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地には妖精、月には天使  作者: 仲島 鏡弥
第1章 居場所
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帰る場所

 彼女のいる地下を目指す。

 地下への入り口を見つける。

 ライフゼリーの中でリプレイスニューロを外し、操縦空間をFEAの口から吐き出され、粘液を纏わせながらそれでもなんとか立ち上がる。赤い泥にまみれる。頭痛のひどさに何度も立ち止まる。目眩を覚えながらふらついた足取りでひたすらに歩く。力を振り絞って、地下への道を何回もこけながらそれでも進む。

 FEAを囲んでいた枠組足場に、ようやくたどり着く。

 通路に続く扉を見つけ、這いつくばってなんとか扉を潜り抜ける。

 会いたい。

 手を伸ばして彼女の幻影を捕まえようとする。

 頑張ったんだ。死にかけたけど、それでも勝ったんだ。苦しくても、それでも必死に縋りついたんだ。肺が圧迫されるように苦しくて、今にもさっきの叫び声が頭に満ちるような気がして、自分が自分でなくなるあの感覚がどうしようもなく恐ろしく感じる。

 体の節々が痛む。骨の隅々が悲鳴を上げる。

 視界のすべてが暗闇に包まれようとしたその時、


「おかえりなさい」


 声が聞こえた。

 声の主を確かめることもなく、ただ安心感で胸が満たされた。

 そして、顔を上げないままに声を出した。


「ただいま」


 それからあっけなく気を失った。

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