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なろうラジオ大賞2

あなたたちが求めているのはどこの聖女様ですか?

作者: 高山小石

 生まれたばかりの子どもに授乳は必要だ。

 新生児はおよそ3時間おきに起きると言われているが、生物なので厳密に3時間おきに目覚めるわけではない。子の性質や状況によって睡眠リズムはその都度変わる。

 母体はホルモンの関係で昼夜なくなっても大丈夫だそうだが、毎晩タイミングの変わるおむつ替えと授乳は普通にしんどいものだ。

 それでも子が一晩眠ってくれるようになれば母親もまとめて寝られるところ、続けて子ができると細切れ睡眠期間も継続される。

 大家族は世界中に数え切れないほどいる。同じことを今までの母親はこなしてきているので、できないわけではない。数時間刻みの睡眠が十年続いても死ぬわけじゃない。


 ただ母親のスペックは落ちる。

 眠たくてもやるべきことは多く、昼寝すればいいと思われている子どもが寝ている時間に家事をしなくては間に合わない。

 最低ラインをなんとかこなしたところに帰宅したパートナーから言われるのは「一日家にいてなにをしていたんだ」。

 

 ご飯を作ったところで温かい状態の物を座って食べることもできない。

 お風呂やトイレにさえゆっくり入れない。

 夜の寝かしつけが終わり、やっと自分の時間がとれるかと思えば「夫婦の勤めをはたしてもらおうか」と貴重な時間を奪われる。

 疲れきって眠ると再び朝がくる。その繰り返し。


 困って第三者に相談すれば「パートナーとじっくり話し合うべきだ」と言われるものの、話し合うことができない。

 パートナーは「それなら今日はゆっくりしていいよ」と言ってくれるだけで、母親がゆっくりした分の仕事がたまるだけ。

 「そんなパートナーと結婚しなければ良かったのに」「子どもを作らなければ良かったのに」と言われたところで、そもそも時間をさかのぼる能力など持っていない。

 「パートナーに変わってほしければ、まず褒めないと」は心理学的にも正しいのだろうが、すり切れてでがらし状態になって困ったから相談した母親に、さらになにかすることを求められてもできない。 

 もう疲れた別れたいとこぼせば、親からは「外聞が悪いから」、パートナーからは「面倒くさいから」と止められる。

  

 続く細切れ睡眠に耐え、ご飯は作るけどつまむだけ、お風呂はいれるけどつかれず、1人時間は皆無で、パートナーから文句を言われ続けても夜の勤めを果たし、いつも笑顔でパートナーをほめる。


 それはどこの聖女様ですか?

 奴隷の間違いじゃないですか?

 せめて母親を人間扱いしてください。

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