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笑顔も時には凶器です

 急に黙り込んだのを不思議に思ったのだろう。ルードさんがパレードから目を離し、横にいる私を見る。


「カノン?」

「……ルードさん」

「ん?」

「翠竜様の馬車に乗ってる、一番小さな男の子って……」

「あぁ。リーリアス殿下だね」


(やっぱりか!!)


 昨日会ったばかりなのだ。おまけに私の視力は2.0。一日ゲームをしまくっても視力が落ちなかった優秀な私の両目が見間違える筈がない。


(いいとこの坊ちゃんだとは思ってたけど……。まさか王子様とは……)


 通りでレビエント王子がわざわざ声をかけてくる訳だ。一国の王子と一般人の私が一緒にいたら不思議に思うのも無理はない。どうやら昨日は二人もの王子に出会ってしまったレアな日だったらしい。

 そんな事を考えながらリーリアス王子を眺めていたら、ふと彼が顔を上げ、そして目が合った―――ように見えた。距離があるので私一人を認識しているのかは分からないけど、何故か彼は眉間に皺を寄せる。

 まさか私を睨んでるんじゃないよね? 違うよね? 確かに昨日は色々言い訳をして彼の下を去ってしまったけど、恨まれる程のことじゃない筈。というか、そもそも二十分やそこら一緒にいただけの平凡顔の私を向こうが覚えているのかどうかも怪しい。


「カノン」

「……はい」

「なんか、リーリアス王子がこっち見てない?」

「あ、やっぱそう見えます?」

「見える。しかも機嫌悪そう」

「…………」


 私はともかくルードさんは騎士。王族のご不興を買ったら死活問題だ。でもね、私悪いことしてないよ! 迷子を案内して飴まで奢ってあげたのに、なんで睨まれなきゃならないのさ!!

 内心悲鳴を上げながら、それでもリーリアス王子から目を離せずに居ると、やがて馬車が私達の前を通り過ぎて行った。思わずほっと息を吐く。


「カノン。君、リーリアス殿下と知り合いじゃないよね?」

「…………」


 知り合いという程の仲ではないのだけれど。この場合どう答えたら良いのでしょう? あぁ、ルードさんの表情がなんだか怖い! 顔は笑っているのに絶対逃げられなさそうなこの威圧感はなんでなの!


 だから私は悪くないってば!!

 

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