お見舞い
次の日熱を出した。知恵熱とか子供かよ、かっこ悪い。梨奈に休む連絡を入れ、ヒエヒ〇タをはり、ベットに横になっていた。
ピンポーン
チャイムの音で目が覚めた。
「かえちゃん~、お見舞いに来たよ~」梨奈叫んでいた。
「うるさいよ、梨奈・・・」ドアを開けと、梨奈と凛と、朔良がいた。
「おじゃましまーす」
「お、じゃまします・・・」
梨奈はいつものことだし、朔良にも帰ってほしいとはさすがに言えず、部屋に入れた。
「齋藤君、これ冷蔵庫にいれとくね。ゼリーとホ〇カリスエットと果物、あ、桃ね」
「福島の桃~!って、まだ固くない?」
「桃は固い方がおいしいんだよ」つい口を出してしまった。
「そうなんだ~知らなかった。凛ちゃん知ってた?」
「ううん、知らなかった」
「福島県人あるあるだからね。他県の人は結構びっくりするよ」朔良が説明する。
「あ、かえちゃんそういえば福島からきたってずっと前に言ってたね」梨奈言った。ドキッとした。「うん、昔ね」というのが精いっぱいだった。
「齋藤君、なにか食べた?」朔良が聞いてくる。
「食べてない」そういえば朝から何も食べていなかった。
「うわ、冷蔵庫からっぽじゃん」梨奈が馬鹿にしてきた。
「とりあえず、桃切るからたべて。皿と包丁借りるね」
「・・・ありがと」
朔良が桃を切ってくれた。「はい、齋藤君、桃。2人の分も」
「やった~ありがと、さえちゃん。」3人で桃をたべる。
「固い桃ってこんなんなんだ~。梨奈は柔らかい方がやっぱり好きかも」
「あたしはこっちのほうが好き」凛が答える。「・・・俺も」忘れられないこの味だ。
「ていうか、かえちゃん夕飯何たべるの」
「・・・カップラーメンとか?」
「いやいやいや」
「夕飯の時間になったら俺何か持ってくるよ」朔良が言った。
「え、いや、悪いし・・・」
「お隣さんなんだから、甘えなさい!」
「なんで梨奈が言うのそれ」
「嫌いなものある?」
「・・・ない」
さすがにカップラーメンは食べたくない。好意に甘えることにした。
「じゃあゆっくりしなね」夕方になり梨奈たちはは帰った。
「齋藤君、また後で来るね」朔良も一緒に部屋を出ていく。
って俺なんで2人になる時間作っちゃってんの。馬鹿なのか。心の中で自問自答する。
とりあえず落ち着くために少し横になろう。
少し寝ていたようだ。
隣の部屋から音が聞こえ、目が覚めた。
しばらくすると、インターフォンがなった。
ドアを開けると、袋とお盆を持った朔良がいた。
「・・・悪い」
「気にしないで。お邪魔します」
朔良が家に入り、机の上にお盆を置く。お盆の上には土鍋と桃が乗っていた。
「カニ雑炊ここに置いとくね。出来立てだからまだ熱いかも。桃と飲み物は冷蔵庫にいれておくから」
「・・・ありがと」
「ゆっくり休んでね。お皿は明日でいいから」
朔良に再びベットに戻らされて、布団を直された。気恥ずかしい。つい「お母さんみたいだな」と言ってしまった。
「・・・確かに。ひかないで」朔良は苦笑いした。苦笑いでも、久しぶりに俺に向けられた笑顔だった。
「ひかないよ」つられて俺も笑ってしまった。
「じゃ、俺帰るね」と立ち上がった朔良の袖をくいっとつかむ。
「・・・この間はご」
「先に謝らなきゃならないのは俺の方だから。また改めて時間ください」逃げ帰ったことを謝ろうとしたけれど朔良に遮られる。
「・・・ん」
「じゃ、ゆっくり休んでね」朔良は部屋を出ていった。
土鍋を開けるとカニ雑炊だった。すごくおいしい。食べ終え、流しに皿と土鍋を置く。
シンとした部屋がなぜがもの寂しく思えた。布団をかぶり、もう一度横になる。
明日、朔良とちゃんと話そう、そう思い再び眠りについた。
スマホには達臣さんからの連絡が入っていたが、この時気づかなかった。