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彼らのはなし  作者: りら
2章
19/60

友達

体調の良くなった俺は、神奈川の実家に帰省した。

梨奈と凛から心配するメッセージが届いていたため返したところ、梨奈から、朔良と昔知り合いだったのかと返信があった。小学校が一緒だった。いろいろあって黙っててごめん、と返すが、既読スルーされた。


梨奈から返信が来ないため、凛に連絡した。梨奈は楓には内緒と言われてるけれど、と前置きされ、朔良と凛と梨奈で今日待ち合わせしていることを聞いた。待ち合わせ場所は、山下公園らしい。


なんだか嫌な予感がし、隠れて様子を見ることにし、急いで山下公園に向かった。

公園につくと、朔良が一人で風に当たっていた。そこに梨奈と凛が合流した。よかった、間に合った。


「あそこのお店で話しよう。ついてきて」梨奈の声は冷たい。朔良も戸惑っている。

カフェに入ったため、俺も入り、梨奈たちに近い席にばれないように座る。


「あの、話って・・・」

「かえちゃんのこと」

「さくちゃん、かえちゃんと小学校一緒だったの?」

「なんで・・・」

「さくちゃんの部屋で写真たて見た」

「あ・・・うん、幼稚園から小学校5年生まで一緒だった。友達だった」

「かえちゃんは、小学校で意地悪されたから転校して神奈川にきたって噂できいた。確かに最初に会ったときのかえちゃんは誰にも心を許さない感じだった。・・・かえちゃんちにお見舞いに行った日、家に帰ってから小学校の卒業アルバム出して、そこにのってたかえちゃんの顔とさくちゃんの家にあった写真そっくりだった。…かえちゃんの転校の原因ってさくちゃんたちなの?」

「・・・うん。俺のせいだよ。」

梨奈がいきなり立ち、ガチャンとカップが揺れる。

「さいてー!知らないでかえちゃんにと一緒にいさせちゃったじゃない!」

「黙っててごめん」

「もう一緒にいないから。かえちゃんをいじめたやつとなんて友達じゃないし」

「梨奈、感情論になりすぎ。・・・佐藤君、首に勾玉のネックレスつけてるって本当?」梨奈が間に入る。というか、凛は俺に気づいてる。今チラッとみた。

「うん、これ」

「これ、楓も持ってるよ。前に楓の部屋で見たことある。今ももってると思う」

「え、そうなの?」

「好きだけど嫌いな奴との思い出っていってた。捨てたくても捨てられないって。」

「やっぱりかえちゃんあんたのこと嫌いなんじゃん」

「なにがあったの」

「・・・楓は詳しく話していないんでしょ。なら、言えない。俺が悪かったのは本当のことだし、嫌われても仕方ないことしたのも本当のことだから」

「佐藤くんはそれでいいの?」

「楓と昨日ちゃんと話せたんだ。それは、梨奈ちゃんと凛ちゃんと出会えたからだと思う。俺としては二人に感謝しかないよ。」

「なんなのさえちゃん、私たちのこと使ったの?サイテーなんだけどっ」



「梨奈、まって」梨奈が手を上げそうになっていたため、忙いで腕をつかんで止める。

「かえちゃんなんでここ・・・」

「・・・ちょっとつけてた。2人とも昨日話した時変だったから」

「なんで、かえちゃんこいつの方もつの?こいつのせいなんでしょ」


「こいつのせいだけどこいつのせいじゃないっていうか・・・とりあえず朔良とはちゃんと話せたんだ。8年?ぶりにちゃんと。仲直りしたんだ。もう友達に戻れたんだ」

「納得できないそんなの」

「俺が納得したの、梨奈そんな怒んないで」

「怒るよ!前みたいなかえちゃんもう見たくないもん!こいつがまた傷つけるかもしれないじゃん」

「もう大丈夫だよ、もうならない。友達だから」

「凛、楓落ち着いて。お店の中だし迷惑。・・・楓、『好きだったけど嫌いになったけど、また友達になった』んだね」

「うん」

「あのことも知ってるの?」

「知ってる、というかそれが原因だったし。今彼氏いることも言った。てか、朔良も小学校の時俺のこと好きだったんだって。あのバカがいなきゃ両想いだったのに。でもそれじゃ梨奈と凛と出会えなかったから、過去のことはあってよかったことなんだと思う。それで、今朔良と仲直りできたのは梨奈と凛のおかげ」

「そっか・・・じゃぁ、楓がいいっていうんだから私はいいよ。()()()

「凛…」

「うー納得いかないけど、もうかえちゃんは傷つかなくて、さくちゃんと仲直り出来て、それは私たちのおかげ・・・ってこと?」

「そうだよ」

「んもう、分かった!さくちゃん、またかえちゃんのこと傷つけたら今度こそ絶交だからね。あとかえちゃん、隠し事禁止だから!」

「梨奈ちゃん、凛ちゃんありがとう。楓、ありがとう。」

「友達だからな!」

「この間からそればっかり!」朔良が笑う。

「なにそれ~」梨奈と凛もつられて笑う。


4人で友達になれた。俺の大切な友達の梨奈と凛と、朔良が友達になれた。

すごく嬉しい1日だった。


急いで出てきたため荷物を取りに家に戻る必要があり、俺は朔良と別れ梨奈たちと帰っていた。

「あのさ、かえちゃん、本当ごめんなんだけど、おにいちゃんにも言っちゃたの。すごく怒ってると思う。過去のことも、さくちゃんのこと教えてもらってないことも」

梨奈の発言だった。

「・・・わかった。俺からちゃんと達臣さんに説明する。細かいこともあるから」

「ごめんね、先走っちゃって」

「大丈夫、いつものことだし」

「なにそれ!」笑いながら背中をたたかれる。痛い。



達臣さんには自分の口からちゃんと説明しよう、と思いながらも、達臣さんはいつも優しいし怒った顔もみたことないと、この時は不安にも思わなかった。

俺は楽観視していた。





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