地方ギルドへ2
とりあえず場所は確保出来たので登録料である金貨10枚は払える余裕は出た。
翌日、改めて地方ギルドへ向かったんだけど······。
「······何事?」
ギルドの前に馬車が3台止まっていた。
馬車には紋章が付いていて中央ギルドの物だとわかった。
「もしかして······」
「その、もしかしてですよ」
「うわっ!? エマ、いつの間にっ!?」
ひょこと横から顔を出してきたエマに驚いた。
「私の告発が受理されて抜き打ちで査察が入ったみたいです」
「動くの早いなぁ······」
僕とエマはギルド内に入って行った。
「あっ、ルーマ君、エマちゃん!」
「シルビアさん、大変な事に······」
「いえいえ、私達下っ端の人間には大した事は無くて通常通りの営業をしてますので、それで今日の御用件は?」
「ギルドの登録料を払いに来ました」
僕は金貨10枚とマスター証明書を見せた。
「はい、確かに10枚いただきました。でも後日半分は返金されるかもしれませんよ」
「へ?」
「今回の査察で黒いお金の流れが明るみになれば登録料とか見直しが出来るかもしれないんですよ」
「水増ししていたお金が戻ってくる可能性があるんですね」
「えぇ、他のギルドと比べてもこのギルドは給料は安いわ支払いは多いわでブラックですから」
ヒソヒソと話すシルビアさん。
「それじゃあこちらの用紙にギルドとなる場所の住所を書いてください」
僕はギルドの住所を書いた。
「はい、書きました」
「それじゃあ審査をしますのでちょっと待っててください」
近くの椅子に座って待っているとドゴンッ!と言う音が2階から響いた。
「えっ!? 上で何かあったのっ!?」
「多分、誰かが魔法を使ったんでしょう。2階はギルドの幹部がいますから」
あぁ~、不正がバレて攻撃を受けたのか、まぁ悪い事をすれば罰を受けるのは当たり前か。
「ルーマさん、お待たせしました。審査が通ったのでギルドの開設を許可いたします」
そう言ってシルビアさんは木の板と水晶玉をカウンターに置いた。
「こちらは新人ギルドマスターにお渡しするギルドの備品セットです。未来あるギルドマスターへプレゼントです」
「ありがとうございます!」
渡された木の板には『コーレン地区第103番ギルド』と書かれている
「この木の板は看板であると同時にギルドのランクも示されています。最初は木ですが石、鉄、銅、銀、金とランクアップしていくので頑張ってください」
そうか、最初はみんな木からのスタートなんだ。
そう思うと僕は改めて気を引き締めた。