レオンズ家の人々
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「······と言う訳で無職になっちゃいました」
僕は家に帰り両親に報告した。
「ギルドに就職出来れば安定かと思ったが時代も変わったもんだなぁ」
「仕方がないわよ、今は安定なんて保障できないわよ。魔物の数だって極端に少なくなっているそうだし」
僕の両親、ネール・レオンズとカーマ・レオンズは元冒険者だ。
現役時代は相当強かったらしくAランク保持者だったらしい。
······残念ながら僕は両親の才能を受け継いでないけどね。
噂だと何十年か前の魔王討伐に参加したそうだけど現役時代の事はあまり話したがらない。
『過去の栄光を引きずって生きるのは惨めなだけ』と言うのが両親の考え方だ。
『ルーマはルーマなんだからお前の好きな様に生きろ、俺達はいつでもお前の味方だ』と言ってくれたのが何気に嬉しかった。
「それで、王都に行ってギルドマスターの試験を受けよう、と思っているんだ」
「そうか、お前だったら向いているかもしれないな」
「そうね、貴方は頭が良いし、人付き合いも上手いし良いギルドマスターになれるわよ。あ、もしギルドマスターになったらエマを引き抜いたら?」
「いやいや、妹を引き抜いてどうすんのよ。もうすぐAランクでしょ」
エマは僕の妹で両親のDNAを引き継いで冒険者として活躍している。
現在はBランクだけどもうすぐAランクになる、と言う噂だ。
「あの子も色々悩んでるみたいよ。特に人間関係で」
「才能があった、としても周りとの関係が上手くいかないと潰れちまう事もあるからな」
困った様な顔をして父さんは言った。
確かに父さんの言う通りで僕もパーティーが揉めている所を何度も見かけた事もあるし相談も受けた事がある。
冒険者ギルドの役目はただ依頼を斡旋するだけじゃなくてサポートをするのも大事だ。
ちゃんと支えないと実力があっても周りが足を引っ張ったりしたら潰れてしまう。
「ただいま~」
「おっ、エマ早かったな」
玄関が開きエマが帰って来た。
「あれ、兄さん仕事じゃなかったの?」
「そうだったんだけど······」
僕はエマに説明した。
「えっ!? あのギルド潰れちゃったのっ!? 私が所属しているギルドが朝から騒がしかったんだけどその影響かぁ」
「それで王都に行ってギルドマスターの試験を受けようか、と思って」
「王都に行くの? じゃあ私も連れてって!」
「え? 大丈夫なの? エマが所属してるパーティーて今大事な時なんじゃ」
「心配無いよ、私今日抜けてきたから、て言うかギルド辞めた」
「はぁっ!?」
「だって色々悶着つけて達成金を少なくするしそのお金の取り分で言い争いになるし空気は最悪だから思いきって辞めてきた」
スッキリとした良い笑顔で言うエマ、なんだけど拳が赤く染まっているのは見間違いだろうか。
て言うか、兄妹揃って無職になるなんて······。
こりゃあ早いとこ王都に行ってギルドマスターの試験を受けないと。