二度寝は至福です
(えーと……)
窓の外は朝チュン。そんでもって、私は超ふかふかのベッドの上で横になっている。天蓋つきのお姫様のようなベッドだ。
そして隣には――王子様がいらっしゃいます……。
(何故にこの体勢……?)
右を下にして寝ている私にリーリアス王子が抱きついている。それもぎゅっと。起き上がろうとしても体を動かせないくらいぎゅっと。どうにか逃れられないかと体をよじろうとした時、はらりとめくれた真っ白なシーツ。
「な、なななな……」
子供の割には腕とか胸とか引き締まって……って違ーう!! なんで上半身裸なのこの子――――――――――――!!!!
「……むー、カノン?」
どうやら動揺した私の声で起こしてしまったようで、リアスくんが顔を上げる。眠気眼のまま私を見上げるその表情はぼんやりしていて可愛い……ってだから違うって!!
「ああああの、な、なんで……こ、ここに?」
「あぁ、カノンの寝顔を見に……」
「寝顔って!! そんなもの覗きに来ないでくださいよ!!」
「だって……可愛かった……」
「~~~~~!!!」
「まだ眠い……」
「え、ええ? ちょっと、寝ちゃうんですか? っていうか服着てください!!」
「…………」
「…………。寝ちゃった?」
再び聞こえてくる穏やかな寝息。うーん。寝る子は育つと言うからなぁ。寝顔がものすごく気持ち良さそうで起こすには忍びない。
けど……
「寝るなら、私のこと離してから寝てくれないからなぁ……」
つん、と柔らかそうな頬を突いてみる。ぴくりと眉が動くものの、目を覚ます様子はない。
(寝顔なら、君の方が可愛いよ……)
まだ若い竜の血を引く王子様。健康的に焼けた肌、整った顔立ち、そしてはっきりと自分の意志を伝えるその心の強さ。大人顔負けの堂々した姿を見せたかと思うと、こうしてあどけない表情を見せたりする。誰の目からみても彼は魅力的だろう。それなのに――
(なんで私なんだろう……)
昨日レビエント様から話を聴かされ、一人で冷静になった時に気づいたことがある。あの飴の交換が求愛行動だったとしたら、出会って十数分で彼は私を“つがい”として認めたことになるのだ。でも、一生を共にする相手を決めるには余りにも性急過ぎる。出会ってからの時間なんて関係ないと彼は言っていたけれど……。
「ねぇ、君は……あの時、何を思っていたの?」
すやすやと気持ちのよい寝息を立てているリーリアス王子の寝顔を眺めながら問いかける。けれど当然答えは返ってこない。しばらくそのままでいたら内段々と眠気が下りてきて、いつの間にか一緒に寝てしまっていた。二度寝って気持ちいいんだよねぇ。
その後、私を起こしに来たメイドさんに抱き合って(しかも王子は裸のまま)眠っている姿を目撃され、ものすごく恥ずかしい思いをすることになった。
それなのになんでリーリアス王子は嬉しそうな顔をしているのかなぁ! もう!!




