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爆弾に吹っ飛ばされた私の着地の仕方  作者: サトウアラレ
3章

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2 椿のピアスと握りこぶしの誓い

金曜の夜になり、かおるこさんのヘアサロンに来た。


ヘアサロンのドアを開けると、相変わらずアロマのいい匂いと、かおるこさんの元気のいい声に迎え入れられた。



「いらしゃ~~~いはるちゃん!あけましておもでとう~~!今年も宜しくね☆」と一月だからか、椿にパールの着いた可愛いピアスを揺らしながらかおるこさんに挨拶をされた。


「はるさん、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」と、山下さんにも挨拶をされ、


「あけましておめでとうございます。こちらこそ、今年も宜しくお願いします」と返した。


「ね。はるちゃん!高木君とはどう?うまくいってるの?この間、志麻ちゃんにあったわよ」と早速聞かれた。



お客さんは私と入れ違いに帰った人だけだったようで、かおるこさんは遠慮なくぐいぐい聞いてきた。



「あ。志麻ちゃんからもかおるこさんとご挨拶したって聞きました。なんか見守りしましょうって伝言です。かおるこさん、カットの時間ひょっとして無理して入れてくれました?いつもより予約、遅い時間でしたから。お店の時間、大丈夫ですすか?」と聞くと、


「了解了解。わかったわー。志麻ちゃんに宜しくね☆心配しなくて大丈夫よ~。はるちゃん、カットだけって言ってくれたから。カラーやパーマじゃちょっと厳しいけどね。気にしないで~。で、どうなのどうなの?」と聞かれた。



山下さんから、席に案内され、髪をぬらしていると、かおるこさんは椅子を移動し、コーヒーを淹れ私の横に座り飲みだした。



「えっとですね。多分、上手くいってます。来々軒、美味しかったですし。かおるこさんに紹介出来て良かったです」と答えた。


「ちょっとちょっと~。はるちゃんそれだけえ~?多分って何~?なんかあるでしょ」と言われ、


「えーっとですね。多分って言うのはですね。私の願望と言うか。あの、高木君をかおるこさんに紹介した後、コーヒー飲みに行きまして、告白されました」


「!!それよそれ!!いいじゃない!!高木!やるじゃない!!」


「でも、私断ってしまって」


「はあ!!??なんで??はるちゃん、高木君のこといいって感じだったでしょ?なんでよ!?願望入ってんでしょ!?」


「いえ、告白された時、私も付き合おうかと思ったんです。私も高校生の時好きだったし、いいかなあ。と。一緒にいて楽しいし、ただ、高木君のこと好きだけど、二回しか会ってないし、よく分からなくて。で、正直にその気持ちを高木君に伝えてたらそれでもいいと言ってくれたので、じゃあいいか、と思ったんです。で、返事を言おうと高木君の顔を見たらすごく真剣だったんです。その顔見たら、じゃあいいか、なんて、いい加減な気持ちはいけないな、って断ってしまって」


「え~~」



山下さんは黙って、髪をそろえていく。



「で、ああ断ったし、もう連絡ないな、って思っていたらその日の夜に高木君から付き合わなくていいから友達でいようって連絡を頂きまして。自分勝手なんですけど、その連絡来たときにすごく嬉しかったんです。連絡はもうお互いしないんだろうなーって思ってたのに、連絡来てホッとした自分がいたんですね。だから今は友達なんですけど。でも、好きになってるんです。気づくの遅いんです、私。高木君から連絡なかったらなかったで、上手く忘れて思い出にも出来たと思うんです。だけど、気づいちゃったんで、今更ですけど頑張ろうかと思ってます」



と答えた。



「あら~~・・・。高木君・・・。哀れだわ・・・。はるちゃんの気持ちもわかるっちゃわかるけど・・・。はるちゃん、考えなくてガンガン行けばよかったのよ・・・。私なら行くわね。私の車にはアクセルしかないもの。GT‐R並の馬力だし。はるちゃん、付き合ってればよかったのにねえ・・・。真面目ねえ。まあ、でもはるちゃんがちゃんと自分の気持ちに向き合えてるのならいいのかしら」


「高木君からも、友達だって言われてるから今更ですし、どうしようもないのかな。とも思うんですけど、でも、私なりに頑張ろうかと。都合がいいのでダメ元ですけど。頑張ると言っても考え中なんです。今は高木君と今まで通り連絡取ってるんです」


「タイミングが悪かったのかしらねえ・・・。でも、高木君がはるちゃんと友達でいようって言ったのは偉いと思うわ。もう、そこで切れてていい訳だし。大人なのかしら。いや?女々しいのかしら?まあ、だからそれ考えると、まだチャンスはあると思うけど」



かおるこさんは綺麗な大きな手でカップを持つとコーヒーを美味しそうに飲んだ。



「どうですかね。でも、明日、志麻ちゃんと一緒に行ったカフェに高木君と行くんですけど、前よりもデートが楽しみで。でも、少し怖い気持ちもあって。イタリアンの時も、来々軒の時も、楽しみだけで怖い気持ちはなかったんですよ。好きになるのって楽しみだけじゃないですね」と言った。


「いや~ん。甘酸っぱいわ!そうよそうよ~!恋愛って楽しいだけじゃないものね。不安だったり、独占欲だったり、嫉妬だっり、色んな感情でぐちゃぐちゃになるのよ。煩悩と欲望まみれよ!!はるちゃん!それが恋よ!恋!恋は女を綺麗にするわ!頑張って!!」と、ぐっと握りこぶしを作られ、私も、はい、と握りこぶしを作り答えた。



山下さんが「高木君。ジャーマンシェパードでしたね」とポツリと言い、



「それそれ!!。はるちゃんが言ってたジャーマンシェパードって分かったわ。ああ~ってなったわ。すごくしつけられた大型犬って感じだったわ。はるちゃんに何かしようものなら、噛みつかれそうだったもの」


「店長は何もしなくても吠えられそうですけどね」


「ああん!!山下!お前はどうなんだよ!お前、ジャーマンに勝てるのか?一噛みで終わりだぞ!?」



と、かおるこさんは飲み干したカップを持ち上げ山下さんを指さし、



「うち、ラブラドールレトリバー飼ってたんで、大型犬好きですよ」と答えた。


「そんなこと関係ないだろ。チッ。まあ、いいわ。はるちゃん、とにかくジャーマン高木はいい奴そうだったわ。身体もよかったし。なるほどね。それで、待てね。うん、待ても出来るし。首輪も似合いそうだしね。私もはるちゃん頑張るなら応援するわ!」



と、なぜか高木君が改名されたが、かおるこさんから応援され山下さんからも「頑張って。上手くいくといいですね」と言われ、私は素直にお礼を言った。



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