12話
「えーーちょっと待って行かないって!楽しいよ?カナデちゃん!ところでカナデちゃんってお兄さんっていたの?」
「…うん…」
「あの〜茜先輩、一応言っておきますが文也は実の兄ではなく、北枝はお兄ちゃんのように慕ってるって感じで・・・」
「あっそうだよね。こんな変で変態でブサイクな奴が、カナデちゃんの兄なんてありえないよね。」
(なあ祐樹、やっちゃって良い?良いよな?良いにきまってるよな?ここまで言われて…)
(どうどう落ち着け文也、一応先輩だしここは落ち着け。)
「う〜〜む、今日は諦めるとするよ。まあ来たくなったらいつでも言ってね、歓迎するよん。それじゃあ二人とも行くよ〜」
「あっはい。カナデちゃんまたね〜小塚さんも」
「文也、がんばって帰れ!また晩飯の時にでも会おうぜ」
俺たちは茜先輩につづいてクラスを出た。
中庭に出たとき
「ねえユウユウ、お昼に渡したカード持ってるよね?無くしてないよね?無くすと葵ちゃんに私がすぅーーーごく怒られるんだから」
「大丈夫。ありますよ。」
あぶねぇ〜ポケットにそのまま入ってて良かったぁ〜
「私もあります。」
「良かったぁ、それがないと入りにくいんだよ〜それ持ちながら歩いてね〜」
中庭をぬけ、しばらく歩き裏山近くまできた。
こんなとこに何があんだ?
そう思ったとき目の前に建物が現れた
「ふ〜無事全員とうちゃ〜く。ただいま〜」
茜先輩はすぐに建物に入ってしまった。建物は立方体の形をしており壁は白そして金で13と描かれ、結構でかい建物だった。
「祐樹さん、私達も入りましょ。ここにいてもしかたないですし」
「そうだな、入るか」
俺たちも建物の扉をあけ、中に入った。
「ようこそ、十三小隊へ。大沢さん、神崎さん。」
背も少し低くショートカットの男か女かよくわからん人から声をかけられた。
「ああ…あの?茜先輩は?」
「茜なら、もうすっかりグータラしてますよ。すいません自己紹介が遅れました。私は卯月真樹です。性別は男、同じ1年なので卯月とでも呼んでください。決してマキィとは呼ばないでください!」
「あーよろしく、卯月?同じ一年なんだし、なんかそのかしこまった言葉ってやめれる?」
「そう?助かるよ、大沢。いや〜僕もこの堅苦しいしゃべり得意じゃないんだよ。神崎もよろしく頼むよ。」
「ええ、卯月君?何か違う…卯月…うづき…卯…兎…ウサちゃんよろしくね!」
「ウサちゃん・・・ちょっと待てウサちゃんってなんだよ!マキィよりヒドイぜ」
「こんなに可愛いのに卯月君なんて呼びたくありません。ウサちゃんです、ウサちゃん。マキィではないですし良いですよね?でも男の人なんですか…勿体無い、フリフリなのとか着られそうですよね・・・ふふふ」
「変な考えはよせ!神崎。俺は真っ当な男だ。フリフリなど着ない!ほらついて来い、案内する。」
なんかトラウマでもあんのか?かなり拒絶してるが…まあ女装したら女にしか見えんだろうな~
卯月についていき、俺達は応接室と書いたプレートの扉の前まで来て
「ここだ、まあ質問など話は入ってから全部聞く。どうせ茜は説明とかしてないんだろ?」
「そういえば何も聞いてなかったな、まあ茜先輩は悪い人ではない感じだし」
「よくそれで付いてきたな、まあ葵が話てくれるだろ。」
そして俺たちは扉をあけ中に入った。
俺たちが入るとそこは、ソファやテーブルなどが置かれた綺麗な洋室だった。
そのソファにさっきまで案内してくれた茜先輩がグタァ~と寝そべっていた。テーブルを挟んで向かい側のソファに茜先輩とうりふたつの姿の人が紅茶を飲んで座っていた。
「ようこそ、大沢君に神崎さん。ほら姉さんも寝てないで起きてください。座れないじゃないですか。」
「う~~もうちょっと寝かせてよ。葵ちゃん。椅子ならあっちにもあるじゃん。」
「ね・え・さ・ん!入ってくれるかも知れない人がきてるのですよ・・・」
ビクッと茜先輩は反応し、恐る恐るソファから起き上がった。
「葵ちゃん?・・・・・・・ほらほら、そんなとこに二人ともいないで、ほら座った座った、二人とも飲み物なにがいい?お茶でいいよね?今持ってくるから・・・・」
せわしなく茜先輩は動きだし、どっかへ行ってしまった。
「茜・・・ほら大沢も神崎も遠慮せず、座りなよ。僕は椅子の方に座るから」
「ああ」
そして俺達はソファへと座った。
「ようこそ十三小隊へ、私は2年の『白銀葵』。ここの副隊長をしてるわ。ちなみに白銀茜は私の双子の姉ね。」
「やっぱりそうですか、かなり茜先輩と似ていますしね。」
見た目では全く区別つかない。まあ中身はかなり違うみたいだが
「ちなみにそこにいる…」
「さっきもしたが卯月真樹だ、茜たちの弟にあたる」
「「弟!」」
卯月は髪は茶だし先輩は金髪だし…
「…いやでも先輩は白銀でこっちは卯月なのは・・・」
「僕のほうが母方の名前だな。正真正銘の血のつながった弟だ。」
兄弟で苗字を変えるなんて、なにか事情でもあんだな。
「たしかに言われてみればどこか似てる感じはするな」
「それで話を戻していいかしら。」
「あっはいどうぞ」
そうだった。小隊のこと聞かないといけないんだった。
「この小隊の話って姉さんから聞いてる?」
「いいえ、なにも・・・」
「やっぱりね。小隊ってのはこの学園の部活動みたいなものよ。16隊まであって2年生はすべてこの部隊のどこかに所属しているわ。部隊どうしで模擬戦などして自分の役割など、みないろいろ試したりしてるわ」
「2年生すべてってことは100人くらいいるってことですか?」
「ええ、そうよ。そして夏の時期1年生のスカウトが始まるの、主にABCのクラスね。そして総勢160人くらいになるわ」
スカウトならABCクラスだよな~、Dクラスの俺達が何で呼ばれたんだ?
「160人ってことは部隊だいたい10人くらいですか?他にも先輩いるんですか?」
「いえ、この隊には現在私と姉さんと真樹の三人しかいないわ、そこであなたたちに来てもらったのよ。」
「一応スカウトって訳だ、それもフライングの。でも俺たちDクラスですよ?Aとかのほうがよっぽど良いんじゃ…」
「そうね、でもAだと競争率が高くなるのよ。他の部隊のならそれでもいいかもしれないけど、部隊に五人いないと模擬戦にも出れなく解散になってしまうわ。今は質より量が欲しいってわけ。それでも強い人を迎えたいわけで、それであなた達なのよ。」
読んでくださった方ありがとうございます。