「逃げれない夜」
Z高校のスキー講習会で引率者として長野へ。
希望する生徒30人ほどと体育科を中心とした
教員10人ほどのバスツアーだ。
毎年恒例のイベントらしい。
今年就任してきた俺にとっては初めての参加。
小5からスキーで毎年長野へ行き始め、
その後も新潟、岐阜、北海道、滋賀、兵庫の
あちこちのゲレンデを満喫してきた。
めちゃ上手いということはないけど
腕前はたぶんスキー検定2級程度の
レベルだと思う。
生徒はまったく経験のない初心者が多く、
上級者はゼロ。
簡単なテストで技能レベルを判断して
3つのグループに分けて、
3人の教員がそれぞれ指導する。
指導しなくてもいい俺やある程度滑れる先生は
責任感がなくて気楽だ。
中級レベルの生徒に混じって一緒に滑る。
まず指導する先生が動作の説明をして
見本でキレイなフォームで滑り、
続いて10人ほどの生徒が1人ずつ
スキー板をハの字型にするボーゲン、
次のステップで板を平行に揃えて滑る
斜滑降からボーゲンの形に板を開いて曲がる
シュテムターン、
そして斜滑降のままターンを繰り返す
パラレルターンで滑っていく。
真っ白な曇り空からチラホラと
小雪が舞い落ちてきた。
スキーは中級以上のコースで滑るのは
けっこう激しいスポーツだ。
斜度30度以上やギャップが連続するコースを
止まらずにガンガン攻めると汗だくになる。
でもこういうレッスンでじっと順番を待って
雪の上で長い間立っているのは
寒くなってくるし、つまらないし、
せっかく遠い所まで大荷物を準備して来たのに
貴重な時間がもったいない!
今回は引率として来ていて
プライベートのレジャーとは違うから
勝手にどんどん滑るなんて無理だけど
ちょっとだけ遊ばせてもらおうっと。
グループ全体の行動の流れを
乱さないようにスキをうかがう。
しばらくすると小休止となった。
今ならいけそうやな、よしっ。
ゲレンデの端にある高さ1mほどに
盛り上がっている雪のコブに向かって
板を平行に揃えた直滑降で突き進む。
ジャンプして大きく空中へ飛び出すと
頭を前に倒して体を丸く抱え込む。
「前方宙返り、、、背中から落っこち」
どおおおーん!
「ぐはあっ!」
片方のスキー板が吹っ飛ぶ。
雪の上といってもフワフワの新雪ではない
ゲレンデに空中2m以上から落っこちると
かなりの衝撃だ。
ちっくしょーっ。
今まで5回くらい試したけど
どうしても足から着地できない。
1回片足だけは着地できたけど
バランスを崩して倒れてしまった。
下半身がコブで上へと
跳ね上げられるから当然後方宙返りの方が
スムーズに回転できることは器械体操経験者
としては充分わかってるけど、
2mある重いスキー板を履いた状態で
どの程度足に遠心力がかかるのかが
まったく想像できない。
もし回りすぎて後頭部から落ちたら
ヤバすぎる、、、。
1日目の講習が終わり、
夕食後、広い和室の部屋に戻ると
当然のごとく宴会が始まった。
飲んで語らうことは好きだけど、
前にも書いた通り体育会妖怪教師たちとの
飲み会はとても教職員の集まりとは思えない
ハチャメチャな展開になってしまうことが
多いんで、リラックスして楽しむというのは
ちょっと難しいのである。
この夜は旅先での解放感からか
呑み助妖怪たちの悪ノリは
最高潮にエスカレート。
貸し切りで他に宿泊客がいないこともあって
とんでもない大騒ぎだ。
俺にとっては史上サイアク
地獄の宴会となっていくのであった。
ここは長野。
逃げ場なし!!
学校で一番イケメンでモテる
剣道5年連続全国制覇のI民先生は
普段は面倒見のいい楽しいひとだが、
飲んで10分もすると目が血走った
顔面赤鬼と化し、
相撲2年連続全国制覇の岩のような
こなきジジイO谷先生との陰険コンビで
いつも俺を「酒のサカナ」にして
ネチネチと攻撃してくるのだ。
O谷「それにしてもレオ先生、
スキーが上手いですよねえ。
そのワザでいつもオンナを
だましてるんでショっ?
カッコよく宙返りまで
してたじゃないシュかあ。」
ものすごい怪力で腕を
ぐぐうううーーーっと掴んでくる。
俺「いたたたっ!
なあーにをするんですかっ!
いや、そんな、、、
モテるわけじゃないですよおー。」
I民「いやいやいやいや。」
O谷「いっひっひっひっ。」
I民「もおー、このチンチンでいつも
悪いことばっかりしてるんでしょ?」
いきなりぐわっ!とわし掴みにしてくる。
俺「ちょっとちょっとおー!
してないしてないっ!」
O谷「正直に言いなシャイっ。」
俺「、、、ちょ、ちょびっとだけ。
チンチン離してってばっ。」
I民「やっぱりいいーっ。
あのパラレルターンのいやらしい腰つきは
どうもアヤシイなと思ってたんですよ。」
O谷「そうそう。
ボクらの目はごまかせまシェンっ。」
俺「うぐぐう〜っ。」
ーチンチンをわし掴みにされたまま
次回「超巨大サカズキ攻撃」へと続くー




