8話
「頼みってなんですか?」
俺がそういうと白銀先輩がポケットを探り始めた。
「コレ渡したほうが分かりやすいね。」
白銀さんがポケットから名刺みたいなの取り出して俺たちに渡してきた。
名刺には第十三小隊 隊長 白銀茜 と書いてあった。
「なんですかコレ?白銀先輩。」
「駄目駄目!白銀先輩なんて呼んじゃダメだよ、茜先輩と呼びなさい!あぁ〜センパイってなんて良い響き♪」
この人なんかダメダメな人のように思えてきた。
「ところで茜先輩。なんですか?この第十三小隊って…」
「ん?細かいこと気にしな〜い、気にしな〜い。今日放課後迎えにくるから空けといてね。」
茜先輩が立ち去ろうとしたとき、横にいた文也が先輩に話かけた。
「あの〜茜先輩?俺もこの二人の友人なんですが…名刺とかくれないんですか?」
「ん?君だれ?」
「申し遅れました。ワタクシ小塚文也と申します。ドウゾお見知りおきを」
文也は珍しく深くお辞儀をした。
「似合わないからやめろ、気持ち悪い。普段どおりにしてろ。」
「そうですよ小塚さん、それキモッですよ。」
「ひでぇ〜。まあ俺もやって気持ち悪かったし良いけど。小塚です、茜先輩。」
じーーーーっと文也は見られていた。
「君パス、やめとく。」
「えっ!ちょっと何で?なんで二人はよくて俺がダメなの?」
茜先輩はそんな文也の悲痛の叫びを華麗にスルーして
「二人とも放課後空けといてね、あとカード無くさないでね、無くすとわたしが怒られるから、んじゃ。おっひる〜♪おっひる〜♪」と言ってササッとクラスを出てってしまった。
「ちょっと待ってぇ〜理由くらい教えてくれたっていいでしょ〜」
文也も追いかけてクラスを出ていった。
「俺たちも食堂いこうか」
「そうですね。」
俺達は文也のことは気にせずクラス出たら、そこに文也がいた。
「はぁん?茜先輩追いかけたんじゃないのか?」
「ああ追いかけるつもりだった。だがクラスを出たとたん、もういなかったんだよ。ここ一番奥のクラスだから階段まで遠いし、出たときは普通姿が見えるはずなのに…茜先輩どこにもいなった。あの人見かけによらず、すごい人なのかもしれない。しっかし理由聞き損ねたぁ〜。」
「小塚さんのあの気持ち悪い挨拶のせいじゃないですか?キモかったですし。」
「まあそう落ち込むな文也、飯でも食いに行こうぜ。」
俺たちは三人そろって食堂に向かった。
しかし今になって気づいた。俺たちOKとかYESとか言ってないのに、放課後の予定を決まった感じになっていた。あの人、意外に話術とかも巧みなのか?まあ今日の予定ないし、気にもなるからいいんだけどね。
そして昼食を食べ終えた。
「今日は午後から別々だな、お互いにがんばっていこうぜ。」
そおういえばそうだった、午後から専門授業だったんだな。昼のことで頭がいっぱいで忘れてたよ。
「俺はもう行くわ、最初でギリギリとか嫌だしな。んじゃ行ってくるわ」
文也が行ってしまった。
「私も次の場所が遠いので私も行きます。一人で心もとないですが、がんばりましょう。」
薫も行ってしまった。
俺も1人でやることないし、前衛の場所へと行きますか…前衛ってどんな奴いんだろうな〜と思いながら向かった。
前衛の場所は第1演習場だった。さてとこの中どんなことになってるかな~と扉を開けて入ると、結構人がいた。数人ずつまばら集まっていて、どうやら知り合い同士で集まってるみたいだ。がっちりとした体格の奴等や、妖しい感じの女子とさまざまだった。
そして筋肉ムキムキのマッチョ人がステージに上がってきた。
「よし!前衛のお前ら集まってるな!今から能力値をみる。三人一組のチームを作れ!」
まずいな~Dクラスの奴はいるがそれほど親しいわけでないし。あとはそれぞれある程度グループになってたしな~誰かいないかな~
「あら?大沢君じゃない?」
俺は話かけられ振り向くと、藤宮さんともう一人知らない男子が一緒にこっちに来た。
「藤宮さんじゃないですか。藤宮さんも前衛なんですか?」
「ええ。あなた一人?神崎さんと小塚君は?」
「あいつらとは違うとこになってしまいました。おかげで今ちょっと困ってます。」
「そう、ならちょうど良かった。私のチームに入らない?」
「え!いいんですか?俺Dですよ?藤宮さんの実力ならBの人たちと組んだほうが良いんじゃないんですか?」
「ええ、そうかもしれないけど。私はこの志郎と組みたかったしね。」
先ほどから藤宮の横にいた男子が前に出てきた。
「1-Cの『江藤志郎』です、あなたが大沢さんですか。噂で聞いてますよ。」
「1-Dの大沢祐樹です。江藤さん、噂ってなんですか?」
江藤に質問したのに、違うとこから返事が返ってきた。
「噂ってのはね、裏山にサークル作った魔術師の容疑者よ。あんなのデカイ魔法なんだから噂になってもおかしくないでしょ?」
「だな。あと自分のことは江藤じゃなく志郎と呼んでくれ。俺の周りからもそう呼ばれてるし、自分的にも慣れてるから。」
「それでは志郎、俺のことも祐樹と呼んでくれてかまわない。しかしそんなことになってたのか…てか名前まで出回ってるのか?」
「いや、名前までは知ってる者は少ないよ。自分はただ藤宮の知り合いだったからね。」
「あーなるほど。当事者だもんな藤宮さんも、そういえば志郎はCだったよな?藤宮さんとはどういう知り合いなんだ?」
俺は志郎に質問したのに、答えはまたしても別の人物からもたらされた。
「私と志郎は同じ中学出身で、ちょっとした知り合いだっただけよ、それだけだわ。」
なんか中学であったのか?まあ深くは聞かないけどね。そのときステージから響いてきた。
「だいたい三人組みになったな!ではそのチームの中で対戦しろ!1対1だ、残りの一人は審判だ!総当り戦であとで勝敗報告しろ。それでは始め!」
マズイって、このチーム俺以外BとCだぞ。勝てるわけねぇ~よ。
「へー、チームで対戦かと思ってたけど、チーム内で対戦だったとはね~。これはおもしろいわね。一度大沢君とは戦ってみたかったのよ。喧嘩するわけにもいかなかったし、試合するにもDだったからね~フフフ楽しみだわ。」
ちょっと、藤宮さん!やる気満々じゃないですか!俺はDなんだから手を抜くとかしないのかよ。しかしこのままじゃマズイ、マズイマズイ殺される…
「藤宮がそう言うなら、自分は1回戦審判やるよ。さあいこうぜ。」
「ちょっと待て、俺はDだぞ、ハンデくれよ。1回戦はおれが審判が普通だろ…」
「いや自分が審判やる、多数決で2:1だ。1回戦審判は自分だ。」
「いや待て多数決なんてとってないだろ、なぁ藤宮。」
「私は江藤君の実力もどうなったか知りたいし、どちらからでもいいわよ。さぁはやく殺りましょ。」
「「・・・」」
多分、今俺達は同じことを考えてると思う。
「俺が審判やる!」
「いや、自分が審判やる!」
「いや、俺が!」
「いや、自分が!」
にゃあプーです。これからもよろしくお願いします。