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爆弾に吹っ飛ばされた私の着地の仕方  作者: サトウアラレ
2章

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30/55

番外編 3 高木君の闘い 

後2話番外編があります。

終わった。


俺は、飲みかけのコーヒーを返却口に返すと、俯いてる武蔵に



「気にしないで。わりい」と言って席を立った。



武蔵が可愛くて、美容師がかおるこさんで、焦ってホッとした気持ちで、もう誰にも取られたくなくて。


高校の時に言えなかった事が本当に嫌で。


でもなあ。



(ああ失敗した)



もう少しゆっくり時間かけていけばよかった。


武蔵も驚いていた。


なんで俺、焦ったんだろ。あんだけ、待つのは得意だと思ったのに。


武蔵のマニキュア選んでる顔が可愛くて、そのマニキュアを誰の為に選んでるのかと思うと辛くて、嫉妬して。


情けないな。せっかく楽しく飯食ったのに。


せっかく、武蔵がかおるこさんを俺に紹介してくれたのに。


でも、もう待つのは嫌だった。いや、待つのが怖かった。待ってる間に武蔵が誰かの所に行くんじゃないかって。


武蔵が可愛くて。一度好きと言ったら止まらなかった。


高校の時、武蔵に嫌がらせした子が「試しでいいから付き合って」と言った気持ちが分かった。


試しでもなんでも、武蔵の横にいれればそれでいいと思った。武蔵が俺の事好きじゃなくてもいいと思った。


武蔵は泣きそうな顔してごめんって言った。


あんな顔、させたくなかったな。



(俺、なにやってんだろ)



はーー---っ。と深いため息をついて俺は家まで歩いた。


家に帰り、明日の仕事の準備して風呂に入ろうかとしてると、早瀬から電話が来た。


俺が電話に出ると、俺がもしもしと言う前に、



「高木、あんた一回で諦めるつもりじゃないよね?むっちゃん、好きなんでしょ?情けなくてもがんばれるなら、応援してあげるけど、あんたどうすんの?」



「諦めない。ずっと武蔵が好きだ」



俺は早瀬に言ってから、ああ、やっぱり、武蔵が好きだ。諦められないと思った。



「わかった。バカなあんたにいい事教えてあげる。むっちゃんにそのまま、友達でいたいって伝えな。で、とりあえず、仲良くしてくれって、すがりつきな。むっちゃんは真面目だから、あんたが好きって伝えたら、同じだけあんたに返さなきゃって思ってる。自分が返せないから高木とは付き合えないって思ってる。だからとりあえず、友達で距離つめな」



「わかった。言う。友達でいい。距離詰める、無理はしない」



「いい?むっちゃんはあんたのこと、嫌いじゃない。むしろ好きと思う。だから、断ったと思う。あんたの事、もうちょっと好きじゃなかったら付き合っていいってむっちゃん言ったかもしんない。あと、タイミングも悪かった。むっちゃん、臆病になってるから。でも、あんたのこと多分大事に思って言ったと思う。むっちゃんバカ正直だから。真面目だし。バカだけど、まあそこがいいんだけど」



「わかった」



「とにかく、すぐにむっちゃんに連絡しな。で、気持ちは嘘じゃないけど、断られても友達になりたいことすがりついていいな。むっちゃんは友達なら、断らない。情けなくてもあんたが今後、むっちゃんの気持ちが欲しいなら、今はカッコ悪くてもそれしかない。後、今日中に言わないと、むっちゃんはもう、あんたの事を思い出にする」



「いい。なんでもいい。わかった。すぐ言う」



「あんたが告白して動いたのは悪くないと思う。できればもう少し時間があった方が良かったけど。ヘタレから卒業したのはいいと思う。ただガッついてもむっちゃんは引くし、スルーする。華麗にターンして逃げる。今は、むっちゃんと付き合いたいならむっちゃんから好きになってもらうしかない。多分むっちゃんは、告白されても断ると思う。むっちゃんから告白されるの待ちな」



「え、待つの」



「そう、待て。出来るでしょ」



「うん、わかった。待つ。出来る。いや、する」



「よし、なら、むっちゃんに連絡しな。で、私から連絡来たことは言わなくていい。今後高木から私に連絡するのは、本当に困った時だけにして。助けるのはこの一回にしたいから」



「分かった。サンキュー。連絡しない」



「じゃ、それだけ」



「なあ、なんで応援してくれんの?」



「は。それくらい自分で考えな」



と言って、電話は切られた。


首の皮一枚つながった。


俺は携帯を握りしめると、深呼吸を繰り返した。


よし、すがりつくぞ、なんでもいいからとりあえず友達だ。時間がない。思い出なんかにされてたまるか。


すぐに電話だ。


大丈夫。元に戻るだけだ。マイナスじゃない。


俺は武蔵の番号が変わってないことを祈りながら武蔵に電話をした。



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