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美人襲来!?

 ふわりと起きた風に顔を上げれば、バルコニーに続く大きなガラス戸が開いていた。同時に見えたのは人影。そこから部屋に入って来たのは赤毛の美女――じゃなくて、紅の国のレビエント様だった。


「……レビエント殿下?」

「やぁ、また会ったね」


 会ったね、と言うか……思っきりそちらからいらっしゃってますが……。しかもここは三階。バルコニーの外は当然空中。何故にそこからのご登場?

 私の頭の中にクエスチョンマークが激しく踊る中、レビエント様は我が物顔で優雅に腰を下ろす。そこは私の向かい、先程までリーリアス王子が座っていた場所だ。


「あのー……」

「あ、俺のことは気にしないでいいよ。すぐに出て行くから」

「はぁ……」


 気にしないで、と言われても。眩いほどの美貌を目の前にして気にするなと言う方が無理。しかも――美人さんは何故かこちらを見ています。そんでもって優美な微笑を浮かべていらっしゃいます。そんな顔を向けられて冷静でいられる人間なんていません!!


「ああああの! リーリアス王子でしたら先程翠の国王陛下に呼ばれて行きましたけど……」

「あぁ、用があるのはリーリアスじゃないよ」

「へ?」

「昨日言っただろう? 機会があればゆっくり君と話がしたいって」


 そうして艶やかな唇が弧を描く。あぁ、絵になりますね。レビエント様の絵は沢山売っていたけれど、やっぱり本物には敵わない。どうにかしてその色気を分けてもらえないだろうか。


「確かに仰ってましたが……。でも私ただの一般市民ですよ? 殿下が興味をもたれるような話題は思いつかないのですが……」

「何言ってるの。興味なら大アリだよ。君、リーリアスとは前から知り合いなの?」

「いえ……、昨日初めて街でお会いしました」

「へー。昨日が初めて」

「はい。道に迷っていたリーリアス殿下に声を掛けたのがたまたま私の知り合いで。そのまま話の流れで城門までご案内したんです」


 その時のことを詳しく話すと、何故かレビエント様は飴屋の話で表情を変えた。それまで世間話をするようにふんふんと頷きながら聞いていたのに、そこで形の良い片眉をぴくりと上げたのだ。


「……飴をリーリアスから受け取ったの?」

「はい。結局それぞれが選んだ飴をお互いに譲る形になりましたが……。どうしました?」

「そう……」

「…………」

「…………」


 いやいや、ちょっと急に黙り込むのは止めましょうよ! 嫌な予感がビジバシするじゃないですか!! お願いだから何か言って!!!


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