番外編短編・雪たまちゃんと毛糸ちゃん
「うちの子、可愛いでしょう。もう本当に可愛くって、可愛くって」
麗奈はそう言うと、目尻を下げ、コーヒーフロートを飲む。
閉店近くだったが、麗奈がカフェに遊びに来た。他に客がなく、咲も試験勉強があるとバイトはお休み。なので麗奈は思う存分、飼いネコ自慢をしていた。あの子ネコ達の動画や画像を見せ、笑っている様子は、ベラちゃんの悲しみも癒えてきたらしい。
木崎苺は犯罪者だったわけだが、今となっては公にせず、内々で処理しておいて良かったのだろう。そうでなければ、麗奈の元に子ネコ達は渡らなかったのかもしれない。
「なぁー!」
ミャーは椅子に座り、いつものように女王様のように偉そうだったが、こんな麗奈を見て、満足そうだ。
結局、ミャーは話さなくなった。その正体は不明。天使が中に入っていたかもわからないが、麗奈も元気になったし、これで良いのだろう。
「ところで麗奈さん、この子達の名前って?」
後日、改めて木崎苺と連絡をとったが、仔猫達の名前は不明で、勝手につけて良いという事だったが。
「こっちは雪たまちゃんで、こっちの子が毛糸ちゃん。白くてふわふわしているからね」
麗奈は仔猫の画像をみせながら説明してくれた。
「確かに、可愛い名前。麗奈さんもセンスいいわ」
「あら、ミャーちゃんはどう決めたの?」
泉美は口籠る。適当に決めたとはとても言えない。ミャーの視線がこちらに刺さり、泉美は苦笑する他なかった。




