番外編 武蔵ちゃんの誕生日3 高木君視点2
仕事場の先輩に武蔵の誕生日の件を相談したら一様にみんなから、「謝れ。許しを乞え。謝罪しろ」と言われた。
もう俺の捨てられカウントダウンは始まってるらしい。
「あー。終わったな。高木の春も短かったな。桜とともに散ったな」
「誕生日忘れてるってないわー。さすがにそれは俺もない」
「とりあえず、貢げ。高いもん買って謝れ」
「いや、もう遅いんじゃないっすか。付き合って最初の誕生日っすよ。特別感あるんじゃないっすか」
「女の子は記念日好きだからな。付き合って一ヵ月記念日とか、デート記念日とか。もう覚えられんわ。でも、誕生日忘れるは無いな」
みんなからの視線が痛い。俺は顔を覆い、
「ああ、振られるんですかね…」とつぶやいた。
「いや。まだ挽回のチャンスがあるんじゃないか。遅れてごめん。ってお祝いしてプレゼント渡すとか」
「いやー。女の子によってはかえって怒りませんかね?今更かよ!って。とりあえず。プレゼントは渡した方がいいとは思いますけど」
「相手は怒ってたのか?」
俺はおそるおそる聞いた。
「それが、怒ってないんですよ。気にしてないような感じで。俺の誕生日はお祝いしようね、って言ってくれたんですけど、どうなんですかね?」
先輩達は腕を組む。上腕二頭筋が盛り上がる。
「うーん。気にしてない…。優しい子か。もうお前に興味がなく、どうでもいいかのどっちかだな」
ガーン!!!と俺は音が出るように崩れ落ちそうになった。
「怒ってないってのも、ありえないですよ。普通、彼氏にはお祝いして欲しいでしょ。と言うか、誕生日、誰と過ごしたんですかね?高木、ちゃんと付き合ってんのか?勘違いじゃないよな?」
「え!!!」
俺、付き合ってるんじゃなかったの?俺の勘違いだったのか?え、妄想?俺、武蔵から付き合ってくださいって言われたよな?あれ?俺の願望が作り上げたイリュージョン?
「おい。高木大丈夫か?まあ、そうだなあ。怒られてるんだったら謝れるけどなあ。怒られてもいないんじゃなあ」
「とにかくプレゼントは用意した方がいいぞ」
「はい…」
「お前、逆の立場だったらどう思うかとか、どうして欲しいか考えたら?」
「まあ、相手は女の子だから、俺らと違うだろうけど、自分がされて嫌な事はやっぱ嫌だろ?自分がされて嬉しい事相手にしてあげたらいいんじゃないか?」
おれは小さく頷いた。先輩のアドバイスが染みる。
「女の子は色々聞いてきたりするんだよなあ。なんか俺、心理テストとかやられたわ」
「あー。女の子は占いとかそういうの好きだよな。血液型とか聞かれたな。あと星座とか」
「俺、星座占いとか、たまにテレビで朝見るくらいだな」
(俺、武蔵の事何も知らないな…)
「デートでも、「ここ、前来たことある」ってぽろっと言ったら、誰と?いつ?なんで?ってめっちゃ聞かれた。元カノとじゃないっていっても、じゃあ誰と?って。過去の事とか聞いてくる子いるよな」
「あー。俺、部屋にぬいぐるみあって、それ何?って聞かれました」
「なんだろうな。信用ないのかな。ヤキモチなのかな。難しいな」
「高木、お前その様子じゃ聞かれてないな」
「はい…。何も聞かれないです…。俺も知らないです…」
先輩たちが目線をかわす。
ああ、俺、一人で浮かれてて、武蔵の事何も見てなかったのかな。
「俺、好きな動物何?とか、私って動物の何に似てる?って聞かれて答えたら、なんか心理テストだったみたいで、怒られたわ。結婚考えてないって出たとかなんとか。女の子って難しいな」
「…」
「ま、頑張れ。高い物買って、謝れ」
「はい」
先輩たちの目線が優しい。
あー--。武蔵にメッセージ返さなきゃ。メッセージ見るのもちょっとびくびくしている自分がいる。
別れを告げられたらどうしよう。
とにかく武蔵に謝ろう。
俺は謝罪、誠意の表し方などを調べていく。




