表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾に吹っ飛ばされた私の着地の仕方  作者: サトウアラレ
1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/55

2 意外としぶとい私


 


で、今ですよ。



 (あれ?私死んだんじゃなかったけ?)



私は、ベットの上にいた。見慣れない天井、動かない手、ピッピッと音がする機械。



 (多分、病院だな。私、死ななかったんだ。今、どういう状態?)



私が頭を?で一杯にしていると、看護師さんがやってきた。私と目が合うとびっくりした顔をしていた。


 「武蔵むさしさん?目が覚めました?気分はどうですか?」


私は声を出そうとしてうまく声が出ないことに気づいた。ゆっくり瞬きして、手を動かして喉に手を当てた。



 (声が出ない)



私の気持ちが伝わったのか、「先生を呼んできますね」と、看護師さんは言うと病室を出て行った。

よく見るとベットの周りにはカーテンが仕切られていて、部屋には他にも誰かいるようだが電子音しかいない。



 (ICUかな。電子音と息の音)



色々知りたいことは多いけれどしょうがない。現状、体が上手く動かせないし、頭もぼーっとする。

暫くすると、おじいちゃん先生と先程の看護師さんともう少し年配のキリっとした看護師さんがやってきた。


若い看護師さんの方は他の患者さんの様子を見ているようだった。部屋の中を動き回り、時々電子音がした。


キリっとした看護師さんと、おじいちゃん先生によると、私は爆発に巻き込まれて左手、左足の骨折、頭を切り出血が多かったとのことだった。病院に運ばれてすぐに家族に連絡が行き、緊急手術が行われたが頭の出血量が多くてどうなるか分からなかったとの事。手術は無事に終わり、腕の骨折も足の骨折もそんなにひどくはないが、足の骨折は時間がかかると言われた。意識も戻り、様態が落ち着いたら心配はないだろうと言われた。



自分の名前が分かるか、今が何日なのか等質問をされたが声が出ず、答えられなかったが、名前等分かっていることは伝わった。


看護師さんから家族にはこれから意識が戻った連絡をすると説明を受けた。手術後2日寝ていたらしい。



ということはあれは夜だったから、三日は経ってるということか。木曜日の夜だったから、金、土と寝て今は日曜日。(おじいちゃん先生は他の患者さんの事でたまたま病院に来ていたらしい)会社の無断欠勤は1日で済んだのは良かったのか。


おじいちゃん先生から簡単に診察を受け、声が出ないのは一時的なものだろう言われ、落ち着いたら病室を一般病室に移動するとも言われた。


詳しい検査は今日は出来ないので明日以降にしようと言われた。声の事はホッとした。



その後両親が来て、「はる!!ああ!!」と、泣かれ、事件の説明を受けた。



私の意識が戻ったら警察も来るらしい。ただ、犯人はすでに逮捕されていて、私の所に来るのは事件の確認の為と聞いて、こっちもホッとした。別件で逮捕していた犯人が爆弾を置いたことを自供したらしい。ただ、自供した時は爆発直前だったみたい。警察が急いでむかうが予想通り(?)間に合わず、警察が駅に着く前に爆発してしまったらしい。犯人は間に合わないように自供したんだろうね。



(だから、警察も早く来たのね。サイレンの音、すぐ聞こえたもの)



母親から携帯を渡され、携帯を確認すると友人、会社から大量に連絡が来ていた。



(おうっ。すごい量・・)



私が携帯を見ていると、父親から、会社には連絡を入れており会社からは「心配しないで休むように」との連絡を貰ったと言われた。とは言え、意識が戻った今、私から会社には連絡しなくては。



(とりあえず、上司には連絡を入れておこう)



「明日の夕方また来るから。あと、志麻シマちゃんからうちに連絡あったわよ。心配してたから連絡してあげて」


母親からそう言われ、二人はホッとした顔を見せて帰って行った。父親は「ゆっくり寝ろ」と言って、のど飴をくれた。



親を泣かせてしまった。



次の日、検査の合間に警察の人が来た。


ちょっとドキドキしたけど、飲み物を飲めたおかげが声も少し出るようになり、質問に答えたり、自分の覚えている瓶の形や目覚まし時計の色等を答えていった。見つけた経緯や、運んだこと等も答えて、勝手に運んですみません、と謝った。



思ったよりもすぐに事情聴取は終わり、ホッとした。



 「武蔵さん、何かあればまた来ます。また、署の方に来てもらうこともあればご足労ですが宜しくお願いします」



 「はい」と、答えたが、署と言われた時はドキッとした。え、逮捕じゃないよね。



犯人に仕立てあげられるんじゃ、とか、少し思っていたから無事に終わってホッとしたのに、ちょっとドキドキが残った。ビビりは困る。やはり私の器は小さいらしい。


その日は夕方にまた母親と父親が来て、検査をしたこと等話し、先生から経過が順調ならリハビリを、との話を聞いて終わった。意外と早く退院も出来そうだ。


元気なことが分かると、仕事があるので毎日はこれないが四日に一回くらいは洗濯を回収しに父親か母親が来る、と言ってくれたが、車で往復で一時間半かかるので無理はしないでいいとも言った。


すると、「土曜日は来れるから下着は一杯買ってきたからよかったら使って」と言ってタオルやら下着やらを大量に置いて行った。次に来るのは土曜日らしい。私の財布等も渡してくれて、財布も無事でほっとした。


その後、上司にも連絡した。私が事件に巻き込まれたことと、その事件がテレビでも流れたことで、会社としてもゆっくり休んで欲しいらしい。周りの目?もあるのだろう。一応ホワイトな会社だから、療養か、有給消化かは後で考えてもいいと言われた。入院期間は未定だが、とりあえず、一か月休むこととなった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ