「突っ走ってしまう自分がコワイ」
朝、目覚めてもしかして
あれは夢やったのかも?と
頭を触るとキレイさっぱり、
髪が1ミリもない完全なボーズ頭。
ああー、なんかよくわからん
酔った勢いのノリでやってしまった
昨日の行動をちょっと後悔する。
(前回第10部分参照)
Z高校での体育科チーム対
社会科チームのソフトボール大会で
惨敗して、誰かが責任を取れ、
と酔っ払って理不尽にネチネチ責められて
思わず立候補してその場でバリカンで
断髪してしまったのであった。
よく考えずに決断して
突っ走ってしまう自分がコワイ。
話はここで大〜きく脱線する。
1989年、バイクが大好きで
(当時はイタリアのドゥカティ900
マイクヘイルウッドレプリカ所有)、
車はただの便利な乗り物としか
考えていなくて、
フェラーリ、ポルシェなどの
スポーツカーか
屋根が開くコンバーティブルカーにしか
興味がなかった。
まだ日本でコンバーティブルカーは
ほとんど作ってなくて、
外国のものもめちゃ高くて
全く自分には関係のない世界の車だと
思っていた。
ある日ユーノスロードスターという
国産のコンバーティブルカーが
雑誌の表紙に載ってるのを見て、
おおっ!
これカッコいいなあ!
へえーっ、日本もこんな丸っこい
洗練されたデザインの車を出したんやなあ、
とその記事を見ると新車価格170万円
と知ってビックリ!!
「マ、マジかあーーーっ!!
全然高くないやんかあ!!」
その週末に友達と二人でユーノスの
ショップに現物を見に行く。
キレイなスペースに鮮やかな赤と青の
2台が置かれていた。
美しい、、、。
まるでキャンギャルのような
ファッショナブルな青い衣装で
スカーフを巻いたベッピンさん二人が
応対してくれる。
それまでまったく興味がなかった
車屋のイメージを大きく変えられた。
赤いモデルの屋根を開けてもらう。
車の周りを一周して見る。
自分が乗っているスカイライン
2000GTーEXのフツーの四角い白い車とは
別世界の乗り物だ。
どこから見ても落ち度のない統一された
柔らかいデザイン。
友達とシートに座ってみる。
高級感はないけど、
コンパクトにまとまっている。
ドア、そしてヘッドレストにも
スピーカーが内蔵されていて、
屋根を開けた状態で走行しても
耳のすぐ後ろから音楽がクリアーに
聴こえるようになっている。
屋根の開閉は手動だけど
自動より早くわずか5秒でできる。
「ハイ、買います。」
「アホか、おまえはーっ!
八百屋に大根買いに来たんと違うやろお。
5分で決めるなあ!」
友達が呆れかえる。
よく考えずに決断して
突っ走ってしまう自分がコワイ。
エアコン、その他いろいろ含めて
60万円もかかって合計230万円に
なるけどそれでも全然高くはない。
ヨーロッパ、日本で大人気で
値引きは一切なく、
シートカバーを付けてくれただけ。
納車まで5ヶ月も待たされて購入。
真冬でも夜中でも小雨が降っていても
常に屋根を開けて14年間乗り続けた。
翌年の春、スイミングコーチを辞めて
初の海外旅行でひとりでアメリカへ。
スタンバイパスという珍しい
システムの飛行機乗り放題パスを買って、
行き先も決めないままロスアンゼルスへ。
1ヶ月足らずでサンフランシスコ、
ラスベガス、グランドキャニオン、
ニューオリンズ、ニューヨークを
廻ってロスアンゼルスから帰国。
初めて尽くしのこの大イベントでの経験は
俺の感性、ジンセイを激しく
揺さぶったのであった。
日本に戻ってきてから何日か経っても
アタマの中にはアメリカが渦巻く。
出発前に、これからはなんか店を
始めてみようかな、と
なんとなく考え始めていた。
「そうや!
アメリカンバーをやろう!」
派手な電飾ネオン、古いピンボールマシン、
大型テレビには音声なしの洋画、
BGMに欧米のロック、
店の前にユーノスロードスターを
屋根を開けて置いて、
玄関前には木のベンチにピンクパンサーの
ぬいぐるみを座らせて、
お客さんには大型のルーレットを
回してもらってその日か月の番号が出たら
ワンドリンク無料、
ガイジンの友達も多いから
彼らが来てくれたら雰囲気も出るはずだ。
1時間でアイデアがアタマを駆け巡り、
コーフンした俺はそのまま不動産屋へ。
「アメリカンスタイルのバーを
始めるんで物件を探してください。」
「ええ〜〜っと、、、
お若いですがそういう経験は?」
「いえ、高校で体育と保健の講師を3年、
スイミングコーチを2年やっただけです。」
「うーーん、よく考えられましたか?」
「今、1時間だけです。
でもすっごく考えました。」
「ええーーーっ!!」
カクテル、飲食店経営についての
独学、準備が始まり、
店舗デザイナーとミーティングを重ねて
3ヶ月後、電気、ガス、水道、壁、床も
何もないゼロの状態から新装開業。
14年間営業を続けた。
よく考えずに決断して
突っ走ってしまう自分がコワイ。




