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「こなきジジイ のち 校長」

「あれえ? 

レオ先生、スーツじゃないですかあ!

ジャージ以外の服も持ってたんですねえ。」

I民先生がすっとんきょうな声をあげる。

今日はZ高校の卒業式だ。

校長との面談の予定もある。

「いやいやいやいや。

似合ってるじゃないですかあ。」

こなきジジイO谷先生が

後ろからガシッと抱きついてくる。

「うわあーっ! イタい!イタい!

チンチン掴むなっちゅうのにいー!」


廊下を歩いていると高揚して頬を紅く染めた

卒業生達から次々と

「ああっ!

先生、来てたんですね!

写真一緒に撮らせてくださいー!」

と誘われる。

ほとんどは知らない生徒だ。

「先生、ホンマに若いよなあ。

水泳部の女子と話してるのをたまに見かけて

生徒なんやとずっと思ってたわ。」

「スーツ着てたら別のひとみたい。

いつもジャージやしなあ。」

「I民先生と仲いいですよね。

剣道部で一緒に練習したことも

あるんでしょ?」

「去年ソフトボールで負けてK山先生と

お揃いでボーズにしてましたよねー。

(10部分目参照)

ビックリしたわあ。」

写真を撮りながらとっかえひっかえ

話しかけてくる。

週に1日木曜に1年生の3クラスで

保健の授業をしてるだけなのに

3年生で俺の存在を知ってる生徒が

こんなにいたなんてオドロキだった。

バレンタインデーに授業中の教室まで

チョコレートを渡しにきた2人組

(前回、28部分目参照)も嬉しそうに

両側から腕を組んできた。

「みんな卒業おめでとう!」

「ありがとうございます!」

穏やかな陽射しの中、

校舎やグラウンド、あちこちから

生徒達の賑やかな明るい声が響く。



「失礼します。

校長ゴブサタです。」

相変わらず会った瞬間にいいひとだと感じる

にこやかな笑顔で迎え入れてくれる。

「ああ、レオ先生どうぞどうぞ。

お座りください。

ここに来られてから1年ですか。

初めてお会いした日は大雨でした。

スーツの裾がビショビショで。」

「え? よく覚えておられますねえ。」

「もちろんですよ。

面接の時とても誠実な方だと

話してみてすぐにわかりました。

水泳部の指導も情熱的に

されているようですね。

けっこうなことです。」

「ありがとうございます!

そのように言って頂けて光栄です。」

「現在の勤務スケジュールは

どのような感じですか?」

「ここでの保健の授業の他に、

女子職業訓練校での体育の授業と、

スイミングクラブのコーチのバイト、

大阪市営のスポーツ教室の受け付けと

管理のバイトをしています。」

「かなりお忙しいですねえ。

今日はお話が2つありまして。

非常勤講師は1年契約で、

先日お伝えした通り更新してレオ先生には

またこれから1年お世話になるわけですが、

もしよければ木曜の夕方から1週間置きに

隔週定時制の授業も担当して頂けませんか?

3年生の保健を。

隔週定時制の生徒は全員女子です。

四国、九州方面から出てきて

主に紡績工場で働きながら

高校卒業の資格を取得するのです。

1週間ごとに仕事の後に授業、

授業の後に仕事、と

スケジュールが入れ替わります。

すでに社会で働いている影響で

パーマや化粧など全日制の生徒より

少し派手ですし、疲れていて

授業中に眠ってしまう生徒もいますが

大変な環境で勉強しにきているので

まあ多めに見てあげています。

都会育ちでない彼女達は大人びて

見えても実は繊細で純真なんですよ。


それと、もう1つ。

隔週日曜の昼間と月、金曜の夜の

通信制高校での保健室勤務の先生の補助と、

身体障害者の生徒対象の体育の授業の

補助の仕事です。

イジメや身体的な障害などのために

一般の全日制高校に通うのが困難な生徒や、

看護師のように働きながら高校卒業資格を

取得する生徒が与えられたプリント教材を

自宅で解答して学校に送る、

そしてできるだけ可能な日には

学校まで登校して授業を受ける、

という4年制の高校での勤務です。

どうでしょう?

すぐお返事されなくても大丈夫ですが

考えて頂けてますか?」

「どちらの仕事もさせて頂きます。

よろしくお願いします。」

「いやあ〜、レオ先生は

スパッと決断力がありますねえ。

素晴らしいです。

ではよろしくお願いしますね。

教育委員会の方には

私から連絡しておきます。」

「ありがとうございます!」


春ー。

俺はまたこの新たな経験から

何か成長できるんやろか?

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