16話
「今度やったらとっ捕まえるから覚悟しててね。」
愛川さんが立ち去ろうとしていた。
「あっ、ちょっと。質問いいですか?」
愛川さんは立ち止まってこちらに振り向いた。
「ん?何?」
「見つけたとして何処にいけば?2年ってだけでは・・・あともう一つ気になることが、風紀委員ってどんな人達がなるんですか?」
風紀委員はできればなりたくない委員の上位だし、今後のために聞いておきたい。
「お昼に2−Bの教室にでも来てくれればあえると思うよ。委員会しらない?知らないよね、武術大会まだだもんね。」
この人かなりできる人だな。なぜ大会の話が?
「委員会は武術大会が関係するんですか?」
「そうよ大アリ、風紀委員に選ばれるのは武術大会の成績だしね。頭の良さでもなく、魔力の強さでもなく、とにかくクラスで一番強い男女1人ずつ選ばれるから。ちなみに拒否権ないから」
「げ、マジですか…てことは愛川先輩は2−Bで一番強いんですか?」
俺は顔を強張らせながら言った。この人俺が思ってるよりも強い人なのかも、抵抗してたら今頃南〜無だったかも。
「違う違う、私は去年のCクラスの風紀委員だよ。風紀は夏の大会で決まるから、そのままやってるってわけ。また今年の大会で決まるわけだよ、今年は無理っぽいけどね」
愛川さんは最初は慌てたように口走ったが、最後のほうは悔しそうに呟いた。まあそれでもCの1番強い人だったのでも十分すごいけど・・・
「そうだったんですか、そうなると風紀委員にならないようにある程度の成績が悪いほうが良いと…」
俺は逡巡し答えた。
「そう考える奴がいるから、伏せられてるんだった。まあ君、手を抜いたら分かるんだからね。でも悪すぎると補習が待ってるからDなら全力でやることを薦めるよ。先輩からのアドバイスはこんなもんだよ、そろそろ行かないと。」
「ありがとうございました。まあ大会は全力で挑みますよ、負けるの嫌いですから。」
「そう、ならさっきのイライラはそこでぶつけなさい。カナデちゃんも、それじゃあね」
愛川さんはそう言って去っていった。ふむ、良いこと聞けたかもな。その時服が2度ほど後ろから引っ張られた。
「ん?どうかしたか?カナデ」
「…風紀委員になるつもり?…」
「なるつもりはない。あんな面倒なことやるかよ。さあ俺たちも帰ろうぜ」
俺たちの周りにはもう人は誰もいなくなっており、帰りはそんなにストレスもなく帰れた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は食堂に行くと文也がもうすでにいた。どうやら無事に帰ってきたみたいだな。
「よう?大丈夫だったか?」
俺がそう言うとどうやら気づいたらしく
「ああ、途中まで危なかったが、まあ無事に帰ってこれたよ。それよりそっちはどうだった?」
文也は普通に返してきた。まあ問題おこしてないならいっか。
「ああ、こっちは小隊への勧誘だったよ。人数が少なくて困ってるらしく1年でも倍率が低く将来性があるやつに話しかけてんだとよ。」
「へー小隊か、確かにミステリーサークル作ったもんな、注目度は高いわな。神崎も特殊だしな。んでどうすんだ?入るのか?」
「2,3日中に決めることにした、もうちょっと考えるつもり。まあVRシステムっていう装置には驚いたよ。砂やら雪やら木やら出てくるし。」
「まあ小隊はそれでいいんじゃね?んでそのVRシステムってなんだよ、意味わからんぞ。」
俺たちはそういう他愛もない話をしながら過ごした、
しかし食堂で食った麻婆豆腐、辛すぎだぞ。まだヒリヒリしてるし、なんちゅうもんくれるんだよ、北枝。まあそんなこともあったが永い1日は終わった。
次の日、食事も終え文也と登校してるとちょっとだけいつもと変わったことがあった。まあ薫の隣に北枝がいて待っていただけなんだけどな。俺たち4人で今日からの授業をどうするとか話ながら登校した。ちなみに北枝は桜先生が来るまで俺たちのクラスにいた。
俺は前衛科で志郎と戦ってある時、相手が武器もってるとこっちも武器とか持ってないと戦うことすら難しいと思ったので、なにか武術の授業ないかと分厚い本を開いて見ていたが…決めれないでいた。コレといって武器にはこだわらない俺は、どれでもいいので本を閉じて開いたページで良いと思い本を開いた。開いたページには鞭と槍の授業のページだった。
鞭ねぇ~。俺が鞭を持った姿か…
ピシィ!ピシィ!と床を打ち「ワンとお泣き!」と言っている俺を思い浮かべてしまった。
ダメダメ、これは嫌だ。もう片方の槍でいい、午前は槍術の授業に出ることにした。
槍の授業はまず自分にあう槍を見つけるとこかららしく、槍の長さは基本身長の2倍くらいが無難らしいが、3mくらいの槍を持った時思ったよりちょっと長いと思ったし、長ければ長いほど近距離が絶望的になることからちょっと短めの長さを選んだ。
槍の戦い方には2通りあり、1つは柄を長く持ち長さを活かして、突き、払い、斬り、絡めるなどをおこなう戦い方。利点は慣性の法則により威力の高い攻撃ができることと、相手の攻撃範囲外からの先制攻撃ができること。欠点は至近距離での戦いは無理ということ。
2つ目は柄の中ほど持って、槍を横や縦にして両側を駆使する戦い方。利点は格闘術などでも威力を発揮しやすく、切り替えも早いということ。欠点はこの持ち方の戦闘には自分の経験や技術などが深く関係し慣れないと使いづらいということ。
今回は慣れろってことで、自分の長さの棒をいろいろ振り回して午前の授業は終わった。どうしても自分の槍が欲しいなら高いけど購買にいる錬金術師に頼めということだった。普通の槍だと魔法などでバキバキ折られるからキチンと対魔法でもやれる槍にしたほうが良いということだった。槍も柄の種類やらいろいろあるため、ココで試して本当に自分にあう物を見つけてからするほうが良いとのことだった。
授業も教室での講義より体動かすほうがあってるな、でも流石に3時間くらい棒振ってると腹減ったし、慣れない筋肉使ったのか体のいたるとこ痛い、まあ普通に棒に当たって痛いとこもあるんだけど。いったん薫たちと合流するために教室にむかった。
ガラガラとクラスの扉を開けると
「おう、おかえり祐樹。」「………」
「おかえりなさい祐樹さん。どうしたんですか?かなり疲れてる感じですけど…打撲とかあるじゃないですか!」
そんなに俺ボロボロかな?てか北枝こっち見ただけで終わりですか?ほとんど反応なし。
「まあ棒を振り回してたからね、多少打撲とかあるがたいしたことないよ。みな揃ってるなら飯食いにいこうぜ」
「そうだな俺も腹減った。」
俺たち4人は食堂にむかった。
俺と文也、薫は定食にしたが北枝さんよ、麻婆豆腐ですか…よくそんな辛いの平然と食べれますね。
「そういえば文也は午前の授業は何にしたの?」
「あん?そうか、逃げるために言わなかったな。魔導学だよ。」
文也はため息混じりで言った。なるほど北枝は朝からいたからな、あえて言わなかったのか、そして朝礼後すぐ消えたのか。
「そういう感じだとすぐに北枝に捕まったみたいだな。」
「いや、正確には捕まっていないな。魔導学の教室まで一人だったさ、そして入ったらもう居た。何故だ!何故一言も言ってないのに分かる。カナデは俺の考えが読めるのか!」
文也は恨みがわしい顔で北枝に言った。とうの本人は無言で文也の言葉にも何も反応みせず、もきゅもきゅと麻婆豆腐を食べていた。
「単なる偶然だったんじゃないですか?たまたまですよ。カナデちゃんも魔導学を受けるつもりだったんじゃないですか?」
「そうたまたまだって、気にしすぎなんだよ。んで魔導学はどんなことやったんだ?」
文也はまだ納得がいってないみたいだったが、しぶしぶ話始めた。
「んー、魔導学は文字など書いて、まあ魔方陣みたいのでどういうことができるか、研究するみたいなことだ。俺は自分のアーティファクトがどんなことできるのか、知りたかったし何か付け加えられないかって思ってな。そういえば俺まだカナデのアーティファクトとか見たことないんだけど…」
文也がそう語ると、それを聞いた北枝が自分の右腕をテーブルから少しあげ、左の指で右腕の手と肘の間を指した。
「ん?そこにあるのか?俺にはなんも見えないけど?」
そう俺が言うと
「…ソニックブレード…」
北枝が指してたとこに篭手みたいなのが現れ、ソコから手の先の方向に50cmくらいの青白い光の刃が出た。
急いで書いたので、誤字脱字などありましたら連絡を。
読んでくださった方ありがとうございます。