幼な
たまにはマジメになってみよう。大人について。大人とはなにか。
前提をいくつか書いておく。まずは環境について。
・時間が進めば出来事は起こる
・時間は戻らない
〇よって起こした出来事は修正できない
・出来事は積み重なりお互いに何らかの相互作用を持つ場合がある
〇よって起こした出来事を他の出来事によって補填または欠損することが可能
〇ただし出来事が絡むほど、修正のための行動には大きなインパクトが必要となる
次に大人の前提について。
・ある程度の時間の経過が必要である
〇つまりある程度の出来事を積み重ねる必要がある
・他者に認められる必要がある
・その他者とは人間であるため判断基準は常に曖昧である
前提はここまで。前提の段階でいくつか導いたものから、「・」でなく「〇」の箇所を用いると何となく大人について論じれそうだ。あとは理屈の道筋をぼんやりと浮き上がらせてくれる連想ワード、「過去のしがらみ」「受け入れる」「経験は力なり」を置いておく。これは論文でもなんでもないし、理屈をフィーリングで導く体験は、連続して出題されるカジュアルパズルと似ていた。
それはそうだ。ほとんどの人にとって科学を信じるということは、真実の探求を人任せにするに等しいのだった。だからなんだっていうんだ。僕はこれからも製薬会社の風邪薬をバクバク食べるし、新発売のテックもどんどん取り入れていくからな。まあ、お前はせいぜいジッポライター止まりでオイル交換でもしながら見てな。……うーんでもやっぱりジッポはかっこいいな。よしそれも寄越せ。技術が進歩するほど昔を懐かしみたくなるものだ。紙に印字された温かみ、すぐに壊れてしまうその愛しさ……あのさ、突然クレオパトラが現代の男の家にやってきて、どんな遊びをしても結局は一服のタバコに勝てなかったみたいな小説を知っているかい。知らないかい。じゃあもういいよ。君だけタバコ税200%値上げだ。君に吸う資格はない。僕は焼酎浸けの総理大臣なんだ。
バカ笑いの時間を乗り越えると僕は服も脱がないまま知らない風呂に浸かり水面に泳いでいるグレープフルーツや缶ビールたちと同じ目線の高さまで体が沈んでいた。鼻と口をふさがれているのに不思議と嫌ではなかった。生死の問題をとうに超え、呼吸が好きか嫌いかの領域に入っていた。だが僕はそのどっちともハッキリしない人間だった。漂流するピカピカのグレープフルーツが鼻頭に触れる。扉を開けて入って来たガスマスクの天使が膝を曲げ、僕に耳を貸すよう手を示してきた。それに従って水面から片耳だけ出すと、ガスマスクの天使は僕の耳元に寄り添ってなにか言葉を囁きはじめる。ホワイトノイズ。一言も文字に変換できないまま僕の耳は天使に食われていた。嫌ではなかった。




