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彼らのはなし  作者: りら
2章
17/60

お見舞い

次の日熱を出した。知恵熱とか子供かよ、かっこ悪い。梨奈に休む連絡を入れ、ヒエヒ〇タをはり、ベットに横になっていた。


ピンポーン

チャイムの音で目が覚めた。


「かえちゃん~、お見舞いに来たよ~」梨奈叫んでいた。

「うるさいよ、梨奈・・・」ドアを開けと、梨奈と凛と、朔良がいた。


「おじゃましまーす」

「お、じゃまします・・・」

梨奈はいつものことだし、朔良にも帰ってほしいとはさすがに言えず、部屋に入れた。


「齋藤君、これ冷蔵庫にいれとくね。ゼリーとホ〇カリスエットと果物、あ、桃ね」

「福島の桃~!って、まだ固くない?」

「桃は固い方がおいしいんだよ」つい口を出してしまった。

「そうなんだ~知らなかった。凛ちゃん知ってた?」

「ううん、知らなかった」

「福島県人あるあるだからね。他県の人は結構びっくりするよ」朔良が説明する。

「あ、かえちゃんそういえば福島からきたってずっと前に言ってたね」梨奈言った。ドキッとした。「うん、昔ね」というのが精いっぱいだった。


「齋藤君、なにか食べた?」朔良が聞いてくる。

「食べてない」そういえば朝から何も食べていなかった。

「うわ、冷蔵庫からっぽじゃん」梨奈が馬鹿にしてきた。

「とりあえず、桃切るからたべて。皿と包丁借りるね」

「・・・ありがと」

朔良が桃を切ってくれた。「はい、齋藤君、桃。2人の分も」

「やった~ありがと、さえちゃん。」3人で桃をたべる。

「固い桃ってこんなんなんだ~。梨奈は柔らかい方がやっぱり好きかも」

「あたしはこっちのほうが好き」凛が答える。「・・・俺も」忘れられないこの味だ。


「ていうか、かえちゃん夕飯何たべるの」

「・・・カップラーメンとか?」

「いやいやいや」

「夕飯の時間になったら俺何か持ってくるよ」朔良が言った。

「え、いや、悪いし・・・」

「お隣さんなんだから、甘えなさい!」

「なんで梨奈が言うのそれ」

「嫌いなものある?」

「・・・ない」


さすがにカップラーメンは食べたくない。好意に甘えることにした。


「じゃあゆっくりしなね」夕方になり梨奈たちはは帰った。

「齋藤君、また後で来るね」朔良も一緒に部屋を出ていく。


って俺なんで2人になる時間作っちゃってんの。馬鹿なのか。心の中で自問自答する。

とりあえず落ち着くために少し横になろう。


少し寝ていたようだ。

隣の部屋から音が聞こえ、目が覚めた。


しばらくすると、インターフォンがなった。

ドアを開けると、袋とお盆を持った朔良がいた。

「・・・悪い」

「気にしないで。お邪魔します」

朔良が家に入り、机の上にお盆を置く。お盆の上には土鍋と桃が乗っていた。


「カニ雑炊ここに置いとくね。出来立てだからまだ熱いかも。桃と飲み物は冷蔵庫にいれておくから」

「・・・ありがと」

「ゆっくり休んでね。お皿は明日でいいから」

朔良に再びベットに戻らされて、布団を直された。気恥ずかしい。つい「お母さんみたいだな」と言ってしまった。

「・・・確かに。ひかないで」朔良は苦笑いした。苦笑いでも、久しぶりに俺に向けられた笑顔だった。

「ひかないよ」つられて俺も笑ってしまった。

「じゃ、俺帰るね」と立ち上がった朔良の袖をくいっとつかむ。

「・・・この間はご」

「先に謝らなきゃならないのは俺の方だから。また改めて時間ください」逃げ帰ったことを謝ろうとしたけれど朔良に遮られる。

「・・・ん」

「じゃ、ゆっくり休んでね」朔良は部屋を出ていった。


土鍋を開けるとカニ雑炊だった。すごくおいしい。食べ終え、流しに皿と土鍋を置く。

シンとした部屋がなぜがもの寂しく思えた。布団をかぶり、もう一度横になる。

明日、朔良とちゃんと話そう、そう思い再び眠りについた。



スマホには達臣さんからの連絡が入っていたが、この時気づかなかった。


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