3話
俺は自分のアーティファクトと睨めっこしていた。指にはめたりしたが指輪が変化したり、魔法が使える感じなったりはしない。まあ2つあることだし、俺は右手と左手の人差し指にはめておいた。そして桜先生がやってきた。
「みんなぁ〜アトリちゃんからアーティファクトもらいましたね〜。今日は別に行事的なことはありませんので、今から午前の授業はじめたいと思いま〜す。はい準備して。」
俺らは授業の準備をした。さて今日は何があるのかな?―――と楽しみにしていた。
「では授業を始めます。今日は人に宿る『魔力』についてです。みなさんのアーティファクトもこの魔力なしでは動きません。まあ例外とかもありますが、大抵動きません。」
そうだったのか…どうりでさっぱり分からないわけだ。
「だからか、俺の銃を祐樹に撃ってみたが何も出なかったし…」
「撃ったのかよ、あぶね〜な!」
「何してるんですか小塚さん!そんな危ないことして!」
「いや、祐樹だし大丈夫じゃね?ほら運だけは良いほうだし…」
「なにを根拠にそんなこと言ってんだか…」
「そこ!ちょっとうるさいですよ!えーっと、どこまで話しましたでしょうか?そうそう、人は魔力を使って魔法を使います。このクラスには今まで魔力を感じた人はいないんじゃないかな?魔力は、生まれた時から『持っている人』と『持っていない人』に別れるのが分かってます、でもダイジョ〜ブ♪ココにいるみんなは持ってる側の人間です、なんせ入学試験が魔力検査だし。」
あの一瞬で終わった試験は魔力の有無を調べる検査だったのか、つまり俺と文也だけが受けた奴のなかで魔力があったのか…
「魔力がある人間は200人に1人と言われ、今年も受験者2万人に対して合格者100人くらいでしたしね。霊が確実に見える人や武術の達人級になると自発的に魔力を使えたりしますが、一般人はまあ使えませんね。まあ魔力といわれてもピンときませんから、みなさんに魔力を感じてもらうために、今から『無理矢理』魔力の器の蓋を開けたいと思います。」
「お、祐樹。俺らでも今すぐ使えるようになるみただぞ?」
「いや桜先生は無理矢理とかいってたぞ?大丈夫なのか?」
「私もこのタロットカード使ってみたいです。なんだかワクワクします。祐樹さんもしません?」
いや俺も使えるとワクワクしてるが、無理矢理って言葉がひっかかってるんだが……
「では一人一人開けていきますね。出席番号順にいきますから心の準備しといてね〜」
俺の番になった、前の奴らはなんとなく雰囲気が変わった感じがするかも。
「さぁ大沢くん!君の番ですよ、心の準備はおっけ〜?さぁいきますよ〜。」
俺の肩に先生が手を置いた…先生が肩に手を置いた瞬間、俺の体に無色のオーラのようなものが纏ってるのが見えるようになった。
「へーこれが俺の魔力か…確かに俺は感じたことない感じだな。なんて表現したらいいかもわからんな〜コレは」
「うまくいって良かったです、はい次、神崎さんね」
次々と先生はみんなの魔力の蓋?を開けていった。
「おーこれが魔力か。今撃つとなんか出るのかな〜?」
「やめろよ、今撃ったら大惨事になるんじゃね〜か?試し撃ちもやめろよ。」
「祐樹さんに撃ったりしたら…小塚さん分かってますね♪」
「ああ…わかってるとも…」
ちょっとなんか文也が後ずさった感じがした。別に普通に席座ってんのになんでそんな感じしたのかな〜?
「はぁ~い、みなさん落ち着いてね~まだやることありますから。ここからはきっちり聞いてくださいね、時間がないですから。そのままではお腹が減って減って動けなくなりますから。まず頭に意識をむけてください、そして次は右手の先、右足の先、左足の先、左手の先、そして頭に順に意識をむけてください。」
俺たちは先生の言うとおりに頭、右手、右足、左足、左手に意識をむけていった。
「それを何回も繰り返して循環させてください。そうすると魔力が膜みたく身体を覆う感じになると思います。」
何回かやっていると、魔力が次第に身体に膜のように纏わりつき、より安定した感じなった。
「ふぅ~~。見た感じ、みなさんの魔力が安定しましたね。その状態を『維』と言います。覚えといてくださいね。これからそれが通常の状態になりますから慣れてくださいね。」
うーむ、なんか全身に違和感を覚えるし、身体の内側にも何か違和感がある。
「これがこれから普通の状態になるのか…」
「確かに違和感は感じるが、別に平気じゃね?今までとほとんど変わらなさそうだし」
「いえ、小塚さん違いますよ。みなさんの魔力が覆ってるのがわかるようになりましたから…もう一般人ではなくなったということです。」
薫が聞き捨てならないようなこと言ってたが、授業を聞かないといけないのでスルーした。
「今の状態を『維』と言ったように『絶』という状態もありますが、また今度話ます。今日の午前の授業は『維』に慣れる時間にしましょう。その状態を維持してクラスですごしてくださいね。決してドンパチはしないように!」
そして先生は自分専用みたいなちんまい木の椅子に座って本を読みはじめた。
「なあ文也。あんな椅子いつ持ってきた?俺は見てないんだが…」
「あーあの椅子?さっき先生の箒が変化したとこ見たぞ。」
「あの椅子桜先生のアーティファクトの能力なのか。そういえば空も飛べるとか言ってたな、何かと便利そうだな…そうだ俺のアーティファクトどうなったかな?」
そして人差し指を見たが―――変化なし、何かを感じるとかもなく沈黙したまま。
「祐樹さん!今日、一緒にお昼食べません?お弁当もってきたんです。」
「お弁当?そんなのあるならご相伴にあずかるかな。薫が作ったのか?」
「はい、昨日夕方に外に出て材料買って、今朝自分の部屋で作りました。一応学院が終わったあと数時間外へ行ってもいいみたいですよ?」
「へー神崎が料理ね~大丈夫かよ…」
「これでも料理は小さいころからやってるんですから!」
「へーなら楽しみだな、でも外へ出れるなら遊びにいったりできるな。」
外へ出れるなら母さんの邪魔が入らず買いにいけるな、新作のゲームやら諸々買いたいものあるんだが…
「いえ、そうでもないですよ。事前に申請して、許可証もらってから入り口の警備員さんに見せてやっと出れますから…」
「結構面倒だな~そんなことまでして作ってくれたのか、ありがとな。」
「いえいえ、とんでもない。それで今日も晴れてますから外で食べませんか?学院裏近くの広場とかで。」
「いいね~なら文也も入れて三人でいこう」
俺がそう提案すると
「はあ?何言ってやがる。俺は一人で食堂いくさ、二人でいけ。広場なんて行ってられるか!」
なんか急に文也があきれた顔で言った。
「そうなのか?なら二人でいく?」
「はい、こういうときの小塚さんはスキですよ。これからもその調子でお願いしますね。」
「はいはい、ありがたくそのお言葉いただいておきますよ~」
そして俺は薫と二人で昼食を食べることになった。
にゃあプーです。読んでくださった方ありがとうございます。