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彼らのはなし  作者: りら
1章
3/60

大学生


大学の入学式を終え、晴れて今日から大学生だ。

サークルの勧誘を交わしながら、電車に乗るため駅へ向かう。

私立大学のため、奨学金は借りているが親との条件でバイトは必須だ。


駅につくと、楓がいた。同じ大学だったのか、スーツをきており、とても似合っている。昨日と同じように、女の子たちと話している。

目が合った、と思ったが、そらされてしまった。


「あれ~かえちゃん、昨日の人じゃない?」ひょこっと一緒にいた女の子が顔を出す。よく見ると、昨日同じように楓の部屋から顔を出した女の子だ。


「え、あぁ・・・こんにちは、佐藤さん」


「あ、入学式ですか。僕もここの大学入学したんです」佐藤さん、と呼ばれることにチクりと胸が痛むけれど、同じ大学だったことに喜びがわいてくる。


「何学部?」先ほどの女の子が会話に入る。


「経済学部です」


「へー!あたしもだよ~かえちゃんも。あ、あたし山縣梨奈。あと、こっちは鈴木凛ちゃん。凛ちゃんは法学部。よくかえちゃんちに遊びに行く予定だから、よろしくね~」


「梨奈さんと凛さんですね。よろしくお願いします。」


「かたくるし~敬語やめて~かゆくなるから。呼び捨で~」


「あ、はい」


「梨奈、困ってるじゃない佐藤さん。よろしくね。」


「あ、ごめ~ん、凛ちゃん。さくちゃん今から家帰るの?私たちもこのままかえちゃんち行く予定だったから、一緒に帰ろうよ。ね、いいでしょかえちゃん」


「・・・いいよ」


「じゃ、帰ろっ、佐藤さん下の名前なんていうの?」

楓の雰囲気的にあまりよくなさそうだが、この梨奈って子はけっこう強引らしい。


「朔良です。佐藤朔良。」


「じゃあ、さくちゃんね」


『さくちゃん』その響きにドキッとする。楓以外に呼ばれるとは。ちょうど電車が来たため一緒に乗り込んだ。


「さくちゃんはどこから来たの?」


「福島です」


「へ~うちらは神奈川なんだ。小学校からずっと一緒なの。でも、かえちゃんだけ一人暮らしするんだよ。ずるい~、ね、凛ちゃん」


「ずるいって。梨奈んち厳しいからね。でも、こうして遊びに行けてるんだからいいじゃない。どうせ楓んちに入りびたりする気でしょ」


「そうだけど~かえちゃん了承済だもん」


「梨奈が強引なんだよ、まぁいいけど」

そう言って、微笑む楓を見つめる。

三人の仲が良さが伝わってくる。そっか、楓は神奈川に引っ越してたんだ。仲のいい友達もできていてよかった。


そうこういう間に最寄り駅につく。アパートは駅から歩いて15分の所にある。


「さくちゃんはなんで東京にきたの~」

「なにそれ、すごくアバウトな質問」凛さんが笑う。


「ん~、もともと東京には出たかったんです」梨奈さんがにらむ「・・だ。」笑う。

「人が多いところに行きたかったから。」

「こっちの理由のほうがアバウトじゃん」


「梨奈ちゃんたちは?」

「え~と、かえちゃんと凛ちゃんが行くから」


「自主性ほんとないよね梨奈は」凛さんが笑う。

「あ、あたしは、ここの大学の教授にあこがれててね、法学部。楓はスポーツ推薦、陸上の。ね。」


「うん」

「かえちゃん足速いんだよ~」

「なにその小学生ほめるみたいな」


楓は陸上やっていたんだ。たしかに小学校の時も足速かったな。

話していると、あっという間にアパートまでついてしまった。


「じゃ、俺はここで」


「うん、さくちゃんばいばい~」

3人は楓の部屋に入っていった。


自分も部屋の中に入る。楓のことが知れて嬉しい。

・・・ほんとおこがましい。まだ、謝れてもいないのに。そもそも帰り道で楓と直接話せていないし、連絡先も聞けていない。


ため息をつきながら、冷蔵庫を開け、水を飲む。

ジャケットを脱ぎ、ベットにボスんと横になる。

隣の部屋からは笑い声が聞こえる。


ネックレスに加工した勾玉を窓からの光に照らす。ぽかぽかとした陽気で眠くなり、睡魔が襲う。

そしてそのまま眠りについた。


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