ルティエルの誕生
こんにちは。伊理菜です。なんか小説が書きたいなー…と思っていたら思い浮かんだので書きました。できるかぎり多くの方に読んでいただけるよう、努力いたしますのでよろしくお願いいたします。
『魔術師についてのニュースです!今日、魔術研究会が新たな発表をしました。研究会会長によると、空想上の魔術師、ルティエルが誕生する可能性がある…とのことです。ここで、魔術師の説明をしましょう。皆さんご存知の通り、魔術師は生まれつきもった力がある人のことを言い、普通、力は1つしか使えません。ソルジャー、ヒーラー、マジシャン、テイマーと4つの能力があります。ですがルティエルは、生まれたときに魔術師の検査を受けても魔術師ではないという結果がでることが多いそうです。そして力は2つ使えるという特殊な能力を持っています。ナストルムにルティエルが誕生する可能性もありますが、アステリアに誕生する可能性のほうが高いということです。情報が入り次第、お知らせ致します。…以上、ニュースでした。』
まずは俺の説明をしよう。俺の名前は刹井 有也。ちなみに俺は魔術師でもなんでもなくてただの赤い髪に青い目をした(染めてないしカラコンなんていれてない)派手な高校生16歳だ。
次にこの国についての説明。アステリアは小さい国で、人口密度が高い。都会って感じではなく、どちらかと言えば田舎だ。田舎っていう田舎でもないけど。アステリアと敵対しているナストルムという国がある。この国は派手な都会だ。俺の住んでいるヒリオルという村は、魔術師の集会所があるところだ。俺はそんな村の集会所で幼馴染と言い合いをしていた。
「だーかーら!私たちの活動を全部この村にあてることはできないの!」
「でも朱緒が魔法使えば井戸くらいすぐ作れるだろ?」
「それはできるけど、この村に井戸作ったら他の村からも依頼がくる!そんなことしてたら重要な任務に行けなくなるの!」
と、こんな感じで言い合いをしている相手は俺の幼馴染、楠井 朱緒だ。朱緒は俺と同い年で同じ学校に通っている魔術師、マジシャンだ。
「ならこの雑誌読みながら珈琲啜ってるマジシャンはなんなんだよ…」
と言って俺が指さしたのは潮那 日向さんだ。彼はマジシャンでアステリアの魔術師最年長23歳だ。
「悪いけど日向さんは私よりランクが1つ下!井戸を一瞬でつくるなんで高位魔法は私のレベルからしか使えないの!」
魔術師にはランクが20あり、1ランク上がるごとに魔術師教会から連絡がはいる、らしい。朱緒のランクは16、日向さんは15だ。ランクは物凄く上がりずらいから2人とも上級魔法使いだ。
「朱緒ちゃん、俺だって物作るくらいはできるよ?」
日向さんがふざけて呪文を唱えて(下位魔法は呪文の詠唱が必要になる。)作ったのは模型の小っちゃい井戸もどきだった。
ほら、と言いながらドヤ顔する日向さんに対して、そんなんランク1でもできますよーと言う朱緒。
そして
「なんか魔力ない俺でもできるような気がしてきました…」
と言う俺。この一言だけならよかった。だが日向さんの言った、
「あ、ならやって見ようよー!産まれたときは魔力ないって言われたかもしんないけど、今はあるかもよ?」
という言葉で俺の人生は180度回転した。いや、もしかしたらもともとこういう運命をたどっていたのかも知れない。
「いや俺この前検査しましたし。魔力が完璧に無いって言われました…だから大丈夫です。」
「いいのいいの、暇つぶしだよー。しかもその検査マジシャンのだけでしょ。さ、いこー!」
俺は意地でも行かないでやる、と俺は思ったが図星を言われ、朱緒まで頷いならているため行くしかなくなった。
「んー。マジシャンはできないってわかってるんでしょ?なら蒼羅ちゃんのとこ、テイマー行こうよ!ね、いいですよね、日向さん!」
さっきまで言い合いをしていたのに妙にテンションの高い朱緒に連れていかれたのは、神路 蒼羅ちゃんのいるテイマーの部屋だ。蒼羅ちゃんはたしか今年小学1年生になったばかりのテイマーだ。こんな小さい子が魔術師なんて、何度聞いても驚きだ。
「あ、日向おにいちゃんと朱緒おねえちゃん!あ、有也おにいちゃんもいる!どうしたの?」
「有也お兄ちゃんに超下位魔法教えてほしいんだ。」
そうすると蒼羅ちゃんは不思議そうな顔をして、すぐに笑顔に戻り、ちょっと待ってて!と言って部屋の中に戻っていった。するとすぐに「魔術の神よ!獣たちに休息を!」という元気な女の子の声が聞こえた。召喚していた獣を消したのだろう。
「入ってきてー!」
元気な声が聞こえ、俺は部屋の中に入った。入ったらすぐ、右手を上げさせられ、呪文を教えられ、詠唱させられた。
「魔術の神よ!獣たちを目覚めさせたまえ!」
俺の詠唱後、重い沈黙が流れた。その沈黙を最初に破ったのは朱緒だった。
「あー、残念!有也君!次いこっか!」
そう言う朱緒は笑っていた。大声で真顔でやったから当然か。ってかこれ結構恥ずかしいぞ・・・
次に連れていかれたのは、ヒーラーの部屋だった。ここには鳴音 津乃葉さんがいた。この人は俺より1つ年下。そして朱緒の親友であり、日向さんの恋人らしい。
「津乃葉ちゃんいる?遊びにきたよー」
遊びに来たんじゃないだろ…とかいうツッコミは置いといて、正直いってこんなに適当な人に彼女ができるなんて不思議だ。俺は恋人いないからそんな事言う権利はないんだけど。
「日向君!来てくれたんだ!あれ?この人は?」
津乃葉さんが俺のほうを向いて不思議そうな顔をする。
「ああ、紹介するよ。この村に住んでいる俺の友達、有也君だ。そしてこっちは新人ヒーラーの津乃葉ちゃん。2人とも仲良くしてね。」
「有也さん、よろしくね!…ところで日向君、有也さんまで連れてきてどうしたの?」
「あー、有也君に下位魔法教えて欲しいんだけどいいかな…?」
日向さんのこんな優しい声聞いたことないぞ…蒼羅ちゃんにだってこんな声は出さなかった。
「日向君のお願いならお任せあれっ!」
日向さんに向かってとても可愛い声を出す津乃葉さん。
なんでだろう。なんでこんなに日向さんが憎たらしいのだろう。そういえば朱緒はどうしたのだろう。
っと、なんか言ってるな。どうしたんだろう。
「…私にだってあ…君が…」
今のは聞かないことにしておこう。だって朱緒を憎みたくないから。一番の理由は恋人がいないのがただ一人ってことを認めたくないからだ。
「どうしたの?有也さんこっちきて!」
俺は言われるがままに部屋に入る。うわあ…広いなぁ…
「えっと…誰か怪我してる人いない?…いないみたいだね。ヒーラーは怪我人いないと訓練できないからいやだよ…。ま、そういうことなら。」
そう言って津乃葉さんは自分の手をナイフで切ろうした。
した、というのは、日向さんがとめに入ったからだ。
「ちょ、津乃葉ちゃん、女の子がそんなことしちゃ駄目でしょ。ほら、ナイフ貸して。」
駄目だ。津乃葉さんまで憎みそう。恋人がいるってなんて羨ましい…
ま、俺の感情はどうでもいいとして、日向さんは津乃葉さんのナイフで自分の指を軽く切った。
津乃葉さんは、日向さんの指をみると、急いで説明しだした。
「えっと、呪文は…で、手を怪我のほうに向けて!…はい唱えて!」
「魔術の神よ!この怪我の治療を!」
悪魔でさっきより小さな声で。でも真顔は止めなかった。笑いながらやったら日向さんと津乃葉さんはにぶち切れされそう。
俺が唱え終わると、指が光り…消えた。
そのときの津乃葉さんの行動はとても速かった。俺の光りが消えた瞬間に詠唱をはじめ、日向さんの怪我はもう治っていた。
「今のは駄目ね。有也さんの魔力が無理やり出されて光っただけ。ヒーラーの力じゃない。」
「駄目だったかぁ…折角痛い思いしたのになぁ…」
なんでそこで俺を見るんですか。誘ったのは日向さんですよ。
「日向君、もう痛くない?大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。次行ってくるね。また来るねー」
「いってらっしゃい!」
津乃葉さんに見送られて、俺たちはソルジャーの部屋に向かった。
ちなみにまだブツブツと呟いていた朱緒は、なんとか黙らせて引っ張ってきた。
ソルジャーの部屋はどこの部屋より広く、そしてどこよりも多くの武器が置いてあった。片手剣、大剣、双剣、レイピア、刀、斧…それこそ数えきれないほどの量だった。
「なんかここ…怖いですね。地震とかあったら全部おちてきそう。」
そう言うと、後ろで気の強そうな女の人の声がした。
「んな作りしてあるわけないだろ。大体魔術で落ちないようになってる。私以外この棚に触れる人はいないよ。で、なんできたの、有也。」
振り向くとそこには俺の学校の先輩、直宮 雪姫先輩がいた。可愛い名前とは真逆に、下手な男より男っぽい性格を持っている、ソルジャーであり、魔術師のリーダーだ。
「雪姫先輩、俺日向さんに連れてこられました。」
「だってよ日向さん、なんか有也連れてきてめんどくさいことでも任されるんじゃないだろうね。」
「んー、めんどくさいって言うか…有也君に下位魔法教えて欲しいなーなんて…」
突然雪姫先輩が叫びだした。
「はぁ!?なんでそんなことしないといけないわけ!?訓練よりめんどくさいよ!」
「雪姫先輩、有也君が魔術師になったら楽じゃないですか?仕事減るし…」
「朱緒、あんたらの仕事減るかもだけど私の仕事増えるんだよ?教えんの私なんだからね?…まぁいいよ。入ってきな。」
意外とあっさり受け入れてくれた。まぁいいか。ちなみに朱緒と日向さんは外で待機している。
「じゃあまずこれからな。」
そう言って渡された剣は片手剣。たいして大きくない、いや、小さい。なのに
「おもっ!なんですかこれ動かせません!」
「はい弱音言わなーい。んじゃ剣振りながら詠唱して。あ、一応反射防止板おいとくからな。」
はぁーっとため息をつきながら俺は1cm上がるかどうかの剣を1mm動かしながら詠唱する。
「魔術の神よ!剣に魔力を!」
「はい残念。次これな。」
すっごく冷たくあしらわれたんだけど、傷つくの俺だけ?
それから俺たちは
「はいどうぞ。」
「魔術の神よ!剣に魔術・・・」
「そこ間違えないー。もう一度ー」
「魔術の神よ!剣に魔力を!」
「うんドンマイ。次いくよー」
…というように続いた。
2時間かけて色々な武器を試してきたがどれも駄目だった。そして最後の1つ。大剣だ。
「よし、次最後な。さすがに疲れたぞ。これ重いから無理かな・・・片手剣でへばってたくらいだし。」
「俺もう喉がやばいです。ってあれ?これ重くないですよ。さっきのレイピアより軽いです。」
その言葉は嘘ではなく本当だった。
「そんなはずないだろ。私でもキツイんだ。…でも見た感じ軽そうだな。まぁいい。やってみろ。」
「魔術の神よ!剣に力を!」
俺が詠唱を終えると、俺の回りが光り、次に剣が光り…
「!?」
雪姫先輩が気づいたときにはもう遅かった。
俺が持っていた剣から魔力が出され、それは反射防止板を突き破り、やがて壁にあたり跳ね返ってきて…
雪姫先輩に直撃した。
雪姫先輩は、顔から腰にかけて深い傷があり、血を流しながら横たわっていた。気づけば壁にあった武器はすべて落ちている。俺は魔術を消してしまったんだろうか。
俺はどうすればいいか分からず、雪姫先輩に駆け寄り大声で叫んだ。
「雪姫先輩!…朱緒!日向さん!来てください!」
俺が言うと2人はすぐ来てくれた。日向さんはいつものふざけた様子はなく、まじめな顔をしていた。
「事情は後で聞こう。どうするかな…回復専門外だからな…」
「私、津乃葉呼んでこようか?」
「駄目だ!ヒーラーの部屋は真逆だ。間に合わない!」
俺は否定するだけで何も出来ず、雪姫先輩の傷に触れた。
「雪姫先輩…!目を…あけてくれ…!」
すると、雪姫先輩に触れていた手から光が流れ出し、俺が願えば願うほど光は強くなった。
やがて雪姫先輩の血はとまり、痕は残ったものの、傷はとじた。
「ん…」
雪姫先輩は目を覚ましたが、俺は
「よかった…」
とだけ言い、気を失った。
俺が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋で、目の前に雪姫先輩がいた。
「わり、おこしちゃったか?」
「いえ、大丈夫です。」
「ありがとな。回復、してくれたんだってな。助かったよ。」
急にお礼を言われた。いえ…とこっちも言っておく
「あのとき俺自分でもなにしたかわからなくて。しかも怪我させたの、俺だし…」
「あれはお前のせいじゃないよ。魔力の暴走だ。」
雪姫先輩と話をしているとドアが開き、朱緒が入ってきた。
するといきなり飛び込んできた。
「有也君!心配したんだよ!魔力使い果たした挙句、自分の生命力まで使いだすんだもん!津乃葉よりランク高くて回復できなくて!皆諦めかけたんだから!」
「ごめんな…。てか、雪姫先輩、右目…見えてますか?」
「ついさっきまで死にかけてたやつがいうことかよ…。大丈夫だ。見えてるよ。」
雪姫先輩が言うと、日向さんが口をはさんだ。
「有也君のこと、説明するよ。率直に言うと、有也君はルティエルだ。ルティエルっていうのは、架空上の魔術師。2つの能力を使う魔術師だ。架空の話だからまさか本当にいるとは思わなかった。そこで俺たちは有也君のランクを調べさせてもらった。勝手にごめんな。…で、結果だけど、ランク30だったよ。魔術師のランクは20しかないはずなのに、妙な話だね。ま、こんなところかな。」
俺は急に言われたものだから、絶句してしまった。俺が、魔術師?しかもルティエル?もう話が分からない。
「あとね、魔術師教会に報告して魔術師の登録してもらいたいんだけど…。」
「いいですよ。でもそれってソルジャーとヒーラー両方で活動するってことですよね?」
「ん…それはどっちかだけでいいんじゃないかな。どっちがいい?」
「ならソルジャーがいいです。」
そういうと雪姫先輩が笑った。
「じゃ、魔術師でも後輩か。訓練きついからな?」
「望むところです!」
こうして、魔術師ルティエルの、刹井 有也が誕生した。
さっきまで死にかけてたやつに…dy雪姫
雪姫に言われたくないですよねw
あと、
津乃葉さんまで憎みそう。dy有也
ですが、なんか普通に読むと日向のことが好きみたいでゲイみたいですねw
…違いますよ?
ツッコミどころ満載ですが、誤字脱字、アドバイス等いただけるようでしたらお願いします。