2話
俺は昔から血が嫌いだ。昔にトラウマみたいなことでもあったのか、何故かはわからないがあの血の色や、漫画でも赤色の血が描いてあるのでも気分が悪くなる。
つまり俺は採血中は全く見ない。左手から血を採取されようが目をつぶりじっと耐える、それしか俺には方法がなかった。
俺の番も終わり、次々と採血は終わっていった。
「さてみんなの採血も終わったことだし、残りの午前の授業は自習ね!みんなのアーティファクトどんなのになるのかな〜楽しみだな〜」
「多分明日には出来てると思いますから。それでは早速とりかかりますので、失礼します。」
「またね〜〜アトリちゃん。」
アトリさんはみんなの血液をもってクラスを出ていってしまった。
「さて自習中はあんまり派手に遊ばないようにね〜、他の先生怒られちゃうから。ではまた午後に会おう諸君!」
何かのキャラになりきってるか分からないが、桜先生もクラスから出て行ってしまった。
俺は採血したせいか体調はすこぶる良くなっていた。
「お、今回は早かったな祐樹、復活か?採血がショック療法的な感じだったのか?」
「ああ、大分良くなった。そして腹減った、そういえば昨日の昼から俺何も食ってないぜ。」
俺はまたも違う理由で机にうつぶせになった。
「そうなのですか?祐樹さん昨日の夜どうかしたんですか?朝はお腹が痛かったので食べてないと思いましたがが、夕食も食べてなかったんですか?」
「そうコイツ、昨日の夕方から爆睡。夕食のとき部屋にいったらぐったりと寝てたしな。ほらやる!今朝購買で買ったパン、えーっと名はグレートデリシャスチョコチップメロンパンだったかな?なげぇ〜んだよ。」
文也がどこからか取り出したメロンパンを俺の方に放り投げた。俺はすぐさま身体を起こし見事キャッチした。
「用意周到ですね、小塚さん。今天敵と認定しましたから。」
「さんきゅー。んで敵?なんかしたのか文也?」
俺が文也から貰ったメロンパンに開けている間に薫が文也を睨んでいた。
「いやなにも。おまえは知らなくていい、俺の問題みたいだ。」
じーっと薫から睨まれてる文也という構図をみながら、俺はメロンパンをほおばった。
「さて午前中は自習にしたんですから、午後からきっちり授業しますよ〜」
午後の授業が始まった。午前中の不調が嘘のように体調はすっかり元に戻った。体調が戻ってきた時にメロンパンを食ったがまだまだ俺の腹には物足りず、俺は昼飯に食堂で牛丼[大盛り]2杯たいらげている。
「午後もアーティファクトについてです。午前に話したとおり私のアーティファクトはこの箒です。材質は桜の木で出来ております。私のように身近な物から出来ていることもありますが、時にはよくわからない物質でできていたりと様々です。」
しかし俺のアーティファクトはどうなんになるんだろうか、楽しみだ。
「しかしアトリちゃん、よく血液からこんな物作れるよね〜。前アトリエでみせてもらったけど、大釜に大量の水が入れてあってその大釜に材料(血)を入れて混ぜ棒で、『ぐーるぐる、ぐーるぐる、ぐーるぐる』するみたい、それで完成。なんでアレでできるわけ?理解不能だよ、錬金術ってのは…」
桜先生は途中から愚痴ぽく語っていた。そんなとき俺の隣から
「祐樹なら意外にできるんじゃね?錬金術。」
「いや、できるわけねーよ、まだ魔法すら放てないのに。あのアトリって子が意外にすごいんだよ…」
ぐーるぐるだけで作れたなら誰だって作れるじゃねーか!
「コホン、脱線しましたね。話を戻します。アーティファクトは属性により色が決まります、赤なら火、水なら青、風は白、土は茶って感じすね。まあその他の色とかもありますんで、一概にはいえないんですけどね。」
桜先生の箒はもちろん木なので茶色、つまり土属性の魔法使いってことですかね?
次の日の朝は昨日みたくの最悪の状態ではなく、普通の体調だった。食堂に行くと
「朝からなんかトラブルはないのかね?座敷わらしとか貧乏神とか見えたとか?なんかないわけ?祐樹さんよ~。」
いきなり朝から変なこと言う文也に食堂の入り口で出くわした。
「そうそうねぇよ。まあ貧乏神は見えないが俺の部屋に居座っていそうだが」
「ちっ、つまんね~な。青い鳥とか見つけたとかもないのかよ。」
「あるわけ無いだろ・・・あっ、お姉さん、B定食で。」
「朝からB定食かよ、よく食えるな~。おばちゃん、朝食のAセットで。」
まあ食堂のおばちゃんにお姉さんといっても別に何も変わらず俺には普通のB定食でてきたし、文也は軽めの朝食がきた。
「まあ大盛りにはならんだろうね…お姉さんってこと一言だけ言っても祐樹は大盛りの値段払ってなかったし…」
文也がひとりでつぶやいていたが、俺たちは朝食を食って学院にむかった。
俺達は今寮と学院の中間くらいの道にいる。そこに薫が立っていた。
「おはようございます、祐樹さん。あと小塚さんも」
「俺はやっぱりついでなのね…おはようさん、神崎。」
「おはよう薫、どうしたんだ?こんなとこで?」
「祐樹さんを待ってました。昨日の朝はあんな状態だったので心配で。でも良かったです、今日は一緒に登校できますね。」
学院まではすぐそこまでだが俺たちは三人で学院に向かって歩きだした。
クラスに入ってみるととアトリさんが大きいカゴを背負ってすでに居た。
「おはようございます。アトリさん、どうしたんですか?」
俺が代表して俺たち三人の同じ疑問を言った。
「おはようございます、みなさん。みなさんのアーティファクトができたので持ってきました。みなさんココに名前を書いてください。名前を確認したらアーティファクトをお渡ししますから。」
教壇に置いてあった紙とペンをとり、アトリさんは前に出してきた。
一番近かった薫はすぐに用紙に自分の名前を書いて、アトリさんが背中のカゴから出したアーティファクトの入ってると思われる袋をもらって自分の席にいってしまった。
次に文也が用紙に名前を書きにいった。
「ちなみに、違った名前書いても無駄ですからね?アーティファクトはその人『しか』使えませんから。」
文也が動きがピタッと止まった。
「いや~そんな無駄なことしませんて、もうなんで信用ないかな~。俺なんかしました?」
「いえ、でもなんとなく注意しとかないといけない気がして。なんででしょ?まあ用紙にお名前をお書きください。」
なんか企んでたな、文也の奴。まあ未然に防がれたみたいだが…
そして文也もアーティファクトの袋をもらって自分の席へ行ってしまった。
「さて俺の番か、なにがでるかな?なにがでるかな?」
名前を書いてアトリさんから小さい袋を渡された。なんかやけに小さいな~、と思いながら自分の席に向かった。自分の席で小さな袋を開けると中から二つの金色の指輪が出てきた。
「指輪か~ちょっと思ってたのと違ったな、それも金色って」
「おーおー、変わったアーティファクトみたいだな。俺は銃2丁だったぜ。」
文也のほうを見ると机の上に二対の白と紫の銃が置いてあった。
「私はカードみたいです。いろんなドラゴンがそれぞれ描かれています。」
薫はタロットカードみたいなのにドラゴンの絵が描かれた六枚のカードだった。
「そっちも変わってるみたいだな、俺のみたく色では属性は全くわからんな。でもなんか使えそうな感じがする。しかし祐樹の金の指輪って、それも二個。全くよめん、祐樹のはなんのアーティファクトなんだか…」
文也の言うとおり、自分でも全くわけがわからないアーティファクトだった……
多分指にはめるんだろうけど…