9話
どっちも譲らないので、藤宮がこうきりだした。
「決まらないなら、あなた達から戦いなさい!私が審判やるわ。文句ないわね!」
文句をいうと対戦させられそうなので、俺と志郎が戦うことになった。
「では噂の祐樹の実力みせてもらおうかな」
「いやおれ弱いから、期待しすぎ。」
さてどう戦う…Cってことは何かしら武術をみにつけてるってことだよな〜
「あっそうそう、大沢君のそのアーティファクト一つ貸して。どうせ使い方とかまだ分かってないんでしょ。」
「ん?ああ別にあってもなくても使い方わからないし、意味ないからな。」
俺は右の指にはめた指輪をはずし、藤宮に渡した。
そして藤宮がじーーーーっと指輪を見てたのにちょっとひっかかり
「どさくさにまぎれて、売るために持ってかないでくださいよ…ちゃんと返してくださいね」
「藤宮ならやりかねそうだな〜」
「ちょっと、私をなんだと思ってるの!私はそんなことしないわよ!ほらちゃちゃと始めなさい」
俺たちはまた向かい合った。
「そうだな始めるか、クリエイション。」
志郎はどこからか白と黒の短剣を2本出し手に持って構えた。
「ちょっと待て双剣かよ、刃物じゃね〜か」
「ああ、黒翔・白飛って言う二対の短剣だ。真剣だから切れるぞ」
「それが志郎のアーティファクトなのか?」
「違うぜ、これは自分の魔法だな。自分のアーティファクトはかさばるし、寮に置きっぱなしだ。」
「そういえば私も見たことないわね。どんなのなの?」
「鞘だ。錆びた鞘だけだった。剣もあるわけでもないし、使い方分からないし、少し大きいから寮においたままになってる。」
「へー結構使い方分からないアーティファクトってあるんだな」
「まあ今度見せてね。ほら始めなさい、時間かかりすぎよ。」
「じゃあいくぞ。」
志郎がこっちにむかってきた。
だぁ〜くそ!どうすんだよ。刃物相に素手で戦えるかよ、避けるしかね〜よな。
志郎の右手の短剣の横一閃を俺はバックステップをして避け、さらに勢いのまま志郎が回転して左の一閃を続けざまに放ってきたのを、俺は左後ろに後退しなんとか避けた。
「ほー祐樹はなかなか身体は反応するみたいだね。なんか習ってた?」
「まあかなり昔、少林寺をちょっとな。たいしたことねーよ」
俺たちはまた向かいあった。
相手が武器なんだから、おれもせめてなんか武器欲しいぜ。なんかねぇ〜のかよ。
◆◇◆◇◆◇
二人の対決はやっぱり志郎の優勢ね、まあ大沢君はDだしそうじゃないと変だし。でも志郎は最初双剣作っただけか、身体強化も使ってないみたいだし。
藤宮が持っていた指輪が少し光りだした。
ふむ、光りだしたわね。何か発動したみたいね。さあ何を見せてくれるのかしら?楽しみにしてるわよ、大沢君。
◆◇◆◇◆◇
志郎はあんまり双剣はうまくないらしい、なんとか生きてはいるな。腕とか胴が少し切られたし、ちょっと疲れてきたぞ。未だに打開策なし。
そう考えていたせいか志郎の双剣に、反応が遅れた。
やばっ!この距離は避けきれねぇーと思った瞬間、俺の右手に水の剣が発動し志郎の剣を弾き返した。
俺の右手から出た水の剣は志郎の剣を弾き返したあと、はじけて消えてしまった。
「へー水か。やっと本領発揮ってわけか。やっと楽しめるのか?」
いや俺自身でもこの状況わけ分かってないし。本領発揮とか言われても…
そのとき左手の指輪が少し光っているのに気づいた。
前にもこんなことがあった気がする。だがいつだったかな?
そして俺はふっと水の魔法が扱えることが分かった。水が扱えるならアレできるかな?
「ん?何かあったか?祐樹」
「ああ、まあな。強い水の魔法使えるかもしれん、できるかわからんが…」
「なら試してみろ、さっきから一方的だったし面白くなかったしな。受けてたつぜ。」
「どうなっても知らないからな。たしかぁ~、」
うろ覚えで右手を前に出し目をつぶり集中した。
「来たれ水の精霊よ・・・・我の魔力を生贄とし、我に命令に従え・・・・」
◆◇◆◇◆◇
うむ、やっぱり容疑者はあながち間違いじゃないみたいだな。Dクラスがいきなり魔法が使えるとは思えないし、それも強い魔法が使えるかも知れないとは普通言えないさ。しかし強い魔法って何か知ってるのか?それともオリジナルか?
「来たれ水の精霊よ・・・・我の魔力を生贄とし、我に命令に従え・・・・」
ちょっと待てあの言霊、藤宮の蛇のやつだろ!できるわけない、上位の水魔法だぞ。でも噂の祐樹だ、どうなるか分からんな。念のために準備しておくか、まずは祐樹と距離をとる。
自分自身に身体強化の魔法かけ、一気に距離をとる。志郎は飛び跳ね祐樹と距離をあけた。
この辺りでいいだろ、
「クリエイション。」
右手に細長い西洋の剣作り出し、左手に小太刀作りだした。
ぐっ、やっぱ違う剣を2本出すのはキツイな。だが完璧じゃなくていい、祐樹の場所まで形が保てば良い
そして右手の西洋の剣に魔力をこめ始めた。
◆◇◆◇◆◇
「目の前にいる敵を・・・・毒をもって溶かせ・・・・」
右手に魔法は出来上がった、なんか右手らへんが濃い塊がある。
あとはこれを発動させれば良い。俺は目をあけた。
あれ?志郎がいない。どこいった?
探すと志郎はちょっと遠いとこにいた。そしてそこで五郎は2本の違う剣を持っていた。
なるほど、あれが志郎の戦い方か…迎え撃つ準備はできてるみたいだな、ならいくぜ!
「いけ、猛毒の水蛇!」
俺の右手から水の大蛇が出た。
◆◇◆◇◆◇
本当に出しやがった。狙いは水蛇。
志郎は右手の魔力を載せた剣を思いっきり投げる。
志郎が身体強化状態で投げため、魔力がこめられた西洋の剣は猛スピードで水蛇に飛んでいき見事命中。西洋の剣は水蛇と衝突した瞬間、魔力を爆発させて水蛇のいたあたり一帯を霧みたくしていた。
よく見えなくなってしまったな。だが水蛇は再生できるはず、もう1回準備しとくか…
と考えていたとき
「勝者!江藤志郎!」っと藤宮の声が聞こえてきた。
「へ?なんでさ?」
左手の小太刀を消して、霧へと志郎は近づいていった。
◆◇◆◇◆◇
何してくれるかと思ったら、私の十八番の魔法を使うなんてね。さっきまで魔法の使い方が知らない人にあっさり使われるとなんかムカツクわね。まあ結果があれだけど…
そして志郎がこっちにやってきた。
「なあ藤宮、なんで自分の勝ちなんだ?」
「あれ見れば分かるわ」
大沢君のほうに指をさした、その先には彼は倒れていた。
「祐樹はどうしたんだ?」
「単なる精神力が持たなかったのよ、気絶してるだけ。それよりもコッチのほうが問題ね」
「ん?どれだ?」
自分たちの周りが静まっていた、そして全員こっちを見ていた。
「あれだけ派手な音だったしね。それにこの霧状態だし、こうなるわよ。」
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