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三度の飯よりファンタジー

 

 キタ――――――――――――!!!! 竜だよ! ドラゴンだよ! ファンタジーだよ!!!


 私が歩いていたにぎやかな通りの上空を二匹の竜が横切っていく。色は蒼。群青色と瑠璃色のほぼ同じ大きさの竜達。艶やかな鱗に日光が反射してまるで宝石のように光っている。背中の羽をゆったりと動かし風に乗っていく姿は圧巻だ。遥か上空を飛んでいる竜の正確な大きさは分からないけれど、多分ジャンボジェット機よりちょっと小さいくらいだと思う。


 あっと、思わず通りのど真ん中で口をあけたままその姿に魅入ってしまった。慌てて周囲を見渡すと皆同じだった様で、目の上に手でひさしを作って空を見上げている。子供達はキラキラした目で竜を追いかけようと通りを走っていた。いいなぁ。私もあれに混ざりたい。

 竜が飛んでいく方向は勿論この国の王城。城の前では沢山の人達が竜もとい各国の王族を出迎えようとひしめき合っているのだろう。


(ヤバい。めちゃカッコ良かった)


 待っていれば後3回竜を見ることが出来る筈だ。その事実に思わず拳を握り締める。

 私は根っからファンタジー好き。その為絵本・漫画・ライトノベルなどなんでも読んだ。ゲームはRPGばっかりやってたし、○ィズニーだってバッチこい。それがまさか本物のドラゴンを拝める日が来ようとは。トリップ万歳である。


 実は今、私がこの通りを歩いているのは雇われている馬屋の奥さんからお使いを頼まれているからなのだけれど、ゆっくり用事を済ませて全ての竜が来るのを見てもバチは当たらないだろう。

 そんな算段をしていた時だ。私に声がかかったのは。


「あぁ、カノン! 丁度良かった!!」

「へ?」


 声がしたのは右斜め前。整った口ひげを生やした靴屋のご主人が私を見て手招きしている。なんだろう。馬を用立てて欲しいのだろうか。


「こんにちは、ハロルドさん」

「やぁ、カノン。ちょっと頼まれて欲しいんだけど」

「はいはい。なんでしょう?」


 軽く返事をすれば明らかにほっとした顔になったハロルドさん。その隣にはこの辺りでは見かけない子供が立っていた。ぱっと見11・12歳くらいの男の子。あれ? ハロルドさんの息子さんはもっと大きかったよね?


「この子、迷子みたいなんだ。でも何を聞いても答えてくれなくてね。カノンなら分かるだろう。親御さんを探してやってくれないか?」


 ……馬屋の仕事ではなく、迷子の親探しだったようです。

 

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