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彼らのはなし  作者: りら
1章
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大学生活



授業が始まった。

梨奈ちゃんが俺のことを見つけて一緒に授業に誘ってくれることもあり、次第に楓と俺、梨奈ちゃんの3人でいることが多くなった。昼休みは凛ちゃんも一緒にご飯を食べる。連絡先も交換できた。楓とは言わない、言えない。齋藤君と呼んでいる。でも楓の連絡先が自分のスマホにあることが嬉しい。


楓が一人で大講堂に座っていた。その横に腰掛けながら挨拶する。

「齋藤君、おはよう」


「おはよ」


「あれ、梨奈ちゃんは?」


「今日は休むって」


「そっか・・・」


無言になる。楓はスマホをいじったままこっちを全く見ない。


「齋藤君」


「なに」


「今日午前だけだよね授業、おわったらちょっと話したいことがあるんだけど時間あるかな」


「・・・いいよ」


「ありがと」


授業が始まる。授業を受ける楓の横顔は真剣で、以前よりもましてかっこいい。

視線に気づいたのか目が合いそうになって、目をそらす。

一緒に過ごすようになってからも、目はほとんど合わせていない。

まだ、合わせられないと思っている。ちゃんと謝るまでは。


授業が終わった。

「齋藤君、お昼食べながら話せない?近くにいいカフェがあったからそこに行こうと思うんだけど」

「分かった」


会話は途切れまた無言になる。でも、梨奈ちゃんたちがいなくても楓が一緒にいてくれることが嬉しい。また、一緒に行動できるのが嬉しい。大学を出て歩いてカフェへ向かう。しばらくして、前から来た人とぶつかってしまった。


「あ、すみません」


「いってぇな・・・って、お前朔良か?」


「そうですが・・・、もしかして裕也君?」楓がこわばったのが分かった。


「そうそう裕也。中学ぶりだな。こっちの大学に入学してさ。お前も?」


「うん、そう」


「・・・っつうか、後ろの奴どっかでみたことあるんだけど誰だっけかな・・・あ、お前楓だろ!おまえら、まだつるんでたんだ、うけるわ~ホモ楓くん久しぶり~」裕也君、トモダチがニヤニヤする。

「じゃあやっぱり、朔良もホモだったんだな」



「うん、そうだよ」



楓が俺の方を見るのが分かった。

トモダチも唖然としている。


「あ、そうか、よ、気持ちわり。じゃな。」トモダチは去っていった。人ごみに消えていく。


「齋藤君、行こう」

楓はまだ俺を見ていた。まだ謝っていないのに、楓と目が合ってしまった。不自然に目をそらす。

「あそこの角曲がって少ししたらカフェがあるんだ」


「・・・ん」


「え?」


「ごめん、俺帰る」楓はそのまま走っていなくなってしまった。



また、俺は楓を傷つけてしまったのだろうか。

やっぱり、俺は一緒にいてはいけないのだ。


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