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「サイコ教師」

「さあーてっと、、、

今日はどれにしっよおっかなあ〜。」

体育科主任のK山先生は体育教官室の壁に

立て掛けてある何本かの道具の中から

ゴルフクラブのドライバーを選ぶと

それを肩に担いで出ていった。

ゴルフクラブ? 何に使うんやろ?

そういえば先週は木刀を持っていってたな。

自分が受け持つ授業の時間まで

まだ間があるんで窓からK山先生の授業を

見学させてもらうことにする。


「じゅうはあーち、、、

じゅうきゅうーっ、、、。」

K山先生はグラウンドで腕立て伏せをしている

男子生徒らの列の間をサンダルで

ダルそうに歩きながら

「おまえらはほんまにいー、

全然腕が曲がっとらんやないかあ。」

と時々ドライバーで生徒のおしりを

グリグリと小突いて廻っている。

こ、ここは刑務所か? 自衛隊演習場か?

「声が出てないぞお〜。 

もういっぺん最初からやろかあ?」

「ええええええええーーー!!!」

「そんなんいややああああ!!!」

「シャレになれへえーん!!!」

最初はビックリしたけど、

茶髪のちょっとワルそうな生徒らも

慌てて背筋をピーンと伸ばして

「にじゅうさあーん!!! 

にじゅうよおーん!!!」

と叫びながら素直に腕立て伏せを続けていく

姿を見ているうちに、まあこれはこれで

教師と生徒の真っ直ぐな交流のように思えて

なんだか微笑ましい気持ちに

なってくるのであった。



また次の週、K山先生が何かいろいろ持って

体育教官室から出ていった。

しばらくしてから窓から外を見ると、

今日は水泳の授業みたいだ。

ここからはすぐ目の前にプールの

右側3分の1くらいだけが見えていて、

左の方はシャワーや更衣室がある建物に

隠れている。

休憩中なのか男子生徒らが膝を抱えて

右の方のプールサイドに並んで座っている。

誰もひとことも話さず何やら緊張した表情で

水面を見つめている。

晴れ上がった夏空の下、

時が止まったかのようにセミの声だけが響く。


パシャッ、、、パシャッ、、、。

左側の建物の陰から、静まり返ったプールを

生徒らに向かってひとりでゆっくりと

泳いでいくK山先生の姿が現れてきた。

ん? 足ヒレ? 

それにゴーグルじゃなくて

でっかい水中メガネに、、、

シュノーケル???

プールサイドに上がったK山先生の手には

まさかのサカナを突く「モリ」がっ!!!

な、、、何を考えてるんやろ、

このひとはっ???


K山先生は水中メガネをおでこに上げると

生徒らの前を足ヒレを着けたまま

ペンギンのようにペタペタと通り過ぎ、

なぜか不気味なドクロ☠マークが描かれている

木の貴重品箱の前に立った。

モリの太く強力なゴムを

ぐいいいいいーーーっと引っ張って構えると、

貴重品箱のドクロマークに向けて発射した。 

ドスッ!

ぐいっとモリを引き抜くともう一度発射。 

ドスッ!

生徒らの緊張感が高まっているように見える。

そして今度は引き抜いたモリを

サッと生徒らの方に向ける。

「うわああああーーーーーっ!!!」

「あ、あぶなあああああーーーーい!!!」

「な、何すんねえーーーーん!!!」

ひっくり返ってあたふたと逃げようとする

生徒らにK山先生はモリのゴムが

張られていないのを見せて笑った。

「おいおい、かわいいキミタチ生徒を

撃つわけないやろがあ〜。」


サ、サイコ教師、、、。


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