「予測不能の10分後」
2学期に入り、放課後に体育科
対 社会科でソフトボールの
試合をすることになった。
大勢の先生生徒が集まってきて
見守る中、なんと12対0で
体育科完敗!という結果であった。
体育教官室で出前でとった寿司と
ビールで体育科、社会科混じって
(なぜかプラス部外者の
見た目ほぼヤクザな園芸科S田先生)
ワイワイと打ち上げが始まる。
やがて酔いが回ってきたS田先生は
外観とはとても似つかわない
甲高い声でクドクドとボヤキ始めた。
「それにしても12対0!ってなあ〜。
オマエら体育やろ、体育。
なんで体育の専門家が社会に
そんなボロ負けするねん。
情けないっ!」
体育科の面々とS田先生は
よく交流しているようだ。
「そうや!
バリカンここにあったやろ。
誰か責任取ってボーズやれよ。」
そういえばタバコを吸った生徒を
罰としてこの部屋でボーズ頭に
するのを見たことがあった。
(なんてチカラワザな学校なんだっ)
「ええっ! そんなアホな!」
「せ、責任ってなんなんや〜。」
「O谷!、、、は元々ボーズか。
そうやなあI丹! オマエどうや!」
「いやいや、ボクは似合えへんから
カンベンしてくださいよー。」
「なあーにが似合えへんやねん、
ほんまに。
誰かやるヤツはおらんのかー。」
悪酔いしたS田先生の執拗な
コーゲキにイラついたK山先生が
「わあっかりましたよ。
俺がやりましょう!」
と叫んだ。
「ちょっとそんな、、、。
落ち着いて。」
「や、やめてくださいよお〜。」
社会科の先生らが止めるのを振り切って
「やったらええーーんでしょ、やったら。」
とバリカンを取り出す。
「おおー、体育主任やし、ピッタリやな。
やれやれ!」
赤い顔のS田先生が手を叩いて
子どものようにはしゃぐ。
K山先生は散髪用の水色のケープを
頭からすっぽり被ると、皆の
「あああーーーっ、、、、。」
という声に囲まれながら
O谷先生の手によってほんの2、3分で
キレイなボーズ頭になった。
「よっしゃあ!
次は誰がやるんやっ?」
「つ、次い〜??」
S田先生のまさかの暴走に場がどよめき、
体育教官室は修羅場と化す。
「もうやめましょうよお〜!」
収拾がつかなくなった
ヨッパライ空間で俺はなんだかアタマが
かああーーーーっとなってきた。
「ボクがやりますっ!!!」
思わず手を挙げて叫んだ俺に皆が
「ええええーーーーっ!」
「やめときなさいって!」
「おおーー! オトコですねえ!
やれやれえー!」
と大騒ぎになる。
「もう俺がやったんやからオマエまで
余計なことやらんでええって。」
と言うK山先生を制してS田先生が
「おおおおおーーー!
一番若手のレオ先生かあ!!!
よっしゃ、よっしゃ。
ええぞお。 あはははっ。」
とゴキゲンに笑う。
もはや彼にとってこの場は酒のツマミ、
余興となっているのだろう。
「そのかわりボーズはもうこれで
終わりにしてくださいよ。」
ウイイイーーーン、、、バサバサッ。
「おお〜〜っ、、、。」
「ワッハッハッハッ!!!」
ジンセイ10分先に何が起きるか
なんてホントにわからない。
こうしてまったく予想もつかない
展開によって、体育大学受験以来の
ボーズ頭になったのであった。




