に無理矢理ねじ込む。残り二つの予備弾倉は、元々ベクターの弾倉が収められていたポーチに突っ込んでおいた。

 妹と小声で何か話している遥を尻目に、戒斗はなおも物色を続ける。すると、部屋の隅にやたら重苦しそうな扉を戒斗は見つけた。意外にも施錠されてはいない。戒斗は一応92FSを抜いて、警戒しつつ室内へと足を踏み入れる。

「……クソッタレが」

 溜息の混じった悪態を、思わず戒斗は吐き捨ててしまう。部屋に入ってまず目にしたモノ。それは、大きな装置に、まるで十字架に張りつけにされるかの如く固定されていた未起動の機械化兵士マンマシン・ソルジャーだった。その周りには、何かの計測機器やら、デスクトップPCやらが所狭しと並んでいる。数十、いやもしかたら百本を超えているかもしれないと思うような量のケーブル類が、床を這っていた。

「戒斗、これって」

 戒斗の様子が気になって後を追ってきたらしい遥も、部屋に入ってこの機械化兵士マンマシン・ソルジャーを見た途端、驚愕の声を上げる。

「遥、下がってろ」

 戒斗はそう言い、ゆっくりとした足取りで機械化兵士マンマシン・ソルジャーの元へと歩み寄る。近づいて見れば見るほど、この鋼鉄の兵士が限りなく人間に近く、そして限りなく遠いモノだということが否応なく伝わってきてしまう。

 片手で保持したベレッタM92FSの銃口を、張りつけにされた機械化兵士マンマシン・ソルジャーの閉じられた瞼――その奥にある、右眼の義眼へと押し付ける。親指で、スライドに備え付けられた安全装置セイフティを解除。

 そのまま彼は、引き金トリガーを引く。

 コンテンダーの.338ラプア・マグナム弾とは比べものにならないほど軽く、軽快な発砲音が小さな部屋に響いた。戒斗はその後何度も、何度も引き金トリガーを引く。彼が引き金トリガーを引く度、92FSは発砲音と共に銃口から9mmルガー弾を吐き出し、前後するスライドが金色に輝く真鍮の空薬莢をリノリウムの床へと投げ捨てる。機械化兵士マンマシン・ソルジャー特有の、オイルのような人工血液の返り血を撃つ度に浴び、戒斗は自らの顔や身体を汚す。

 次第に残弾は減っていき、遂に弾倉が空になる。スライドが後退したまま止まり、ホールドオープン。弾切れを知らせていた。戒斗は「無駄遣いし過ぎたか」と呟き、弾倉交換。先程と同じような手順を踏み、撃鉄ハンマーを安全に落としたのを確認してから再びベルトとの間にねじ込む。

 十五発もの9mmルガー弾を浴びせられた機械化兵士マンマシン・ソルジャーの義眼は見るも無残な形に変貌し、頭蓋ユニットの後頭部側の装甲版は内側から叩きつけられたように盛り上がっていた。近くに備え付けられていた機器の、先程まで一定周期で波打っていた表示――恐らくは心電図であろうそのグラフが、停止していた。恐らくは彼の脳がズタズタに引き裂かれたからであろう。

「ハハッ……意外と眼は弱点みたいだな」

「戒斗……」

 背後から、遥の消え入りそうな声が聞こえてきた。彼女の眼から見た戒斗の表情は、きっと悲痛なモノに見えているのだろう。ふと、何故だかは分からないが、戒斗はそう思った。

「こんなモノは、こんな兵器は、存在させてたら、きっと世界はおかしくなる」

 ただ一言、呟いた戒斗は動かなくなった機械化兵士マンマシン・ソルジャーだったモノに背を向け、元居た部屋へと帰っていく。遥にはその後ろ姿が、いつかどこかで見た男の後ろ姿と何故だか重なって見えた。

≪あー、こちらスカイアイ。聞こえてるかしら?≫

 戒斗が先程92FSを拝借した引き出しの中に一緒に収められていた弾の紙箱から、空になった弾倉へと新しい9mmルガー弾を収めていると、唐突に瑠梨から通信が入ってきた。慌てて通信を開き、スロートマイクに手を据える戒斗。

「何の用だ」

≪休憩中悪いけど、流石に敵も馬鹿じゃないみたい。完全装備の奴らが結構な量、地下四階に向かってきてるわ。急いだ方がいいわよ≫

「了解。忠告感謝する。アウト」

 戒斗は一方的に通信を終え、手早く弾を再装填してから再び重くなった弾倉をポーチに戻す。

「遥、そろそろ追っ手が来る。コーヒーブレイクはここまでのようだ」

 遥に再び妹を背負わせ、戒斗はねじ込んだ92FSを抜く。遥の準備が整ったのを確認してから、戒斗はゆっくりと、92FSを片手に警戒しながら廊下に通ずるドアを開ける。簡単にクリアリングをしたが、幸いにもまだ敵はやってきていなかったようだ。内心安堵しつつ、先程言っていた搬入用エレベーターを探す。

 瑠梨の言った通り、それはすぐ近くにあった。先程戦闘を行い、走ってきた方向とは真逆の方向。その廊下の突き当りに、乗ってきたエレベーターよりも二回りほど大きな扉が見えた。戒斗が先導する形で、警戒しつつそこへと向かっていく二人と一人。

 誰とも遭遇することなく、エレベーター前まで辿り着くことが出来た。真横の壁に据えられた操作盤のボタンを押すと、すぐに重苦しい扉は開いた。運のいいことに、この地下四階でカゴは留まっていたようだった。居住性など全く考えておらず、屋根すら存在しない大きなエレベーターに二人は乗り込む。内側の操作盤を弄り、一階への上昇を指示。重苦しい鉄の扉が閉まり、てこの原理を利用したエレベーターは上昇を始めた。

(後は、おさらばするだけか……このまま、何事も無ければいいがな)

 殆ど丸腰に近いような状況で、戒斗は一人、苦い表情を浮かべていた。





 ――ERROR.System offline.

 痛い痛いいたいイタイイタイ。頭が、ヤけるよウにイタイ。

 ――Recovery mode...Please wait.

ここは、どこだ? 俺は、誰で、何をしているんだ?

 ――Recovery process...Wait.

まあ、いいか。どうせ、考えても、無駄。

 ――Allright. System recovery,complete.Reboot now...Please wait.

 身体の感覚が戻ってくる。手も、足も、動く。

 ――System Reboot.

 閉じられていた瞼が、ゆっくりと開く。筋肉が軋む。立ち上がる。二本の脚で。

 ――System all gleen.Welcome,Master.

 開かれた瞼の奥で微細な駆動音を奏でる左眼が、獲物を狙う猛禽類の如く輝いていた。

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