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4 意外な相手の情報

志麻ちゃんと私は中学からの友達だ。


学校が一緒だったのは中学だけで、高校から進学先は違ったが、中学を卒業し、大人になった今でも仲がいい。会う頻度はその時その時で変わるものの、お互い連絡は一月に1回から2回は最低取る。近況報告だったり、遊びの誘いだったり、ただ元気?だけだったり。


中学からの友人なので、お互いのやらかしや、失恋、恋人(すぐに終わった借金元カレ)も全部把握している。


趣味も、好きなお菓子も、マイブームもお互い把握済みだ(志麻ちゃんのマイブームはハード系のパンの新規開拓、私はネットで雨の音を聞いたり暖炉の火が爆ぜる音を聞きながら寝る事)。なので、お互いの弱みを握り握られの関係で、さらけ出して付き合える数少ない友人だ。



「で、なんで高木君?」



私が聞き返すと、



「あーやっぱり、むっちゃんが連絡とってるんじゃないのね。ま、とってたら私に言うだろうし」



と、言って志麻ちゃんは食べたゼリーを袋の中に入れた。「ん」と言って私にも袋を差し出して、ゴミを入れろと催促する。


私がゴミを入れて、レモンティーに手を伸ばすと、志麻ちゃんもミルクティーを飲みだした。



「高校出てからは連絡とってないんでしょ?」と、志麻ちゃんが聞く。



「うん、ていうか、振られてからはあんま話してない。向こうも話しかけてこなかったし。挨拶位はしたけど。今、名前が出てきてびっくり」



「私もさ、久しぶりに連絡来てびっくりしたよ。私の連絡先は高校から変えてないけど、むっちゃん、変えたから、私に来たんじゃないかな。ていうか、高木が私の番号知ってるの忘れてたくらいだし」



「あー。変な電話多かったからね。高校卒業間際に変えたから、ある程度知り合いには教えてたけど、高木君との共通の知り合いは志麻ちゃんだけかも。気まずくて、高木君にも番号変更したの言ってなかった」



志麻ちゃんは、チューっとミルクティを勢いよく飲んでから、トンっと机にミルクティーを置いた。



「確かさ、高木、公務員になったって聞いてたんだけどさ。高木の連絡の後気になって、高木と同じ大学に行った知り合いに今何してるか知ってるか聞いたのよ。いや、高木がどこの大学行ったかは知らなかったけど、大学一年の夏位に、知り合いから高木の名前がでて、へー、大学そこだったのね、って後で知ったのよ。むっちゃんに言うのも必要ないと思ってて。で、とにかく、そしたらさ、「たしか、消防士」って言ってたのよ。もしかしたらさ、この前の爆発の時にいたんじゃない?」



「あ」



私は死ぬ直前(私の中では死ぬ直前だった)に聞いた声を思い出した。



「お、心当たりある?」



「うん、死ぬ直前にね、ぺしぺし叩かれて、武蔵むさしって言ってきた人がいた。多分、男の人の声だった。ただ、高木君だったかって言われると、くぐもってたし、おぼろげだし、私、死ぬ直前だったから覚えてないんだよね」



志麻ちゃんは足を組みなおすと腕を組んで「いや、死んでないし」と言って



「多分、それ、高木ね。爆発だし、消防も出てたしね。現場に居合わせたんじゃない?で、気になって私に連絡してきたのかね。二週間たって、今更だけど」



「うん、で、なんだろ?」と、私が聞くと、



「むっちゃんは連絡取りたい?むっちゃんがしたいようでいいんじゃない?別にやつに合わせる必要ないでしょ。ただ、私も急に連絡きてびっくりしてさ、あ、ちなみに連絡きたの昨日の夜ね」



「え、めっちゃ最近。だから今日志麻ちゃんきたの?」



「そ、だってこれ、会って話す案件でしょ。高木案件は。むっちゃんは高木から連絡きて嫌?」



「んー。微妙?別に連絡きても何話していいか分からないし。こうやって話題にするのも何年ぶり?高校卒業以来として6年ぶり位?道であってもさ、お互い分からないこともあるんじゃない?」



「いや、むっちゃんは道であっても分かる。変化少ない貴重種だから。可愛いは正義よ。で、高木はねー。私一度大学の時に会ったけど、結構変わってるかも。高木自身も爽やか真面目系から、モテモテ真面目系?真面目腹黒系?とにかくなんか、高校の時よりも垢抜けて世渡り上手になってそうでモテてそうだったわ」



「ほー、そうなんだ。変化するんだね。いい進化なのかな?高木君は進化だね。ポケ〇ンも進化するもんね。でも、思い出は蓋をした方がいいと私は思うよ」



私はレモンティーを置くと、昔の高木君を思い出した。黒髪で背が高くて、優しかったと思う。



「私、ピカ〇ュウしか知らないわ。ま、色々あったんじゃない。むっちゃんはそのままでいてね。可愛い癒し系で。で、高木案件どうしようか。また私に連絡来た時、奴になんて言おうかと思ってね」



「んー。なんで気になるか聞いてくれる?現場にいて気になったなら、今元気になったこと伝えてよ。で、別に気にしないでって。他の理由ならなんだろなー。連絡なくてもいいのかなー。志麻ちゃんが無理ないように伝えて貰えると嬉しいけど。ないとは思うけど、また、変な電話来て番号変える事になっても嫌だし」



「了解。トラウマになってるわね。それとなく、詳しく聞いてみるわ。昨日は突然で私も頭、回らなくてね、変なこと言いたくなくてすぐ切っちゃったのよね。今日、こっちから連絡してみる」



「うん、有難う」



「じゃ、私はそろそろ帰るわ。高木案件以外にも連絡するけど、むっちゃんは無理して返事返さなくていいからね。既読無視してて。緊急の時は電話欲しいって連絡する」



「あ、わかった。有難う。で、部屋の掃除忘れないでね。絶対泊ってね。二泊してね。一杯話そうね。司君にも有難うって伝えて。宜しく」



「ほーい。了解、じゃーね。お大事に」



志麻ちゃんはゴミ袋を持つと私のレモンティーも中に入れ、手を振って帰って行った。



(高木君か・・・)



私は久しぶりに聞いた失恋相手の名前に高校時代を思い出した。

この作品を見つけて読んでくれてありがとうございます。m(__)m☆☆☆彡


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