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4話

 俺は薫と一緒に学院裏近くの広場まできていた。

「この辺でいいか?」

「はい、この辺りにしましょう。シートもちゃんと持ってきましたし。」

 いそいそと薫は準備をし始めた。シートを広げ、そして弁当を披露した。

「へー、和食か〜おいしそうだな〜」

 卵焼きやキンピラなど色とりどりの料理が並んでいた、箸をもらってさっそく食べ始めた。

「どうですか?」

「ああこの卵焼きすっごくおいしいよ。もはや店を出してもやっていけるんじゃない?」

「あははは、お店なんて…いえ、私なんてまだまだですよ。でもお口にあって良かったです。」

 薫はなんでか少し引きつった笑みを浮かべていたが、俺はそんなこと気にせず。そのまま二人でお弁当を食べていた。

「んー指輪してると食いにくいな〜」

 俺は右手の指輪を外し制服のポケットに入れておいた。

 

「なぁ、さっきから何か聞こえないか?鳴き声みたいなの?」

「そうですか?私には聞こえませんが…」

「そうか?空耳かな〜。」

 クェーー………

「やっぱり聞こえる、裏山の森ほうからか?ちょっと行ってみようぜ。」

「裏山あたりは一応、生徒は禁止区域ですよ?入学式でも言ってたじゃないですか。」

「でも気になるじゃん、ちょっと見にいこうぜ。」

 俺は薫の返事も聞かず、裏山のほうにある森に入っていった。

「ちょっとまってください。」

 薫も荷物を片付けて、すぐについてきた。森は整備された道などなく、木などが自然の状態で茂っていた。森を少し入るとすぐにまた鳴き声がはっきりと聞こえた。

 クェ!…グェ!…ギィエェェェーーーー!

 そっちのほうにむかって俺たちは歩き始めた。そして俺たちは見た。一人の長い黒髪の女の人と鳥のモンスターが戦っている最中だった。モンスターを良く見ると上半身は鷹、下半身はライオンのモンスターだった。

「なんか昔、ファンタジー本でみたな〜グリフォンだっけ?」

「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよ!」

 グリフォンが俺たちの方にむいた。

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 生徒が進入禁止になっている森でも私には魔術があるのだから大丈夫だと思い、誰にも見られず魔術の修行ができる良い場所がないかと森の中をさまよっていた。

「くっ、なんでこんなとこに魔獣なんていんのよ!」

 森でひらけた良い場所があったと思い近づいたら、ひらけた所に突然空から魔獣が降りてきた。咄嗟に魔術を放ってしまったのがいけなかったのか、明らかに魔獣がこちらを睨んで魔法障壁で私の魔術を防いだ。

 私はそれでも連続に魔術を放ったが、すべて障壁に防がれてしまった。火力の高い魔術を放とうにも魔獣もこちらを敵とみなして攻撃してきたため詠唱キャンセル。私は今は逃走するしかできなかった。

 しばらく逃走しながら攻防していたら、魔獣がいきなり違う方向を見た。チラッと魔獣が見た方向をみると人が二人立っていた。そして魔獣の魔力が上がり始めた。

 まずい、エアリアルだわ。

「なにやってんの!早く逃げなさい。そこの二人!」

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 げ!なんかグリフォンがこっちを睨んでる、見つかったみたいだ。

「なにやってんの!早く逃げなさい。そこの二人!」

 女の人の言葉で俺は我に返った、そしてグリフォンの辺りにドロッとした感じで濃い何かが覆っているのに気づいた。嫌な予感がして俺は薫を抱えて横飛びをした。そして俺たちがいた辺りが突風がふき、木がズタズタに切り裂かれて何本も木が倒れていった。

「大丈夫か薫?くそ!ヤバイことになったな。」

「はい大丈夫みたいです、早く逃げないと、イタッ!」

 よくみると薫の足が少し切れて血が出ていた。

「大丈夫?あなた達。早く逃げなさい、さっきは少し意識がずれたからなんとかなったものの…」

 戦っていた女の人がいつの間にかこっちに来ていた。

「私の魔法もいつまでもつか…ただの足止めに過ぎない。早く逃げなさい。」

 グリフォンをみると球体の大きな水に包まれていた。

「いや無理だ、さっきので薫が足を怪我しちまった。逃げるのに時間がかかる。」

「なんですって!」

「ごめんなさい。私が・・・」

 女の人が薫の足を見た。

「確かに逃げるのに時間がかかりそうね。あなた学院の生徒よね?あなたクラスは?」

「1−Dだ」

「Dか…役立たないわね。でも男だし囮くらいできそうね…あなた、その子助けたいなら協力しなさい!」

 突然女の人はそんなことを俺に言ってきた。もちろん俺の答えは

「助かるなら協力でもなんでもするぜ!」

「ならこの子をココに置いていく。私達二人があの魔獣を惹きつけながらココから移動するしかないわ。」

 女の人またもトンデモナイこと言った。

「それしかないのか?俺たちが残り、あんた一人が惹きつけたほうがいいんじゃないのか?」

「そうですよ。私たちがココにいたほうが良いんじゃないですか?」

「無理だわ、さっき私と戦っててもそっちに意識むけたくらいだし。私だけであの魔獣になにもできなかったもの。さっきはあなた達に意識がむいたから私の魔法が効いたけど。」

 確かにあの時は俺達にいきなりグリフォンは向いた、でも俺は別に魔法とか使えるわけじゃないし役立つのか?

「俺がそっちに行っても足手まといじゃないのか?」

「ええ、少しは役立つわよ。さっき分かったけどあの魔獣、魔法障壁が前しかないみたいだし。あなたが囮となって私が後ろから打ち込めば勝てるわよ。」

 ぐっ、確かに俺がココに残るより可能性高い感じがするが、しかし薫をココに置いていくのは…

「祐樹さん、時間もないことですし私にかまわず行ってください。そして二人とも無事に帰りましょう。」

 そう薫に言われてしまっては…覚悟は決まった。

「よし!囮になれば良いんだな。俺はどう動けばいい?」

「私が魔法を撃って惹きつけるから、あなたもついてきて。怪我してるあなたはこの木の陰に隠れてなさい。私は『藤宮蘭ふじみやらん』、これから共にする者の名前くらい知っておきたいわ。」

「俺は大沢祐樹。」

「私は神崎薫です。」

「では行きましょうか、もうすぐ破られるころだし。」

 俺たちはグリフォンに前に出た。ちょうどグリフォンを覆っていた水が破られた。

 ギェェェェーーーーーー!!!!

 くっ、間近で聞くと超音波だな~

「いくわよ。わが水よ、敵を貫け、ウォータアロー!」

 藤宮の手から水の矢が何本もグリフォンに飛んでいった。もちろん水の矢は魔法障壁とかいうグリフォンの見えない壁に阻まれた。

「ついてきて」

 藤宮はその一言だけ言って薫と逆の方向に跳ぶようにいってしまった。

 くそ、速いな。俺は藤宮を追って一生懸命森の中を走った。

 

 俺たちの思惑どおり、グリフォンは追いかけてきた。

「ウォータアロー!このくらい離れればいいかしら。私は準備するため今から気配を消すから、あなたはそのまま一人で惹きつけといて。」

「はぁ?俺一人で?ちょっと!」と言う間もなく藤宮は存在が消えた感じで森の中に消えてしまった。

 もちろんグリフォンは俺を追ってきた。

 クェ!グェーー!

「俺にどうしろってんだ!こんなもん逃げるしかねぇ~だろ」

 

 ときたまに、グリフォンは風の刃を飛ばしてくるが木が緩和材となってなんとか逃げきれていた。魔力の蓋?が開いたせいか俺は普段の走る速さより、かなり速く走れるようになっていた。

「まだか藤宮…そろそろ疲れてきたぞ…」

 そのとき遠くから聞こえてきた。

「来たれ水の精よ。我の魔力を贄とし、我に命に従え。立ちふさがる敵をその毒をもって溶かせ!」

 森のどこかで何か濃い何かが発生している。多分藤宮だろう。

「いでよ、猛毒の水蛇!」

 森の中から水の大蛇が現れ、グリフォンにむかって牙をむいた。水蛇はグリフォンの胴体にかぶりついた。

 だが次の瞬間、グリフォンの身体の周りに風が纏い大蛇の顔が切り刻まれた。だが水蛇もすぐに顔が再生し、森から出てきた藤宮の近くでグリフォンと睨みあった。

「まずいわね。今ので決着がつくと思ったけど、象でも即死の毒なのに。魔獣には耐性でもあるのかしら?そう簡単にいかなかったわね。」

 確かに藤宮の蛇はグリフォンに傷を負わせた。確かにグリフォンの身体から血が出ているが…致命傷の傷ではないみたいだ。

 どうする?まだ策があるのか?俺は見ているしかできなかった。

読んでくださった方、ありがとうございます。初の戦いの場面でした。戦闘って書くのが難しい…

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