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彼らのはなし  作者: りら
2章
20/60

ごめんなさい

ゴールデンウィーク明けの大学。

朔良とはもう以前のようなよそよそしさはなく過ごした。朔良と梨奈と授業を受け、お昼休み食堂で凛も合流しご飯を食べていた。

ふと気になり、「あ、そういえば梨奈たちは朔良に言ったの?」と梨奈に聞く。

「ん?あ、あ~まだ。もう言ってもいっか。凛ちゃんはどー思う?」

「私はいいよ」

朔良は不思議な顔をしている。

「んじゃ帰ってかえちゃんちではなそ~」

「俺んち決定かよ」


授業が終わり、駅へ向かっていると、スマホの通知音が鳴った。達臣さんからだった。「今日、夜会えないか」と。

「あ、ごめん、やっぱり俺今日パスしていい?」

「彼氏?」凛が聞いてくる。

「そう、やっと落ち着いたみたいで」

「それは仕方ない!んじゃ、さくちゃんちに決定ね」

「梨奈ちゃんほんと強引。家主の意見聞いてよ」

「え、文句あんの」

「ないけど」

「んじゃ、ごー!」


梨奈たちと別れ、達臣さんの会社のある最寄り駅の近くで時間をつぶそうと別の電車に乗る。


夜、仕事終わりの達臣さんから連絡が来て、集合場所へ向かう。

「楓」

「達臣さん、お仕事お疲れ様です」

「ごめんね、急に」

「いえ・・・俺も会いたかったので」

「夕ご飯食べよう。予約してあるから」

「ありがとうございます」


2人で食事に向かう。イタリアンバルで食事をとった。

近況報告のような話をし、「達臣さん、言わなければならないことがあるんですが」と本題に入る。

小学校のこと、朔良のこと、朔良が隣の部屋に引っ越してきたこと、仲直りしたこと、この1か月でいろいろとあった。話しが止まらなかった。

達臣さんは静かに聞いてくれた。

仲直りできたことに「よかったね」と優しく微笑んでくれた。やっぱり達臣さんは優しい。


「楓、お願いがあるんだけど、今日止まっていってもいい?部屋見たいし」

「いいですけど、達臣さん仕事大丈夫なんですか?」

「大丈夫」

「なら、帰りましょ!俺も部屋見せたいし!」

2人で帰路につく。俺は久しぶりに達臣さんに会えて浮かれていた。


「あ、朔良」

アパートにつくと朔良がちょうどバイトから帰ってきたところだった。

「楓、お帰り。あ、その方が・・・?」

「ん、彼氏の達臣さん」

「佐藤朔良といいます」

「君が朔良君だね。楓をよろしく」達臣さんはにこりと笑った。


達臣さんが朔良の後ろを通り過ぎる部屋に向かうとき、「楓が許しても俺は許さないから」なんて朔良に言っていたなんて気づかなかった。


「朔良、おやすみ」

「おやすみなさい」


達臣さんは俺の肩をつかんで急に部屋に入り、ドアをバタンとしめたとたん、強引にキスされた。ドアに押し倒され、乱暴なキスだった。舌が無理矢理こじ開けるようにはいってくる。

「た」「やめっ」「ん」

いつまでたっても終わらない。立っているのも辛かった。それに気づいたのか、達臣の足が俺の足のなかに入ってくる。

何分たったんだろう。やっと解放され、玄関のにへたり込む。


抱きあげられ、ベットに倒される。1kだから、すぐだ。ベット奥の窓を達臣さんが少し開け、俺に覆いかぶさってきた。また、終わらないキスをされた。苦しい。食べられてるようだ。


カラカラと外から部屋の窓が開く音がした。

(朔良?!)


一生懸命口をそらして、やっと言葉が発っせた。

「達臣さん…窓、しめて」

「どうして?」

「隣」「聞かせてあげようよ」

「や」「僕は怒ってるよ、楓」


初めて見る冷たい目。だけど、口許は笑っている。怖かった。反射的に逃げようと思ったけれど無理だった。

「逃げようとするんだ…傷つくな」怖い。口ももう笑ってない。逃げようとしたこと自体まずかった。

そこからはもう抵抗できなかった。いつもより数倍、乱暴で激しい。遠く部屋のドアの開閉の音が聞こえたような気がするが、意識がちゃんと保てなかった。




達臣さんは優しい。本当は優しい。今日怖いのは俺が悪いから。俺が悪くて怒らせた。


ごめんなさい。



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