ミリヤさんの想いを知りました
ミリヤさんに連れられやって来たのは木造の古びた建物だった。
「ミリヤさん、此処は?」
「私が冒険者になって初めて所属していたギルドだった場所」
「この建物がギルドだったんですか?」
「そう、今じゃ面影もないんだけどね」
そう言うとミリヤさんは扉を開けて入った。
「勝手に入ったらダメなんじゃ······」
「大丈夫、私が買い取ったから」
え?買い取った?
と言う事はこの建物はミリヤさんの物?
そんな事を考えながらミリヤさんの後を追って僕は建物の中に入って行った。
建物の中は薄暗く辛うじて窓から入って来るわずかな光が室内を照らしている。
「暫く使って無いからやっぱり埃臭いわね」
そう良いながらミリヤさんは窓を開けた。
「あの、ミリヤさん、此処は本当にギルドだったんですか?」
「そう、私が所属していたのは第3支部でさ、主に町に現れる魔物退治が仕事だった、念願の冒険者になって毎日が充実していたけど数年後にはきれいさっぱり無くなってた······」
「それってもしかして」
「そう、第10支部が無理矢理金を貸し付けて来たんだよ。大抵返せないぐらいの金をね」
「返せなくなったから建物事差し押さえた·······」
「この世が弱肉強食だ、ていうのはわかってる。でもね、私にとって大事な場所なんだ。だから建物は買い取っていずれはもう一回ギルドとして復活させたい、と言うのがずっと思っていた願いなんだ」
ミリヤさんがそんな事を考えていたなんて知らなかった······。
「ネール君、君が此処のギルドマスターになってくれないかな?」
「僕がですか?」
「そう、君だったらこのギルドを前以上の立派なギルドにしてくれると思うんだ」
「僕がですか?」
ミリヤさんの目は真剣だ。
「わかりました、此処を僕のギルドとして使わせてもらいます」