その80、つわものどもは去るのみ
またもレビューいただいてしまいました……! 大感謝!!
今回で80回となりました。
90、100ももう目の前?
<複数反応――女性魔法使い>
私はその音声を聞きながら、少ない魔力で飛んでいた。
山田は、血まみれで倒れている。
「……! …………!!」
ゆみかは声にならない悲鳴をあげて、一足早く山田のそばに。
「血が……止まらない……!!」
山田を見て、ゆみかが絞り出すように叫んだ。
私は視界を強化して、相手を探知する。
<目標補足>
離れた場所に、複数の魔導警官とおかしな仮面をつけた女が。
「あいつは…………」
確か植物型の魔女狩りが出た時、私を襲ったヤツ。
蜂のような仮面をつけた、魔法使い。
背後の魔導警官たちも、蜂を思わせるジャケットとヘルメットを着けている。
「撃て!!」
そいつらは私に向かい、一斉に発射してくる。
普段ならば、余裕で防げるが、あの戦いの後ではこれは少々きつい。
「やめて……。やめてください……!!」
と、広域の障壁が張り巡らされ、魔弾を防ぐ。
ゆみかだった。
「この人たちは、妖怪退治するのに協力したんですよ!? それを……」
「鎮圧弾!」
ゆみかが抗議するが、蜂女は構うことなく部下に撃たせた。
撃たれたゆみかは、クタクタと脱力して崩れ落ちる。
<生体反応あり。外傷なし>
おそらくは暴徒鎮圧用のものだろう。
麻痺か何かの作用を持つ魔法を撃ちこんだのか……。
このままトンズラをこくのが正解か。
しかし……。
このまま山田を放っておくわけにもいかない。
私には、彼を呼び寄せてしまった責任があるのだ。
何とか山田に近づこうとするものの、蜂女どもの銃撃は激しい。
<魔力残量――21%>
まずい……。息切れや眩暈までしてくる。
このままだと、こっちも一緒に銃殺される。
私がたまらず、落下しかけた時だった。
「やはり、愚かだったなあ?」
呆れたような声と共に、山田の上に紫の魔法陣が出現した。
この強い魔力は……。
「自由意志を尊重して来させたが、こんなことだろうとは思ったよ」
魔法陣から、あのダークエルフがゆっくりと現れる。
「ダークエルフ……!」
「た、隊長……どうしましょ……!?」
強力な魔力を持つ異種族に、黄色ジャケットはあわてふためく。
人間では、まともにやっても勝てる相手ではない。
「やれやれ。世話の焼ける契約者だなあ」
ダークエルフは山田の傷に手を当てる。
すると、光の粒子があふれ、瞬く間に傷は消え去っていった。
そして、そのままダークエルフは山田を抱えて魔法陣に消える。
私も、混乱に乗じてその場を退去するのだった……。
ある意味で、完敗とも言えるひどい結果……。
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