プロローグ
ん?何だココは?森の中か?でも見渡す限り赤、赤、赤。
空が紅い、木も草も赤い、しかしこの世界でも一つだけ色が違うものがある。俺の身体だけは普通の色の制服を着ていた、まるで赤い世界に俺という異物が入りこんだ感じだ。
何だ?この世界は?
今更ながら俺は知らない制服を着て森の中に立っているみたいだ。
「俺は何でこんなとこにいるんだ?」
俺は小さく呟いたはずだったが周囲に響き、気付けば余りにも静かだった。小鳥の声、風の音すら聞こえない。
「一体何なんだココは・・・」
何かきっかけでもないかと周りを見た、前、右、左、後ろを一つ一つ重点的に。木々の奥は黒く闇になっていて遠くまで見えない―――が何か違和感がある。何かの音がしたわけでもなく、景色が赤いからでもない。だが何か頭にひっかかる。何だ?俺は何がひっかかってんだ?
じっくりまた見回してみる――――あった!俺に影がはっきりできている。影?空には太陽も見えないし、森の中でこれほどはっきり影ができると思えない。
俺はもう一度影を確かめるため下を向いたが…………さっきまで俺の後ろに伸びていた影が真下に円形にできていた。
当然真上に太陽があるわけでもないし…よし!これは少し動いたほうが良い気がする。
俺が後ずさろうとした時!影から無数の黒い手が伸びてきて俺の足、腕、胴が捕まえられ、さらにまだウジャウジャ出てきて俺の身体を捕まえていく。
「何だよコレ!」
黒い手は冷たく、俺の身体を捕まえ埋め尽くしていく。あっという間に脚は埋めつくされ、俺は満足に身体を動かせなくなってきた。
「くそ、離せ!」
瞬く間に俺の身体はもう顔以外は覆われてしまっていた。ほぼ全身を捕まれており、さらに首、顎、髪、額と捕まれて最後の手が俺にすでにむかってきている。
「!!!!!」
ガバッ
俺はベットで勢いよく起き上がった。
夢?夢だったのか…はぁ~またか。
もう夢の内容は思い出せない。だが命の危機だったような気がする。
「うぇ、また汗でビチョビチョじゃん。気持ちわりぃ。」
俺は大沢祐樹。現在中学三年、高校受験が終わり合格発表待ち。俺はここ数年たびたび悪夢だと思われる物を見るようになっている。見るたんびに、起きたときすごい量の汗をかいている。毎回起きたとき何を見たのかすぐに忘れ、見ていたものは分からなくなってしまうが、俺が危機に陥っていたことだけが記憶に残っている。
今現在この世界は魔法が発見され全世界で研究されている、しかしまだ実用までにいたってないのか、日常生活は近くに学院が建てられたくらいでなんら変化は無い。俺は何事もなくまだ平穏な日常をおくっていた。
ある日新たなエネルギー因子が発見された。発見した人物は[ジャック・マグナス]というちょっと変わった科学者らしく、この名はニックネームでこの人物の写真などはないが、噂では日本人らしい。
特殊な光をあてたときに反応して現れるようになるらしく、空気中に新たな六種の因子を見つけた。この因子は常に空気中に漂っており特殊な限定的エネルギーを持っているという。
一つは『火』と名づけられ因子、マグマなど熱がたくさんある場所に多くあり集合させると、理由はわからないが火が出るという。
二つ目は『水』の因子、湖や川など淡水の近くに多くあり、海になるにつれて減るようだ。コレも集合させると水が発生させる。ちなみに水は不純物など無い物ができあがる。
三つ目、風がよく吹くとこで見られる『風』の因子。同様に森林などの所で見つかるのが四つ目の『土』の因子である。あと二つほど因子が見つかっているが、何も因子かは未だよくわかっておらず、現在も調査中らしい。
この大発見が20年前に発表され世界で研究されるようになり、この因子は『人類』でも操れることがわかり、この因子群を「魔法因子」と名づけられる。この因子を使うには体力がいり、扱うのには若い人ほど好ましいと思われたが、制御する精神も必要とするという判断から高校生が対象になり、数年前に日本政府は愛知県に『東魔法学院』を設立した。
そして俺が学院を記念受験し、何と!受かってしまった・・・
俺は実家で合格通知を見ていた。
「俺が東魔法学院受かったのか…変な試験だったもんなぁ〜。」
確かに変な試験だった、まず試験番号の部屋に入り自分の席で待っていたら、
「よう、祐樹お前も学院受けにきたのか?」
俺の中学時代からの友人?眼鏡をかけていてパッとみ、頭のよさそうな感じに見えるが馬鹿野郎の『小塚文也』が入ってきて、俺の後ろの席に座った。
「まあな記念に。せっかく近くにこんな学院があるからな。文也もか?」
「まあそんなとこ」
俺たちは試験会場の教室で雑談しながら時間をすごした、まあ何を勉強すれば良いかも分からないってとこもあるが。教室に試験官が現れ、順に五人ずつ呼ばれた。呼ばれた人はそれ以降教室に帰ってこなかった。確かに荷物をもっていく時点でおかしいが、別の部屋でテストでも受けてるのと思っていた。
そして俺の順番がまわってきた。一人一人別の個室に案内された。そして俺が指定された個室に入ると、部屋のど真ん中に大人が入れるくらいの大きさの『カプセル』が立てて置いてあった。カプセルの底から管が出てる、なにかの機械みたいだ。俺は部屋にいた人の指示で手首にデカイ腕輪をはめ、カプセルに向かった。そしてカプセルに俺の足を入れた瞬間!ピッとなり、
「ハーイ、お疲れ様で〜す。カプセルから出て腕輪をはずし、自分の荷物も持ってあちらからお帰りくださ〜い。お疲れ様でした〜」
はあ!?もう終わり?足入れただけじゃん、それも一瞬。まあ終わりってんなら終わりなんだろうけど腕から腕輪をはずし自分の荷物を持って部屋を出た。道なりに廊下を進んだら外に出た。
マジで試験終わりかよ。まあいっか、どうせ記念受験だしっと思って、その日はそのまま帰った。
「まあでアレで受かったんだよな?受かったんだし良かったんだろ。」
そして俺は学院のパンフを見ていた、記念受験だったため東魔法学院のことはほとんど調べていなかった。何々?
「学校は寮生活なのか…飯とかも食堂があり、朝昼晩用意され自炊も可と…魔法の事前知識が全くなくても問題なしと…」
最近火の魔法は火力発電、車のエンジンなどにクリーンなエネルギーになるかと研究され、魔法学院は今や将来就職に有望な学校になっている。俺はこの学院に行こうと思う、なんか面白そうだし魔法も使ってみたいからな。
入学式&入寮の日になった、俺は学院の掲示版に自分のクラスを確認しに行った。
1年のクラスはA~Dまであるらしい、まあ最初から見ていくしかないだろと思い、Aから見ていった。A…なし、B……なし、C………なし、Dあった。後ろから見ればよかった・・・
Dクラスの場所を探し、クラスに向かってとぼとぼ歩いていた。
しかしいったい入学試験はなんだったんだろうな、あんなのでいいのか?と考えていたため
「きゃ」
「あっ」
廊下の角を曲がったときに女子にぶつかってしまった。女子はぶつかった衝撃で尻餅をついていた。
「大丈夫か?」
俺は女子を起こそうと手を出したが、目の前の女の子は俺の手をとらず、すぐに起き上がり、
「すいません!すみません!ごめんなさい!」にあわせて、すばやく3回お辞儀して彼女は走り去ってしまった。
「あ、いやこちらこそ…………聞こえてないだろうな~」
しかし一瞬だったが顔が見えた、可愛い子だったな~っと思いながらDクラスにむかって俺はまた一人歩き始めた。
Dクラスの前にくると両方、前後のドアが閉まっていた。
前を開けると注目を集めることになるよな~と思いながら後ろから入ることにした。扉を開けるとザッと皆こっちをみたものの、一瞬で元に戻ってそれぞれしゃべっていた。どうやら出席番号順の席らしく俺は一番廊下側の前から五番目らしい、そこへ向かうと
「よっ!同じクラスみたいだな、またよろしく頼むな(宿題)。」
俺の席の隣の席に文也がいた。
「おう文也!同じクラスか、それも隣か?……他の奴らは?」
「知らないのか?ココ受かったの俺達二人だけらしいぜ。つまり頼みの綱はお前だけだ!」
「はあ?あんな試験で俺らだけなの?そして俺に頼るとろくな事ないぞ!」
俺は文也に言い返して俺の席に座った。そのときクラスの扉が開いた。皆ザッと動いた、そして皆また元に戻る。髪が肩まであり大人しそうな性格の美人ってより可愛いって感じが似合う女の子が入ってきていた。
あれ?あの子、さっき廊下でぶつかった子じゃん。
その子がこっちに向かって歩いてきた、そして俺と目があった。
「さきほどは、すみませんでした!」
俺に気づいた瞬間、またしてもお辞儀をした。
「いや、こっちこそ悪かった。俺もボーっとしてたから。」
「いや、でも・・・」
「どっちもボーっとしてたってことでいいんじゃん。両成敗で」
「あっ、はい・・」
彼女はちょっと納得していなそうな感じだったが、しぶしぶ俺の席の後ろに座った。
「えっ、後ろなの?」
「そうみたいです…なにかと縁があるみたいです。私は『神崎薫』です。」
「俺は大沢祐樹、祐樹ってよんでくれ。」
「では私も薫とよんでください、祐樹・・さん」
「ああよろしくたのむよ、薫。」
ふと視界の端に隣の席にいる文也が何か言いたそうにいるのが見えた。
(おーい!なんなんだよ、なにがどうなってんだよ~教えろ祐樹、そして俺にも恵みを!)多分そんなこと言いたいと目で訴えてる。
「ああそうそう、こっちの隣の席にいるの俺の友人、文也だ」
「小塚文也だ。祐樹とは中学からの親友だ、これからよろしく頼むな。」
「うぅ、神崎です。よろしくね、小塚君・・」
「まあ悪い奴じゃないからよろしく頼むよ、薫」
「はい、祐樹さんがそう言うなら。」
なんかもう俺とお前とでは態度ちがわね?的な目で文也が俺に訴えてきている。
そのとき教室の扉が開き、また人が入ってきた。
はじめましてにゃあプーです。初めて小説を書いたので今後も見守って読んでくださるとありがたいです。