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彼らのはなし  作者: りら
1章
1/60

彼らの話


好きな人がいた。

笑顔が好きだった。

笑顔を見るためによく話しかけた。

いつも一緒にいた。


「お前らこいびとなんだろ!」


トモダチがからかった。

君はびっくりして何も言えなかった。顔が真っ赤だった。好意が伝わってきた。嬉しかった。君もなんだって、すごくすごく嬉しかった。



でも、トモダチの反応が気になって、恥ずかしくて、ふざけた対応をとってしまった。


君は傷付いた顔をした。

トモダチはからかった。

からかわれて涙目になって、君は教室から飛び出した。


次の日から君はイジリの、からかいの標的(マト)になった。

どんどん加速するそれは、君にとってはイジメだったろう。


声をかけると、トモダチはもっとからかった。

それから何も言えなかった。

助けなかった。

話しかけなかった。

守らなかった。


君と話せなくなってしばらくして、君は学校を休んだ。

そして来なくなった。

そして転校した。



また話したい。

そんな権利はない。


まだ君が好きだ。

そんな権利はない。


君に謝りたい。

そんな権利はない。


君の笑った顔が思い出せない。

泣いた顔が、傷付いた顔が笑顔をすべて上書きしていった。


トモダチを作るのが怖くなった。

コイビトを作るのが怖かった。

スキナヒトを作るのが怖かった。


誰とも基本的に話さなくなった。

無口にな人と言われるようになった。



君を忘れられない。

他の人を好きになれない。

どこにもすすめない。

ずっとあの時のままとまっている。



君に会いたい。

君の笑顔を見たい。

思い出したい。



いま、何してる?

そう考える権利もないのだけれど。




4月から大学生だ。

この町にいるのはつらい。東京へ行く。


出発する前にと、君とよく遊んだ丘の公園によって君のことを考えていた。

公園で子供たちが楽しそうに遊んでいる。

さて、そろそろ電車の時間だ。



佐藤朔良(さくら)は駅へ向かった。




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― 新着の感想 ―
もう既につらい( ߹ᯅ߹ ) さくらが悪い訳じゃないのに……!トモダチが悪いのに!!自分を責めて進めなくなってるのつらい……。
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