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彼らのはなし  作者: りら
1章
10/60

恋人


ゴールデンウィーク明けの大学、また3人と一緒に過ごすようになった。

以前より仲良くなれたようでうれしい。


お昼休み食堂で皆でご飯を食べていると、「あ、そういえば梨奈、朔良に言ったの?」と楓が言った。

「ん?あ、あ~まだ。もう言ってもいっか。凛ちゃんは?」

「私はいいよ」

「?」

「んじゃ帰ってかえちゃんちではなそ~」

「俺んち決定かよ」


授業を受け帰宅のため駅へ向かっていると、楓のスマホの通知音が鳴った。

「あ、ごめん、俺今日パスしていい?」

「彼氏?」凛ちゃんが聞く。なんでかちょっとドキッとした。

「そう、やっと落ち着いたみたいで」

「それは仕方ない!んじゃ、さくちゃんちに決定ね」

「梨奈ちゃんほんと強引。家主の意見聞いてよ」

「え、文句あんの」

「ないけど」

「んじゃ、ごー!」


楓と別れ、電車に乗り自宅へ向かう。

「ねーさくちゃん、かえちゃんのことずっと好きだったんでしょ。彼氏いるけど嫉妬とかしないの?」

「ん~…仲直りできただけで嬉しいから」

「中学生男子でもそんなピュアなやついないよ、朔良君」

「そういえば楓の彼氏ってみんなも知り合いなの?」

「うん、あたしのお兄ちゃん」

「え!梨奈ちゃんの!?」

「そう、びっくりでしょ。4個上でさ、4月から社会人。今研修とかで忙しいみたいで、帰ってきたら家でぐったりしてる」

「社会人かぁ~大学入学したてだからまだ想像すらつかないね」


なんだかんだ言っていると、自宅についた。

昨日作っていたパウンドケーキと、カフェオレを出す。

女子力高すぎでしょ、と梨奈ちゃんにどつかれた。梨奈ちゃんはゴールデンウィーク以降、俺に対して雑な気がするのは気のせいじゃないと思う…。


「そういえば、話って何?」

「えっとね~、んっとね~」梨奈ちゃんが何だか照れている。珍しい。

「梨奈あたしの彼女なの」

「ちょっ凛ちゃん、ちょっとくらい恥ずかしがらせてよ!」

「あ、そうなんだ。いつから?」

「さえちゃん抵抗全くないの?」

「抵抗も何もないよ。あったとしても、そんなことでもう大切な人失いたくないし」

「え、キュン」

「はいはい古い。梨奈とは高校2年の終わりから付き合ってる。でも、小学校からずっと親友だったの」


凛ちゃんはずっと梨奈ちゃんのこと好きだったみたいだけど、親友のままでいられるならって気持ちを隠していた。梨奈ちゃんは容姿も可愛いし、性格も明るいしで男子によく告白されてて何回か付き合っていたけど、梨奈ちゃんがダメンズほいほいだったらしく、よく泣いていてずっと相談に乗っていたらしい。でも、もう我慢できなくなっちゃって「もうあたしにすれば」って言っちゃったんだって、それから~紆余曲折あって・・・「っ少女漫画っぽい!素敵すぎるね」

「凛ちゃんはかっこいいのよ」梨奈ちゃんがどや顔している。

「うらやましいなぁ~」

「ごめんね、かえちゃんのことお兄ちゃんが取っちゃってて」

「楓のことは大丈夫だよって~」

「てかさ、朔良君は、ゲイであってるの?」

「ほんと凛ちゃん」

「ん~楓のこと好きになってから、女子に対して恋心持ったことないから多分。でも、男も楓以外好きになった人いないんだよねだから、だからよくわかんないかな」

「え、凛ちゃん取らないでよ」

「とらないよ!」


しばらく女子会?をして、パウンドケーキをお土産に持たせて2人は帰っていった。次はクッキーやいてと命令もされたから、時間があれば作っておこう。

小学校の時、楓のことは本当に好きだったと思う。でも、今は仲直りできただけでなんだか満足している自分がいる。でもそれだけじゃない。恋することが怖い。あんな独占欲の固まりみたいな自分がまた出てくることが怖い。結局は恋愛から逃げているだけなのかもしれない。


俺は無意識に勾玉を握りしめていた。

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