番外編 武蔵ちゃんとマニキュア
今日は高木君とマニキュアを見に来た。
高い物ではなくてコスメのセレクトショップで、500円位から買える物を見ている。ハンドクリームや爪のお手入れセット等を高木君は興味深く見ている。
高木君って意外と女子力高いのよね。
料理も意外と出来る。
食べ方も綺麗。
お水やお皿もさっとくれる。
甘い物も好き。
手芸も得意。
・・・・・。
私よりも女子力高い。
私はちょっと落ち込みそうになったが、熱心に見ている高木君に話しかけた。
「気になるのあった?」
「ん。この薄い黄色いのと薄いピンクかな。あと、この爪綺麗にするやつと、ハンドクリームかな」
「私も買おう」
私はトップコートとパールが入ったマニキュアを買う事にして、二人でレジに並んだ。
「俺、一緒に買っていいけど」
高木君はそう言ったが、私は、自分のだからと首を振った。
「今日はお菓子を焼いてないけど、甘い物買ってうちにくる?」
会計をすまし、高木君に聞くと、高木君は頷いて、たまには違う店に行こう、と和菓子屋さんに行った。
「高木君、あんこも好き?私は結構好きだよ」
「おー。俺も。最中とか好き。たい焼きも好き。団子もどら焼きも好きだな」
「ふふふ。好きな物ばかりだね」
私達は最中と大福とどら焼きを買い私の部屋へとむかった。高木君は和菓子の荷物を持ってご機嫌だ。
部屋に到着すると、私はコーヒーの準備をして、高木君は甘い物を出していた。
「あ、武蔵。マニキュアって結構乾くまで時間かかる?」
「うーん。マニキュアの種類によるのかな?すぐ乾くとか書いてるのもあるし。でも、暫くは指は使わない方がいいかな」
私がお湯を沸かしながら答えると、高木君はそっか、と言った。
「甘い物すぐ食べる?」
「うん、コーヒー挽こうか?」
高木君は豆を選びながらカップの準備をしている。私の部屋の棚にどこに何があるか大分覚えたみたい。
二人でコーヒーを飲み、甘い物を食べ、まったりしていると高木君がマニキュアを出した。
「武蔵、手えだして」
「?」
高木君はちょっと悪い顔のジャーマンシェパードになっていた。あ、これは小悪魔高木君だな。
「それ、今開けていいの?プレゼントじゃないの?」
「うん、プレゼントだけどプレゼントじゃない。俺が武蔵にしたいから買ったの」
「!!」
高木君は私の手を取ると、ハンドクリームをむにゅっと出して私の手に塗っていった。
「武蔵、手、ちっちゃ。可愛い」
ぬりぬりと、優しく高木君は塗っていく。
これはなんだか恥ずかしい。
「えっと、私に?」
「うん。武蔵に。だから良い子にしてて」
小悪魔高木君はニヤっと笑うと指の間や爪を優しくマッサージをしてくれた。
手のひらの所をむにむにされると気持ちい。
「あ、高木君。そこ、気持ちいい」
「!!」
高木君はむにむにむに、マッサージをしてくれた。
私がほうっと、息を出し、「手の平って気持ちいいねー。親指の下って疲れるのかな?痛気持ち良いよ?」と言うと、高木君は頷き、一心不乱にむにむにむにむにしてくれた。
「高木君、疲れない?私も後でしようか?」
私が言うと、高木君は首を振った。
「今日はいいや。まだ、これだけじゃないから、では、次」
高木君はネットの画面を見ながら爪の綺麗にする方法を見て、私の爪を綺麗にしていく。
「武蔵、爪、ちっちゃ」
「ふふふ。さっき、手、小さいって言われたよ?」
私が笑うと高木君もニコリと笑った。
「爪も可愛い。武蔵、どっちの色がいい?あ、さっき武蔵が買ったトップコート借りていい?ベースとかもいるんだ。武蔵ある?」
「うん、そこの棚の上」
私が言うと、高木君は棚からマニキュアを取り、私の爪に塗り出した。
「わー。ちょっとプラモっぽい匂いする。なんか武蔵作ってるみたい」
「ふふふ、何それ」
私は笑うけど、高木君は爪に綺麗に塗っていく。
「よし、じゃあ、これでちょっと待つ。武蔵、どっちの色がいい?」
私は黄色とピンクを出して貰って、ピンクを選んだ。薄い色だから仕事にもしていきやすい。
「ピンクかな。その色だと、仕事でも問題ないし。黄色でも問題ないけど、お客様の接客が多い時はなるべく地味な色にしておくんだ。何も言われないけどね」
高木君はピンクを選んで、成程なー、と言った。
もういいかな、と言いながらピンクのマニキュアを塗っていき、仕上げていく。
高木君、本当器用ね。道具を使って、はみ出したのも綺麗にしている。ネイリストもむいてるかもね。
「よし」
高木君から言われた。
「終わった?」
「うん。後は待つだけ。武蔵、動かないで」
「うん、分かった」
高木君は荷物を片付け、マニキュアがあった場所に自分が買った物も一緒に置いた。
「そこに置いておくの?」
「うん、俺が武蔵にしたいから」
「高木君上手だねー。有難う」
私は手をテーブルに出したまま言う。
「ん」
高木君は私の隣に座ると、私の頬にチュッとした。
「高木君?」
「武蔵、動いちゃダメだよ」
あ、小悪魔高木君になってる。
私はマニキュアが渇くまで、高木君にちゅっちゅっとされてしまうんだけど、いつかやり返してやろうと思った。
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