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彼らのはなし  作者: りら
7章
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キス友


我ながらおかしいことを言ったと理解している。キスできる権利ってなんだそれって自分でも思う。

でも朔良の殻を壊すにはそのくらいおかしいことしないとと思っている。

あと、凛との差別化を図るのは本当に重要。ここ大事。


翌朝、部活に行く前に朔良の家のインターフォンを鳴らす。昨日は夜遅かったのか、寝起きだろう朔良がドアを開けてくれた。


「おは…よう」途中で昨日のことを思い出したのだろう、徐々に顔が下を向いていく。それを下から覗き込み、唇をくっつける。するとびっくりして顔をあげてくれて、固まっていた。

「おはよう。部活行ってくる。バイト頑張って」

ようはやり逃げで最低かもしれないが、固まっている朔良の姿はとても可愛かった。


春休みが終わり、講義が始まって毎日朔良と会うようになったが、朔良と、いや、朔良に時々キスする生活が続いている。時々だ。

時々、不規則に、許可をとったり突然したり場所を買えたり、いろんなシチュエーションで。

毎日したり同じ時間にしたりして慣れてほしくない。ずっとドキドキしてほしいし、それで困ってほしいし、俺のことをもっと考えてほしい。いつかは朔良から期待してほしい。

もちろん講義と講義の間に大学内で突然したこともあるし、朝や夜に部屋に伺って、もある。あと、キスしていい?とお願いしたときの、戸惑っている間が好きだ。いいよ、と葛藤しながら言ってくれる姿も可愛い。


空きコマが凛と重なり、中庭で2人で時間をつぶしているときに、キス友に昇格したことを伝えた。笑われた。ものすごく、腹の底から。凛ってこんなに笑うのと思うくらい。


「私は朔良君といるの遠慮した方がいい?」

「それは変わりなくで。正々堂々と勝負します」

「今まで通りたまに朔良くんちに泊まりに行ってもいい?」

「…いい…けど」

「すごく嫌そう」


そんなこんなで前期はあっという間に過ぎていった。こんなに穏やかな、楽しい学生生活が送れるなんて幸せだと思った。


ちなみにキスはバードキスだ。俺だって、フレンチキスもしたいし、唇以外にもキスしたい。けれどそこまで無理強いはしたくない。そもそもそれをもし受け入れてもらえたとしたら、絶対歯止めがきかなる。性的欲求だとは絶対に思われたくない。だから、フレンチキスは朔良とちゃんと付き合えてからって決めている。



今はキス友で十分幸せだ。



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