番外編短編・天国の階段
水川泉美の飼い猫・ミャーには秘密があった。よなよな泉美の家から抜け出し、町の裏道へ。
ここにはキリスト看板があるが、他の野良ネコたちもよく通る場所。
ミャーはネコ語でこう問いかける。
『野良ネコのみんな、何か変わった事ない? 実は私、今はネコだけど天からの使いよ。人からいじめられたりしていない?』
一見可愛い黒ネコのミャーではあるが、中身は普通のネコとちょっと違う。天からの使いが入っていた。つまり中身は天使。
野良ネコ達から神様への意見などを集め、定期的に天国へ帰り、報告するのが役目だ。
もっとも野良ネコ達は概ね平和に暮らしていた為、暇。
泉美のネコになってからも暇だったが、事件に巻き込まれた時は我慢ならず、ついつい泉美達に協力してしまった。
あんまりやりすぎると神様に怒られちゃう。という事で今はまた泉美の前では普通のネコを演じていた。
『まあ、今夜もちょっと天国まで里帰りしようかね』
ミャーはそう呟き、天国への階段を登っていく。
そんな事も知らず、泉美はグースカいびきをかきながら眠っていた。
「あー。『私達の幸せな結婚式』最高……」
そんな寝言をこぼし、泉美も夢の中に沈んでいった。




