「アダムスファミリーママとの遭遇」
ジンセイ、なんでも経験だっ。
家庭教師初体験。
Z高校の体育教官室で今日の保健の
授業の内容を確認していると、
体育主任K山先生が声をかけてきた。
このひとは第1や5部で書いたように
なかなかヤバい!のだ。
ひょろっとした体格ながら
そのうつろな目つきが発する迫力は
フリョー生徒どもをもビビらせる。
その反面、いろいろ話していると
体育系というイメージだけではない
知性を感じさせられる
なんとも興味深いひとだ。
「レオ先生、英語は得意?」
「はい、まあまあ得意です。」
「家庭教師やってくれへん?
知り合いの息子が高校受験やけど
英語が苦手で誰か教えてくれるひと
おらんか?って言われたんよ。
夜あいてる日に週2、3日どお?」
「家庭教師!
はあ、やったことないけどできると思います。
でもなんでボクに?」
「なんと、その息子の名前が
レオ先生と同姓同名なんよ。
これはもうなんかの縁やろお〜。
んじゃよろしく頼むわな。」
「え? ボクとおんなじ名前?」
数日後、教えられた住所の
泉北ニュータウンのマンションに
GPz1100で向かう。
キレイで静かな敷地内にカーカーの
集合マフラーから吐き出される
排気音が普段より大きく響く。
「うわー、近所迷惑かなあ。」
さっさとエンジンを切る。
ベルを押すと30代後半くらいの
女のひとが出てきた。
「どおぞお〜。 よろしくお願いしますう。」
ウェイブのかかった髪の
艶っぽい美人のお母さんだ。
それにしてもアイシャドウが濃い!
まるで映画アダムスファミリーの
お母さんがパーマをあてたみたいな。
お母さんは別居中で別の男のひとと
息子2人との4人で広い4LDKで暮らしていた。
リビングには立派なシャンデリアも
吊るしてある。
清潔で上品なステキな家やなあ。
息子2人が挨拶しに来る。
中3の兄は礼儀正しいけど活発そうだ。
中1の弟は少しおとなしそう。
「さあさあ、先生座ってくださ〜い。
おなかすいてはるでしょう?
ゴハンいっぱい食べてくださいね。
K山さんから名前が同じって聞いて
ビックリしました。
息子が1人増えたみたいやわ〜。」
「どうもありがとうございます。
いただきます。」
お母さんと同居の男のひとは
座って静かにニコニコしている。
鉄板焼きをゴチソーになる。
柔らかいステーキや大きなエビが
めちゃオイシイ!
お母さんは美人でパッと見たら
化粧が濃いせいもあってか気が強そうな
とっつきにくい印象なのに
話すとすごくフレンドリーだ。
「先生、オートバイで来たんですか?
400CC?」
「あー、1100です。」
「1100!
スゴいのん乗ってはるんですねえ!
私も免許取ろかと考えてますんよ。」
「ええ? 中型ですか?」
「あー、バイクと違いますねん。」
「ええーっと、車ですか?」
「いや、ヘリコプターなんですわ。」
「へ、ヘリコプター!!
う〜ん、、あの、仕事とか何かで?」
「いーえー、ただの趣味で。
なんか楽しそうでしょ?
ビュうーン!って。」
「趣味で、、、。
でもヘリコプターの免許取るのって
めちゃ高いんじゃ、、、。」
「そう! 600万以上しますんよ。」
「ろ、600万!!」
「ちょっと高いから考えてますねん。
でも楽しそうでしょお?
ビュうーン!って。」
(「英語を学ぶ意義」に続く)




