番外編短編・ニャーメン!
「きゃー! ミャー、動画に映り込んじゃう!」
泉美の声が響く。
事件も解決し、すっかり平和な毎日だったが、泉美はミャーの正体は気になって仕方ない。急に日本語を話さなくなった理由とは?
という事で仕事の帰り、ミャーを連れて藤河の教会へ行ってみる事にした。藤河はミャー=天使という仮説も立てていたし、何かわかるかもしれない。
藤河は教会の狭い庭で動画撮影中だった。藤河はユージンと都市伝説チャンネルも運営中だったが、教会の神学動画チャンネルも作っていて、今はその生配信中だったらしい。カメラに向かって何か話していたが、ミャーは突然、泉美の腕からすり抜け、藤河の足元にスリスリ。
動画に映り込んでしまった。
「ニャーメン!」
しかもそんな鳴き声も響き、藤河はコントのようにずっこけていた。
そのお陰か不明だが「ニャーメン!」とお祈りする黒ネコがいると、この動画がバズってしまった。
結果、藤河の動画収入も入り、貧困の教会員の食費、教会の修繕費などが賄われたらしい。
教会でのミャーが今以上に可愛がられた事は言うまでもない。
「ミャー、あなた本当に天使なの!?」
一方、泉美の疑惑はますます深まり、今日も首を傾げている。
「ニャーメン!」
「え、またそう鳴いた!?」
当のミャーは可愛く首を傾げ、ゴロゴロと床に転がっているだけだが。
「まあ、ミャーは可愛いから良いかの……?」
「ニャーメン!」
まるで泉美の言葉に同意するかのよう鳴く。
ちなみに「アーメン」とは「そうですね!」や「その通りです!」という同意を表す言葉だという。くだけた言い方では「それな」。
「ニャーメン!」
再びミャーが鳴いていた。




