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【自称アンタレス星人】 今日は波動高めで

【自称アンタレス星人】 今日は波動高めで 7

作者: さるた


「たくさん話を聞きたいんだけど、なにせ、リュカの顔色が悪すぎるって、ギルの気遣いだね」

隣に座ってるミルが、リュカムイと同じようにソファに寄りかかり身を沈めて、目線の高さを同じにしてゆっくりと話す。今日は男性の姿をしているが、ミルだけが光り輝き、吸い寄せられる。性別は関係ないのだと、リュカムイは改めて思う。


。。。自分も今日は特別な服装をしているが、ミルはシンプルなのに金の装飾でとてもきれいだ。


触りたい衝動にかられる手を自分の手で制する。

「ねぇ、リュカを少しでもベストに戻したいんだ」

ミルはそう言うとリュカムイの目を見つめた。

「私の目を見て。。。」

そう言われ、リュカムイはミルの目を見つめる。心が軽くなってフワリとした感覚が襲った。



ミルは眠りに落ちたリュカムイの長いまつげを見つめた。リュカムイが警戒もなく、見つめ返してくれたため、簡単に眠りの呪いにかかった。リュカムイを真ん中の腕で支えながら、上着を上の腕で、サーベルを下の腕で取り外す。服には、波動を下げるものや悪いものが付いているようには見えない。体にも、悪い波動を引き起こす引き金のようなものはない。体を楽にするためにベルトも取り、バックルを確認するが異常はない。シャツの第二ボタンまで開ける。シャツから見える範囲も異常はない。


。。。これ程までに、弱っているのに


ソファに寄りかかっているリュカムイの体を抱き起こし、ミルの体を密着させる。6本ある腕を器用に使って、拘束縛のようにがっちりと抱きしめた。


。。。流石にこの姿見たら、彼に勘違いされるよね。説明も難しいなぁ


と、苦笑いをする。恋人が抱き合っているようにしか見えない状態だ。体を移動して自分が下になり、二人でソファに横になる。近くにあったブランケットをリュカムイの体にかけた。リュカムイの弱っているエネルギーがミルの体に流れ込み、ミルの健全なエネルギーがリュカムイの中へ流れていった。アンタレス星人の間では、ここまでしなくても手を繋いだり、体の一部を触れるだけで可能性なのだが、異種族の場合は密着の面が大きいほど回復が早く進む。ギルは何に気を遣って退室したのか分からないが、一般的な治療の一環である。

その時、不思議な現象が見られた。リュカムイの顔色がみるみる良くなると髪が茶色から銀色へと変わっていき、肌もキラキラと銀色の光が弾ける。


。。。やはり、この子は面白い


リュカムイの頭を撫でながら、変わっていく変化を楽しんでいた。銀色に変化した髪がさらに撫でると、今度は金色に変わる。全ての髪が金色になるようにまんべんなく、リュカムイの頭を撫でる。髪をはらうように額を撫でると、白く銀色になっていた部分が今度は肌が金色に変わる。その様子を見て、


。。。リュカムイを名乗っていたら危ないな。リュは龍、カムイは神の系譜。狙われているのはリュカムイ自身。そして、リュカムイの感心を引いた私

人目を引く容姿ではあるが、普段は目立たない姿でいるし、今までは難は比較的少ないのかったのかもしれないけど


色が変わるのが楽しくて、長いまつげに触ると、ピクリとリュカムイが反応した。金色に変化したリュカムイの目とミルの金色の目がすぐ側でかち合う。体を重ねているため、大きく心臓が跳ねるのがわかる。リュカムイはぐいぐいと体を離そうトするが、ミルはそんな姿が面白くついつい力を込める。その途端、金色に輝いていた肌が、ざわざわと七色に光る。

「な、何だこれ!?」

流石に自分でも驚いたらしく、リュカムイは声を上げる。ミルは楽しそうに、

「ふふふ。ちなみに今の君の姿」

と、テレパスでミルから見たリュカムイの姿を送る。

「髪の色が。。。」

動揺しているところを見ると、どうやら自分自身も知らないことらしい。

「君の名前、今は隠しておいた方がいいと思うんだよね。だから、私に名前を考えさせて」

彼は自分の名前にこだわりがある、だがら、簡単に変えたり偽名を使うことを許可しないだろう。ミルは自分が名付けることで、了解するのではないかと期待した。

「なぜ?」

それでも簡単には了承しないところを見て、ミルは

「私に名付けさせてくれたら、君の願いを一つ叶えて上げるよ。もちろん、私ができる範囲だけど」

と一押した。

「わかりました」

ミルの腕の中で観念したように呟く。


「身動きが出来ず観念して頷くイケメン!くっ!サイコ〜」

突然、横から姿を表したネルにリュカムイは驚く。

「誰です!?」

ミルは6本の腕の拘束を解いて、リュカムイをソファに座らせながら器用に服のボタンを直し、サーベルとベルトも戻した。ネルが

「イトーくん、お茶をお願いしまーす」

と奥に声をかける。

黒猫型家事ロボットのイトーくんが、立ち上がった猫の姿でやって来た。給仕のカートをカタカタと持ってくると、お茶をその場で入れてくれた。

「私はネル。よろしくね。さっきの二人、動画も写真も撮っちゃった」

と、嬉しそうに言う。

「ところで、彼の体はどう?」

ネルがミルに訊ねた。

「呪いや外傷はない。だから、体力と気力が消耗しているところに、直接何らかの形で力を奪われている可能性もあるかな」

「理由はよくわかりませんが、体が楽になりました。ありがとう、ミル」

リュカムイは誰もがうっとりするだろう笑顔で、ミルに微笑んだ。


ミルとネルは、晩餐会まで支度などの時間を取るだろうと思い、一度リュカムイをオリオン族の船に戻した。二人は、そのことを後に深く反省することになる。

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