6 意外や意外
志麻ちゃんからはその日の夜中に連絡が来ていた。
私がメッセージに気付いたのは次の日の朝だった。
「やっほーむっちゃん。高木に連絡したわ。
結果から言うと、高木は消防隊員というか救急救命士だった。
救急車で運んだのが高木らしいよ。
だからどこの病院に入院してるのか知ってたのね。
ていうか、出血量、やばかったの?私、知らないんだけど。足の骨折で入院長くなるって言ってなかった?
むっちゃん、あの時、死ぬ直前って言ってたけど冗談じゃなかったのね。
手術後、ちょっと具合が悪いだけっておばさん言ってたから鵜呑みにしてたわ。
ちょっと今度説教ね。こういうことは隠さないで。本当、もうやめて。
で、高木には元気に回復してることを伝えて、気にしないでーって言ってるって言った。
それ伝えたら、むっちゃんと連絡取りたいって言われたけど、連絡先は勝手に教えたくない。って言ったら俺の教えて、よかったら連絡くれだって。
で、これが連絡先です。
○○〇-○○○○-○○○○
ま、気が向いたら連絡してもいいと思う。
話した感じは悪くなかったし、相手も公務員でしょ。変なことはしないでしょ。
以上。じゃーねー。あ、急がないから結果教えて」
(ふー)
私はメッセージを見ながら、どうしようかと考えた。何回読み直しても内容は変わらない。
高木君と連絡取るって、電話をかけるの?メッセージを送るの?ていうか、何話したらいいの?最後に話したのいつだっけ?
卒業式の後に同じ委員会だった後輩の男の子に告白される前に(びっくりしたが、ちゃんと丁寧に断り、お礼を言った)下駄箱でお互い大学でも頑張ろう的なことを言ったのが最後かな。(ただ高木君の制服の第二ボタンはなかったのはチェック済みだ)
(うーん、救急車で運んで貰ったのなら血だらけ見てるし、心配かけたのかな。応急処置的なこときっとされたのよね。爆発でふっとんだ姿が久しぶりの再会なんて痛すぎる。でも、仕事で見慣れている?お礼を言うのは不自然?いや、有難うって言うのは悪い事ではないよね)
そんなことを考えてると午前のチェックがあり、リハビリがあり、ご飯を食べて知り合いになった人と話してるとあっという間に夕方になった。
(ああ、とりあえず志麻ちゃんにお礼メッセージを送って、高木君に連絡するの迷ってることも言おう。そして、死ぬ直前の話しをわざとじゃないけど黙っててごめんと謝ろう)
志麻ちゃんに土下座のスタンプと一緒にメッセージを送るとすぐに返事が来た。
「まじ、ちゃんと今度から話して。心配するのはいいけど、後出しやめて。
で、高木だけど、メッセージでいいんじゃない?
電話より、ハードル低いでしょ。
話したければ、やつが電話してくるんじゃない?
メッセージ、簡単に送れば。イヤじゃないなら深く考えないでいいのよ。
どーもー久しぶりー。みたいな感じでいいんじゃないの?
むっちゃん考えすぎるから。ただ、爆弾抱えて走った時は、もっと考えてほしかったわ。
で、またどうなったか教えて。急がないから。でも、知りたい。
じゃーねー。あ、退院日分かったら早めに教えて」
志麻ちゃんのメッセージを見て私は高木君にメッセージを送ることにした。
本当、志麻ちゃんはすごい。私の欲しい言葉をくれる。神様かなにかなのかな。美人だし、美脚だし、天使?
そう思いながら、高木君にメッセージを送った。
「武蔵です。お久しぶりです。
志麻ちゃんから、高木君が救急車で運んでくれたと聞きました。
しっかり快方にむかってます。
心配かけたみたいですが、大丈夫です、有難う」
と、送った。変ではないはず。お礼も書いてる、しつこい感じもないはず。返信なくてもいいような文にした。
志麻ちゃんにはこういう風に送りました、と送った。そして退院日は明日先生に確認してみると書いた。
志麻ちゃんからは「ま、いいんじゃない、返信次第だしね。りょーかい」と、魚が変な笑い方してるスタンプが来た。これはなんだ。
私は一仕事終えた感じがして、ご飯を食べた後、すぐに寝た。
頭を使ったせいか、眠たい。体も回復に努めているせいか、睡眠を求めている。
そして、高木君からの返信に気付いたのは、次の日の朝だった。