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神様、妹になる  作者: 白影ゆうき


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2/11

神様、授業を破壊する

こんばんは白影ゆうきです

月水金21時に更新予定です

よろしくお願いします

 球磨(くま)満里(みつり)──17歳。職業:高校生。身長:172センチ。体重:63キロ。

 文武共に中の中、「特徴がないのが特徴」だと自負している、絵に描いたような凡人だ。


 そんな俺は今朝も、平凡で有意義な朝を迎えていた。

 窓から差し込む日差し。小鳥のさえずり。

 一言で表すなら――優雅。これぞ平和。


「あぁ、このまま平和が続けばいいのに……」


 ベッドの中で悟りを開いていた、そのときだった。


 ドンドンッ!


 無遠慮なノック音が、俺の平和を木っ端みじんに砕いた。


「お兄ちゃーん、朝だよー! 学校遅れちゃうよー!」


 ……昨日までは存在しなかった()の声が、扉の向こうから響いてくる。


 俺には妹なんていない。

 なのに、神様見習いを名乗る謎の少女――球磨鈴は、当然のように俺を「お兄ちゃん」と呼ぶのだ。


 納得はしてない。だが、学校に遅れるのはもっと困る。

 渋々ベッドから出て制服に袖を通した、その瞬間――


「お兄ちゃん起きてるのー?」


 ガチャッ!


「ちょっ、待て開けるな――!」


 バンッ!


 扉が勢いよく開かれ、俺と鈴の視線がぶつかる。


「…………きゃああああああああああ!」


 下着姿を見られて、朝っぱらから男の悲鳴が木霊した。


 ……いや、こんなお色気シーン、誰が得するんだよ!?


 朝から尊厳を失った俺は、もう鈴と顔を合わせる気力もなく。

 結局、半分無言のまま家を出て、通学路を歩く羽目になった。

 隣にはもちろん、当然のような顔をした“自称妹”がついてきていた。


「なんで付いて来るんだよ」

「そりゃ、お兄ちゃんと同じ学校に行くために決まってるでしょう」


 頭痛がする。広辞苑で叩かれたかのように、脳内スペックがキャパオーバーだ。

 それでも、遅刻は避けたい。制服を着て家を出ると、鈴は当然のように俺の隣を歩く。


「……お前、本当に昨日から我が家に住んでるみたいな顔してるな」

「だってお兄ちゃんの妹だもの」


 俺のツッコミは空を切り、通学路を進む二人。

 平凡な毎日が、突然()()()()によって塗り替えられたことを実感せざるを得なかった。


 学校に到着すると、クラスメイトたちは昨日まで見たことのない少女に釘付けになっていた。

 そして鈴は、得意げに胸を張り――


「よろしくお願いします! お兄ちゃんの妹として、今日も皆さんと仲良く……」


 途中で、鈴の瞳がふと金色に変わり、クラス全体を一瞬見渡す。

(……なんでここで変身してるんだ!?)

 俺の焦りとは裏腹に、鈴は柔らかな笑顔を浮かべて続けた。


「これまで通り接してもらえると嬉しいです」


 不思議なことに、クラスの反応は自然そのもの。


「鈴ちゃん、風邪大丈夫だった?」

「おかえりー」

「歴史のノート、後で見せてね」


 まるで鈴は元々このクラスにいたかのように受け入れられている。

 その光景を目の当たりにして、俺は思わず息を呑んだ。


(……見習いだって聞いてたけど、やっぱり本当に神様なんだ……)


 授業が始まると、鈴は隣の席に座り、いつも通り得意げに俺を見上げる。


「お兄ちゃん、数学の授業だね。ちゃんとノート取るんだよ?」


「……お前、本当に妹面してるだけだな」

(昨日からずっとそうだけど)


 授業が始まれば、鈴の言動も落ち着くと思ったが……甘かった。

 鈴は各授業で毎回神的な力を使って、教室を混沌に陥れていた。

 数学では、教師が悪戯に出した難問を難なく解き。むきになった教師と鈴のタイマンが始まり。

 歴史の授業では「実物がないと分からないわね」と言い、どこからともなく坂本龍馬を召喚し出した。


「ここはどこぜよ!?」


「あなた大政奉還した時の事教えなさい」


 体育の授業でも、生活指導の宍戸が尻もち付くような記録を出した。


「君は日本の未来を背負っているよ」

 涙を流す宍戸に笑顔で返す鈴。


「…………いいかげんにしろよ」


「何が?」


「お前みたいな妹どこにいるんだよ!」


 授業を崩壊させ、俺だけでなく他の生徒や教師にまで被害が及んでいる状況に怒りを抑えきれなかった。


「誰が授業中に坂本龍馬召喚するんだよ! しかもまだ返還してないだろ!」


 遠くの方でここどこぜよーと叫ぶ竜馬はんが見える。


「そんな、大したことしてないでしょう」


 無自覚の鈴に怒りを通り越して呆れていた。


「お前が紙かどうかは置いておいて、人間の世界で生活をするならその常識に合わせてくれよ」

 と嘆くと、背後から「満里君の言う通りだ」と謎の男が現れた。


「あなたは!」


 俺は驚いた。

 そこには生徒会長の姫島(ひめじま)雪奈(ゆきな)がいた。

 文武両道、才色兼備、無敵艦隊の三拍子が揃った超人。

 ハッキリ言って姫島先輩も人間とは思えないが、鈴のしていることと比べれば可愛いものだ。


「ラフィーネ先輩!」


 鈴も驚いた表情で、姫島先輩に頭を下げる。


「え、誰? ラフィーネ?」


「失礼。私は神見習い教育監視官のラフィーネ・フィローゼ。姫島は仮の姿なんだ」


「…………えええええええええええええええええええええ!!」

最後までご愛読頂きありがとうございます!

次は10月1日21時更新なので、よろしくお願いします!

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