その8、何とか勝てたがネットにさらされた
初勝利。そしてネット拡散の巻です。
「**********!!!」
何かが砕ける感触が足に伝わる。
魔女狩りは明らかな悲鳴をあげ、私から離れた。
その時、初めて相手の目に感情……みたいなものが浮かんだような。
怒り? 恐怖?
よくわからないけど、きっと嫌な悪いものだろう。
突然、魔女狩りは空に向かって吠えた。
翼のようなものが、大きく広がる。
足が巨大化して、鳥みたいになった。
いよいよカラスの化け物である。
そして、風圧を起こしながらこっちに向かってきた。
これは……やばそうだ。
やっぱり逃げる?
でも、本能はそうしない。
撃破。
攻撃魔法。
そんな単語みたいなものが頭の中を流れていく。
刃。切り裂く。
そんなイメージが流れ込んできた。
これは――いける。
私は本能的に構え、そして、魔女狩りに向かっていった。
両腕から、黒く輝く刃が突き出てくる。
なにこれ!?
と、思う暇もなく、私は魔女狩りの体を切り裂いていた。
薄気味悪い感触ながら、あっさりと紙みたいに切れる。
「*************……!!!」
魔女狩りは断末魔の声をあげ、二つに分断されて……。
そのまま、霧のように消え去ってしまった。
終わってみたら、あっけない。
でも、その途端にじわじわと恐怖心みたいなものがこみあげてくる。
あんなわけのわからんのを、私はやっつけてしまった……。
しかし、魔女狩りって女性には倒せないんじゃあ?
やっぱり、アニメと違っているのか?
色々考えながらも、ともかく私は人目につかない場所に身を隠した。
で。
学校内はまだ混乱の最中だった。
「何だったの、さっきの……!」
「やだ、もう帰りたい……」
「警察は!?」
「先生、助かったの?」
そんな会話が飛び交っている生徒にそっとまぎれ、ひそかにため息。
「さっきのやつ、何だったのかな? 魔法使い?」
「じゃ、あの鳥みたいな黒いのは?」
どうも先ほどのところを動画に撮っていた子もいたらしい。
ネットを調べてみると、もう動画がSNSにあがっていた。
『さっき学校をモンスターが襲撃』
という題名で、魔女狩りの姿がさらされていた。
そして、
『謎のヒーロー!?』
という題名で私の変身した姿も……。
鏡も見てなかったから、よくわからなかったんだけど……。こ、これは……。