番外編 雨宿り 高木君視点
雨…降ってるなと、言う事で、雨の日の二人です。
「わあ、すっごい雨」
「本当だな。通り雨だといいけど」
今日は武蔵とのデート。
コーヒー好きの武蔵が、紅茶を見に行きたいというので、デパートに二人で行ってみた。なんだか英国のお茶会?そう言うのが色々あると言って、二人で、スコーンを買ったり、とにかく種類が多いティーバッグを見たりして楽しんだのだが、武蔵の家に帰る途中、雨に降られた。
ざあざあと、雨は地面を跳ね返しながら振っている。
急いでバス停に駆け込んだが、武蔵の家まではもう少しある。近くにコンビニも無く、傘も買えない。そしてここからだと俺の家の方が近い。
「ごめんね高木君、日傘、今日、デパートだからって持って来なかった。雨天兼用だから、持って来てたら良かった」
「いや、俺も傘とか持ってねえから。武蔵が濡れなかったら良かったのにって」
「コレ、使う?」
武蔵はタオル地のハンカチを俺に差し出すと、自分はもう少し小さいハンカチで首元を拭いた。
「私、ハンカチはいつも二つ持ってるの」
「…準備、いいな…」
俺は受け取りながらも武蔵の濡れた首筋が色っぽくて、目が離せなかった。
よく見ると、洋服が雨でうっすら透けてる。ひざ下のスカートも身体に張り付いてる。
…………。
俺は貰ったハンカチで、ゴシゴシと顔を拭いた。
「武蔵、俺んちで、服、乾かしたらいい」
「高木くんの家?」
「ああ。ここからなら武蔵の家より大分近い。そこの歯医者、あそこの角曲がって、真っすぐいったらだから」
「分かった。じゃあ、少し弱くなったら走る?」
「あ。ああ、それの方がいいかもな」
「うん、なんだか寒くなって来たし」
武蔵はぶるっと震えているが、確かに寒そうだ。俺は武蔵と一緒にいれば、いつでもぬくぬくほかほかだけど。
あ。そうだ。
「武蔵」
そう言って、俺は武蔵の手を握った。
「俺、体温高いから」
武蔵の手は小っちゃくて冷えていた。
「こうやってれば少しは温かいかも。雨、弱まるまで」
「ありがと、高木君」
武蔵がそう言ってにこっと笑うと濡れた髪が頬に張り付いて、もう、それも俺の胸を撃ち抜いた。
「あ。少し弱くなった?」
「よ、よし。武蔵、走るぞ。真っすぐだから、曲がって先にある、大きな白い建物。それだから!」
「うん!分かった!」
勢いよく武蔵が走り出し、俺が後ろからゆっくりとついていく。雨を避けようと少し丸まった武蔵の背中には、下着のラインが見えている…。
「ブ、ブラ…」
口元を手で覆いながら、これは早く家の中に隠してしまわなければ。危険だ。
「武蔵!急げ!」
「う、うん!」
俺がそういうと、武蔵は更にスピードを上げ、はあはあ息切れをしながらどうにか俺の家迄辿り着いた。
「武蔵、ちょっと待って、今、タオル持ってくるから」
部屋の鍵を開けると、俺は急いで靴を脱いだ。
「うん」
俺は脱衣所からタオルを持ってくると武蔵に渡して、服を脱いだ。
「武蔵、風呂場、使って。寒いだろうから、着替えて。俺のでいいなら、準備するから。服、急いで洗って乾かそう」
「え。あ。うん」
タオルを持った武蔵を抱き上げると、脱衣所に連れて行き、ポイっと下ろすとドアを閉めた。
それにしても、びちょびちょだな。
俺は自分の服を全部脱ぎ、適当に身体を拭くと、乾いた服に着替えて、武蔵の服を準備する事にした。
「武蔵、ちっちゃいからな。小さめだったらいけるか?」
ハーフパンツ?前で縛れたらいいか?あとはTシャツ?寒いかもしれないから、長袖がいいか?
何か飲むかもと思って、お湯を沸かしていると、シャワーの音が聞こえてきたので、脱衣所に洋服を置いて、洗濯機に武蔵の服を入れた所で、武蔵に声を掛けた。
「武蔵、洗濯って、武蔵の服、普通に洗っていいの?」
「!!あ、うん、え、うん」
「そー、じゃあ、洗っとくなー」
「う。うん」
ポチポチと洗濯機を操作した。
「服、ここに置いておくから」
「は、はい!」
俺は脱衣所を出ると、カップを取り出して、なんかあったかなと、冷蔵庫を見たが、卵とか、ジュースとかしかなかった。
あー。ちゃんとなんか買っといた方がいいな。武蔵がこうやって来ることもあるんだし。
そう思って、俺ははっと気づいた。
武蔵、俺の部屋来たの、始めてじゃないかな?俺は今更ながら部屋を見回す。やばい、汚いとか?あ、トイレとか汚くないかな。やばいやばい。
俺は急いで、トイレを掃除した。
ふー。危ない所だった。そうして、床に置きっぱなしにしていた服を片付けていると、武蔵がおずおずと風呂場から出てきた。
「た、高木君、ありがと。コレ、着ていいんだよね?」
そうして出てきた武蔵は俺の服を着て恥ずかしそうにしている。
だぼだぼの武蔵。可愛いが溢れている。
俺は目元を抑えて、武蔵を俺がいつも座っているソファーに座らせた。
「あ、あの、高木君」
「いや、武蔵は座ってて。ココアならある」
「あ、うん。ココアで。でも、えっと。高木君、あの、洗濯機を一度止めて欲しくて…」
「え?洗濯?」
武蔵は少し下を向いて、ティーシャツの前の方を気にしながら話し出した。
「洋服の中に下着をくるんでいたの。だから、あの、下着も洗濯されていたみたいで…」
「え?」
「濡れてたから、どうしようかと思ったんだけど」
「え?」
「下着は、ネットに入れなくちゃいけなくて…」
「ネットに」
「うん、洗濯はそうしてるの」
「下着はネット」
「うん」
「武蔵の下着はネット」
俺は急いで洗濯機に向かって走ると急いで洗濯機を止めて洗濯機に手を突っ込んだ。
そして武蔵の下着を取り出そうとしたのだが、武蔵が今迄見た事も無いスピードで俺の前に走りこんで、下着を探し始めると、俺が渡した洗濯ネットに入れ蓋を閉じてしまった。
そこから、今の武蔵の状態を確認して、俺はまた悶える事になり、武蔵の照れてちょっと怒った顔も可愛いと思ったりした。
結論。俺は雨に降られる事も悪くないと思ったのだった。
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